学芸出版社

 

『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』

まちづくり条例による国際標準の計画制度

激論・都市計画 No.1


大方潤一郎 氏/蓑原敬 氏/松本昭 氏

2011.03.10

本のカバー


趣旨

 成長時代の近代都市計画が機能不全に陥っている。いよいよ抜本的に組かなければならない、脱構築しなければならないことは明らかだ。
 このほど出版した『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』では、いまや日本の都市計画やかまちづくりの最大の権威になった人たちが、全体のビジョンを捕まえて、次に何をすべきかを明確に示している。
 しかし、改革は上から降ってはこない。かつて1970年代に自治体が要綱行政、協定行政を通してまちづくりの領域を大きく広げたように、地域、地方の現場から波を起こし、変えて行かなければならない。
 そのためには、都市計画やまちづくりの現場、とりわけ行政現場の現実と、ビジョンや理念からの議論をどのように噛み合わせ、具体化していくのかが問われている。
 そこで本セミナーでは、地方分権一括法で現実のものとなっている条例制定権をフルに活用し、自治体条例によって都市計画を大きく変えていこうと提案されている大方潤一郎氏を迎え、今、できることは何かを議論したい。
 奮って、ご参加ください。
蓑原 敬

 本セミナーはご参加の皆さまとの激論を中心に構成します。
 ついては、ご質問、ご発言をご希望の方は、事前に 前田(maeda@mbox.kyoto-inet.or.jp)あて3月7日午前10時までにお送りください(予定)。ご発言の概要だけで結構です。お送りいただいた方からご発言いただくように致しますが、類似のご意見はどなたかに代表いただく、どうしても議論の流れに載せられないものも出てしまうなど、進行はコーディネータにご一任ください。
 なお大方先生の提案のご説明は最小限(15分程度)と致しますので、『都市計画 根底から見なおし新たな挑戦へ』の該当論文をお読みいただいたうえでご参加ください。
 本セミナーの記録は学芸まちづくり新書(電子版)として電子出版(紀伊国屋書店、理想書店等で販売)を予定しております。皆さまのご質問、ご意見も掲載させていただく可能性がございますので、予めご承知おきください(ご希望により匿名と致します)。
〈参加登録された方には参考のため昨年9月のセミナーの電子書籍版ベータ版をお送りします。〉

 

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○ご参加の皆様へのお願い

 当日は、私(大方潤一郎)が本(新たな挑戦)の中で提案した「国際標準の計画制度」について、その構想と要件(何のためにどういう性質を備えている必要があるか)を再確認した上で、これを自主条例でどこまで達成できるか、限界・課題は何か、どういう法改正が望まれるか、を議論しようというものです。
 こうしたテーマに関し、あらかじめ参加者の皆様から、質問や意見をうかがっておければ、当日の円滑かつ濃厚な「激論」に役立つと思われますので、どうか、質問や意見を前田裕資maeda@mbox.kyoto-inet.or.jp宛にメールでお送りいただければ、まことに有り難く存じます。

==プログラム(予定)======================
「激論・都市計画 No.1:まちづくり条例による国際標準の計画制度」
  (2011.3.10) 進行案
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18:45 開会:趣旨説明:蓑原
18:50 大方が以下のような論点について問題提起  :レジュメを配布、パワポ使用(15分)
 
I.制度改正を通じて、到達すべき(国際標準の)計画制度の構成と要件
1A)広域計画(複数都市圏群の計画)
 :自治体協議会による都市農村一体的土地利用計画
  多様なタイプのグリーン・アーバン空間の広域的配置関係の形成管理
  緑地農地里山水景生態系等の保全育成と農山漁村生活の創造的振興
  広域集客施設等の適正配置

1B) 都市圏の計画(単一都市圏=日常生活圏群の計画)
 :自治体協議会による都市農村一体的土地利用計画
  土地利用・公共交通の配置計画を通じた分散集約型都市構造の実現

2) 自治体域の計画(規制と事業に関する意志決定と公定化のための計画)
 :自治体全域の土地利用・基幹施設配置方針(議会議決)
  広域・都市圏計画に示された抽象的指針的枠組に具体的空間的形象を
    与える
  土地利用規制(特に許可制を通じた保全的規制)の運用・整備事業実
    施の準拠枠組となる
  (法定都市計画制度の限界:硬直的線引制度・開発許可/青空系開発
   問題/画一的硬直的ゾーニング/ブラックボックスの計画策定手続)

