12 バーたかはし

さて、そろそろ日も沈んでまいりました。
森田さんの設計による日本酒・焼酎バーにご案内いただきました。
実はこの店、知る人ぞ知る、日本酒にこだわったお店なんですが、土壁にもこだわってます。
鉄粉入りの中塗り仕上げで、粗い表情を出しつつ、継ぎ目なしで一気に塗り上げられています。
腰イタには波型のトタンが用いられていて、これまた異素材の組み合わせ。
床にはこれまた素焼きのレンガが敷かれています。
洞窟のような空間で、まさに酒蔵といった感じです。

しっとりとした雰囲気でお酒を愉しめる室内空間。

このお店、入ったときに、とても芳醇な香りがするんです。
日本酒の酵母のせいでしょうか。それに加えて、呼吸する土壁が香りを吸って、放っているような気がします。
竣工から10年を経て、より深みが増しているようです。
それも土壁の良さだと思います。

土も日本酒やパンと一緒で、発酵させることで粘り強い素材となります。
じっくり育てる素材なんですね。そして、ゆっくり作るからこそ、時間が経っても味わいが増していく気がします。

蕎麦ちょこでいただく日本酒はもちろん、ご主人手打ちの〆蕎麦も最高でございました。
粉モノツアーの最後を締めるのに相応しいおもてなしでございました。

そして、さらに夜は続く…。



塚本由晴×森田一弥「京都土壁案内」が本になりました!

ここで紹介した建物・壁以外に、さらにいくつかの土壁スポットを追加。
写真は塚本さんの撮影によるもの。彼のフィルターを通した、土壁への眼差しが感じられます。
さらに、森田さんが土・左官についてわかりやすく解説します。
掲載する建物のほとんどは、実際に拝見することができます。
土壁マニアの建築ガイドとしても活用できる1冊です。
 

本の紹介はこちら
京都土壁案内
塚本由晴・森田一弥 著




 京都「土モノ」探訪記*index