土木デザインキーワード30b／地域の中の土木

調和型のデザイン2

(C) by 横山宜致

多機能型のアノニマスなデザインへ

　棚田などの農村に見られる伝統的デザインは、自然環境を大きく変えることなく、地域の素材と土地の条件を活かし、人間的尺度に根差した実用性と耐用性を持ち、親和的で目にやさしく、田園といった地域の風土を形成する独特の雰囲気を有している。

ガマ
能勢の棚田には、 “ガマ”と呼ばれる水利のための洞穴がある｡
岩盤の露出した谷川に直接水口を設け、棚田を造成する必要性から生じた水利溝で、今も横幅1.0m余りの石組の溝の上に棚田が造成されている｡
視角的にみえるところだけではなく、地下にまでヒューマンでエコロジカルなデザインが行われており、この地域の田植え祭りには、ガマ特有の空洞を探す「うとさがし」の所作が伝統行事として盛り込まれている。

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