ここはとりわけ見晴らしが良いわけではない、むしろ車道を背にして、前にはなだらかな山裾に広がる木立があるだけ。ただ、とても穏やかな気持ちになれる雰囲気と心地よい山からの風がふいていた。
一見、何でもない見過ごしがちな場所である。多分、ここはおばあちゃんのお気に入りの場所なのだろう。
「今」という時間を心から楽しみ、豊かな気持ちを刻むことの出来る、こんな空間こそが本当に必要なのだと思う。
場所と共振する
今を心に刻む
滋賀県の安土町・文芸の里の公園で出会ったシーンです。買い物か散歩の帰りだろうか、おばあちゃんが一人木陰のベンチで休んでいた。「ああっ、ほんま気持ちええな」うしろ姿からは、そんな声も聞こえてきそうな、とても穏やかな印象を受けた。ランドスケープデザイン・アトリエ風 河合嗣生
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