3) 街並づくり・郷づくり計画(ミクロ:日常生活圏の計画)
 :地区詳細計画+(緩和型)開発レビュー
  歩いて暮らせる・公共空間の豊かな、日常生活圏空間の個性的構想と
    形成管理
  詳細柔軟な建築規制と公共施設・公共空間整備(事業)の一体的構想
    と進行管理
  空間的施策(規制・事業)と社会的施策(事業・活動)の総合化
    (本来のエリアマネジメント)
  (法定地区計画制度の限界:用途地域との二重構造/硬直性(敷地は
   動くのに対して)/事業・ソフト施策との連携の欠如/ブラックボ
   ックスの計画策定手続)
 
II.自主条例による(上記計画制度の)制度的実現の可能性と限界(課題)
1) 法的強制力(財産権の制約)・国法との関係性について
2) 事前確定的基準による規制(地区詳細計画)と調整型開発レビュー
 (規制強化型・緩和型)の両立可能性
3) 規制の計画と事業の計画の統合について
4) 広域協議会の統制力について
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19:05 松本コメント(10分)
19:15 蓑原コメント+円卓討議(激論)
20:40 まとめコメント(大方・松本・蓑原)
21:00 閉会
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○コーディネーター&コメンテーター

     蓑原 敬(都市プランナー)
     松本 昭(市民未来まちづくりテラス)

□日時/場所

11年3月10日(木曜日)18時15分開場、18時45分〜21時頃まで
場所:東京大学(本郷キャンパス)工学部14号館1階 141教室
本郷三丁目駅(地下鉄丸の内線)、本郷三丁目駅(地下鉄大江戸線)、湯島駅又は根津駅(地下鉄千代田線)、東大前駅(地下鉄南北線)

□資料代

1000円、定員80名(先着順)

□参加申込(終了しました)


○関連資料

蓑原敬セミナー「都市計画の新たな挑戦」
西村幸夫氏に聞く
蓑原敬氏に聞く(脱稿に際して)
大方潤一郎氏に聞く
佐藤滋氏に聞く
蓑原敬氏に聞く(出版に際して)
担当編集者のブログ1担当編集者のブログ2担当編集者のブログ3担当編集者のブログ4

○本書のご注文

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○略歴

大方潤一郎(おおかた じゅんいちろう) 54年川崎市生まれ、東京都大田区育ち。東京大学工学部都市工学科・同大学院博士課程を経て、同助手、横浜国大助手・講師・助教授(工学部建築学科)、96年東京大学都市工学科助教授、99年から教授、現在に至る。 専門は都市計画、土地利用計画。ここ数年の主たる研究関心は、「まちづくり条例」の策定・運用を通じた都市成長管理・既成市街地更新管理、都市農村総合土地利用計画、持続可能な都市空間の形成、少子高齢化社会対応のまちづくり、など。主な著書に『協議型まちづくり』『地方分権時代のまちづくり条例』『都市計画の挑戦』(いづれも共著、学芸出版社)、『都市工学講座:都市を構想する』(共著、鹿島出版会)、『世界のSSD100:都市持続再生のツボ』(編著、彰国社)、Megacities: Urban Form, Governance, and Sustainability(編著、Springer)など。

蓑原 敬(みのはら けい)
33年東京生まれ福岡育ち。東京大学教養学部で地域研究(アメリカ)、日本大学で建築を学ぶ。ペンシルバニア大学大学院に留学、アメリカの都市計画にふれる。建設省、茨城県で都市計画と住宅行政の政策立案と実施の現場を経験。蓑原計画事務所所長。主な著書に『成熟のための都市再生』『地域主権で始まる本当の都市計画』(いづれも学芸出版社)など多数。

松本 昭(まつもと あきら)
1954年生まれ。市民未来まちづくりテラス 代表取締役。東京大学大学院工学研究科都市工学専攻修士課程修了。首都大学東京・東洋大学非常勤講師、逗子市まちづくり審議会会長、横浜市都市計画審議会委員、浦安市都市政策専門委員、日本建築学会協議調整型ルール委員会委員等を歴任。技術士(都市及び地方計画)、一級建築士、マンション管理士、再開発プランナー、建築基準適合判定資格者、宅地建物取引主任者。主な著書に『人口減少時代の都市計画』(共著、学芸出版社、2011年2月)『地方分権時代のまちづくり条例』(共著、学芸出版社、1999年)、『まちづくり条例の設計思想』(単著、第一法規、2005年)、『自治体都市計画の最前線』(共著、学芸出版社、2007年)など。


 
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