『都市防災学』より「8章 復旧と復興」
8.1 新潟県中越地震における都市施設の復旧・復興(澤田雅浩)
8.2 新潟県中越地震における被災者生活と支援活動(澤田雅浩)
8.3 住居の復旧・復興(佐藤慶一)
8.4 復旧・復興対策に関する考察(塚越功)
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お問合わせ先:前田へ
佐藤慶一さんから(110314)
現時点(110314)で正確な数は分かりませんが、膨大な住宅被害や避難者の発生が現実のものとなっています。
被災者の健康面を考えると、避難所生活の長期化は避けるべきで、本書でも記している住宅を失った方に対する仮住まいの対策については、極めて緊急性を要する状況と思われます。
大量な仮設住宅の需要が発生してくるでしょうが、まずは、短期間で十分な供給可能量が確保できるかが問題となります。
道路の寸断やライフラインの途絶、建設労務者の確保など、様々な困難が予想されると同時に、建設用地の問題もあります。
被災地近傍で仮設住宅建設用地の確保が可能な地域とそうでない地域が出てくると思います。用地確保が困難な地域については、隣接する自治体で用地がある場合には、そちらの方で建てる仮設住宅へ移動するようなことも検討課題となるでしょう。加えて、用地が不足する地域では、2階建ての仮設住宅を認めることで、地域内での供給可能量を確保するようなことも検討課題としてあると思います。
今後、状況が明らかになってくるでしょうが、場合によっては、仮設住宅の供給に相当な時間がかかることも懸念されます。
どの程度あるのか明らかでありませんが、安全性が確保された利用可能な賃貸住宅や公営住宅の空き家が近傍にあれば、そちらを利用することも適切な場合もあるでしょう。
それは膨大な仮設住宅需要の軽減にも寄与する意味で、積極的に検討すべきと思います。
既存ストックの活用を検討する際には、仮設住宅の代替としての家賃補助についても、既存制度にとらわれず柔軟な対応を期待したいです。
本書237pに少し書いてある、1994年のノースリッジ地震時の米国住宅都市開発省(HUD)の対応も、あらためて一つの参考にすべきと思います。
今回の地震では、被害が非常に広域にわたっており、広域的な調整の必要性が高くなると考えられます。
市町村や県を跨いで広域的な連携が必要になるとすると、各市区町村や県で独自に隣の市区町村や県と調整するのでは不十分な事態も想定され、上位機関である国による適切なコーディネートや統括が求められてくると思います。
まずは、被害や避難の状況や被災者の仮住まいニーズを把握しつつ、仮設住宅の供給可能量や建設可能地の把握、利用可能な賃貸住宅や公営住宅の空き家の把握など、適切な情報収集を迅速に進めることが重要と思います。
その上で、県を跨いだ適正な仮住まい対策の広域的な全体計画をスムーズに策定できるかがポイントになると考えます。
人命救助やライフラインの復旧、被害状況の把握といった膨大な災害対策業務が発生していますが、住宅を失った生存者への住まいの対策も喫緊の課題であり、既に現場では動きが始まっていると思いますが、広域的な連携も視野に入れた適切な体制を整備して対応を検討していくことが求められると思います。
佐藤慶一(Keiichi SATO)
東京大学 社会科学研究所 准教授
(附属社会調査・データアーカイブ研究センター)
本書のご紹介
都市防災学
地震対策の理論と実践
梶秀樹・塚越功 編著
装丁 上野かおる
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A5判・272頁・定価3150円(本体3000円)
2007.3.10発行
ISBN978-4-7615-3150-8
■■内容紹介■■
都市防災は行政などの現場では広く取り組まれているにも拘わらず、教科書がいまだにない。そこで本書では大都市の地震防災対策の歴史や理論、各領域の最新の知識、実践事例を簡潔にまとめ、体系だてて都市防災を学べるようにした。大学教科書としてはもちろん、行政担当者にも役立ち、独学にも充分対応できるよう配慮している。
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2011.03.14〜