鴨川歩道橋(仮称)計画案に対する意見書

    桝本頼兼京都市長殿

1997年10月13日

都市環境デザイン会議関西ブロック
代表幹事 土橋正彦(アーバンスタディ研究所所長)
セミナー委員長 鳴海邦碩(大阪大学教授)
世話人 榊原和彦(大阪産業大学教授)
田端 修(大阪芸術大学教授)
中村伸之(ランドデザイン所長)
西 斗志夫(住宅都市整備公団)
丸茂弘幸(関西大学教授)
山崎正史(立命館大学助教授)
材野博司(京都工芸繊維大学教授)

 京都市で今進めている三条・四条間の鴨川歩道橋(仮称)の計画案が、パリの芸術橋(ポン・デ・ザール)の姿を写した意匠で京都市美観風致審議会の景観専門小委員会で承認をうけ、公表されました。

 鴨川と沿岸の先斗町の町並みがつくる景観は、いまや歴史都市京都を代表するものの一つであり、また市民にとって大切な景観となっております。このような景観の持つ高い公共性を考えるとき、承認された計画案に対して私たちは次のような危惧を抱いております。

・人々に広く親しまれてきた鴨川三条・四条の間に、その景観を大きく変える新橋を敢えて建設する必要があるのか、先ず疑念を抱きます。

・承認された計画案は、京都の歴史に関係のないパリの橋の姿を歴史的町並みの中に持ち込むことにより、歴史的景観のイメージに混乱をもたらすものと危惧されます。

・パリのセーヌ川に架かるポン・デ・ザールそのものが美しいものであるとしても、計画案の鉄とコンクリートの橋は、先斗町の木造の町並みと不調和を生じることが心配されます。また、橋幅の10メートルという広さも先斗町や鴨川のスケールとの不釣り合いが危惧されます。

・架橋に合わせて、木屋町と連絡する新しい道路が建設されることになれば、その広い道路で先斗町の親密なスケールの路地空間の魅力を損なうことが心配されます。

 三条・四条間の鴨川のような京都を代表する公共性の高い景観に大きな影響を与える新橋の建設計画については、結論を急ぐことなく、広く市民の声を聞き、十分なコンセンサスを得た後に決定すべきであると考えます。

 市民とともにそのあるべき姿の再検討を要望し、これからのオープンな議論の発端となることを期待して、ここに意見書を提出します。

連絡先:鳴海邦碩(TEL 06-879-7656  FAX 06-879-7681)


このページへのご意見は前田裕資

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