2004年度 JUDI関西国際セミナーinベトナム

『ハノイへの提言』

2004年度の海外セミナーは、9月30日、10月1日をハノイでのコアとして、参加者16名が各々ベトナムや近隣の都市を自由に訪問するかたちで開催されました。

 参加者(五十音順)

井口 勝文(京都造形芸術大学)、江川 直樹(関西大学)、角野 幸博(武庫川女子大学)
金澤
成保(大阪産業大学)、木村 昇平(関西大学学生)、澤木 昌典(大阪大学)
徳勢
貴彦(大阪大学学生)、長町 志穂(LEM空間工房)、鳴海 邦碩(大阪大学)
難波
健(兵庫県)、ブイ マン チー(大阪大学学生)、堀口 浩司(アルパック)
松山
茂(都市空間研究所)、山本 茂(大阪大学学生)、横山 大樹(関西大学学生)
吉川
久代(日本ロレアル)

 コアの行程概要

930日<市街>
フランス地区 ・ 36通り地区 ・ 街並み修復町家 ・ モダン町家(ハノイ土木大学) ・ 社会主義時代の住宅団地リニューアル ・ 新住宅団地:ビンコン/チュンホン

  ハノイ都市計画開発学会との交流(都市地域計画研究所)

101日<郊外>
湖地区の住宅地開発:イェンソー地区 ・ 新都市プロジェクト:リンドン ・ 伝統的建物地区:ボックニン ・ 寺院:デンド ・ 陶器村:バチャン

今回の記録は、セミナーの印象を「ハノイの都市整備への提案」「これでハノイが解った」「ここが私の関心を引いた」といった内容を『ハノイへの提言』としてまとめることとしました。

はじめに

 21世紀の皮切りの年、2000年にはじめてハノイを訪れた。以降、ハノイの大学との共同研究のため、毎年ハノイに来ている。
 ハノイといえば、私たちの年代にとっては、ベトナム戦争が思い浮かべられるが、いまや、経済開放政策下で(ドイモイ政策)、急速な経済成長が展開されている。
 社会主義社会において、都市計画は、党が決定したプロジェクトを実行することを意味した。これに対して、経済開放下では、民間セクターが行う開発や建設等の展開が基本になる。したがって都市計画は、土地利用コントロールが重要な役割を担うようになる。しかし、長い間このようなシステムが存在しなかったため、成長は環境の混乱につながりかねない。
 かって日本がそうであったように、途上国にあって近代化は欧米化と同義語である。今日では、欧米日化かもしれない。そうして、ベトナムの良さが急速に失われていく。
 ハノイは「ハ:河」「ノイ:内」で、河内を意味するそうだ。紅河の湾曲部に位置しており、その名残で池沼が多い。ハノイは水の都なのである。水の都、ハノイには、魅力的な環境が豊富だ。そのような魅力が存在する一方で、発展によってそれが失われつつあるのも事実である。
 今回JUDI関西のメンバーの方々に、ハノイについての印象記を書いていただいた。日本人が観たハノイの魅力である。このような視点をハノイの方々に紹介したいと考えている。それが、開発の見直しの一助になればと願ってのことである。

                                           鳴海 邦碩

   提 言 集                                                                               

「ベトナムで可能な理想の都市づくり」
兵庫県 難波  健
「水のある美しい首都の景観づくりを!!」
大阪大学 山本  茂
「21世紀、世界で最も美しい市街地の夜景」
関西大学 江川 直樹
「20世紀化の過程において−−知的な社会発展を展望して」
アルパック 堀口 浩司
「周辺環境に応じた建築の『形態』」
関西大学学生 横山 大樹
Vietnam〜光と影の記憶〜」
LEM空間工房 長町 志穂
「水と緑に映える美しい歴史都市ハノイづくりに向けて」
都市空間研究所 松山  茂
「ハノイ印象記 ハノイ花村」
大阪大学 鳴海 邦碩
「ミセとミチとの関係に都市のダイナミズムを見る−人間の顔の見える都市」
大阪大学 澤木 昌典
10 「都市名「ハノイ」の意味は「河内」−水網都市としての湖や池の保全と活用」
大阪大学 澤木 昌典
11 「ハノイ:水辺は市民の憩いとレクリエーションの場」
大阪産業大学 金澤 成保
12 「ベトナム〜都市の色彩〜」
日本ロレアル 吉川 久代
13 「ハノイらしい生活のできる集合住宅」
大阪大学 岡 絵理子
14 「ベトナムの道」
大阪大学学生 徳勢  貴彦
15 「アジアの近代都市、成功の最後のチャンス」
京都造形芸術大学 井口 勝文
16  「ベトナム二題:ハノイのセンベイビル/記憶の継承方法」
武庫川女子大学  角野  幸博

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