『社宅街 企業が育んだ住宅地』より
角哲著「第2部3章 釜石/近代製鉄発祥の地」

 3.1 社宅開発と更新・分譲
 3.2 社宅の配置
 3.3 社宅の平面構成と変遷
 3.4 釜石製鐵所社宅街の福利厚生
 3.5 社宅と釜石市の現在

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著者:社宅研究会より(110603)

―2010年度日本都市計画学会石川奨励賞受賞とPDF公開に際して―

 日本都市計画学会石川奨励賞の受賞対象は『社宅街 企業が育んだ住宅地』ほか一連の研究です。

 社宅研究会のメンバーそれぞれに研究の動機があったと思いますが、共通していたのは、 1990 年代からの産業構造の転換によって企業の繁栄を支えてきた社宅街が、つぎつぎに取り壊されている現状を何とかしたいという思いでした。

 本書で明らかにしていますが、企業は、当時の最先端の技術を住宅に取り入れようとしています。もっといえば、住宅だけでなく、劇場であったり、体育施設であったり、住まいを含めた生活全般を改善しようと試みていたのです。その試みは、現代の視点からみれば、水準の低いものかもしれませんが、当時としては限られた予算・技術の範囲で最大限理想を追求したものでした。そうした試みの積み重ねの上に、現在の住宅があると思っています。

軍艦島の鉄筋コンクリートアパートは有名ですが、戦前の社宅街は風前の灯火です。戦前のひとびとの暮らしを知る上でも欠かせない社宅を理解することで、少しでも保存に向けて役立てればと思っています。そうした意味でも、このたび由緒ある石川奨励賞を受賞できたことは望外の喜びであるとともに、今後の活動の励みにしたいと思っています。

 ただ、本書で取り上げた釜石は、東日本大震災で甚大な被害を受けました。
執筆者一同、被災された多くのみなさまに哀悼の意を表するとともに、少しでも復旧・復興のお役に立てればと思い、御参考までに釜石の章を PDF として公開いたします。


本書のご紹介

社宅街 企業が育んだ住宅地

社宅研究会 編著


装丁 KOTO DESIGN

A5判・ 256頁・定価3150円(本体3000円)
2009.5.10発行
ISBN978-4-7615-3176-8

■■内容紹介■■
日本の近代化を支え、生産機能向上にまい進した企業は、福利施設として住居、娯楽施設、都市基盤等をも整備し、街をつくった。北海道から鹿児島に加え、日本統治時代の樺太、台湾、南洋群島の12事例を取り上げて、先進的な試みに満ち、現代にもひそやかに息づく社宅街の、成立と変容を明らかにする。社宅街データベース付。


2011.06.1〜