NEXT21概要
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はじめに

改行マーク地球環境・エネルギー問題、 都市環境問題、 高齢化問題など、 我々は、 様々な問題にかこまれている。 今後起こりえる社会変化、 住ニーズの変化等をふまえ、 これらの問題解決にすこしでも近づくための、 21世紀の都市型集合住宅のあり方を考える意義は大きい。

改行マークNEXT21は、 そのひとつの手段として大阪ガス株式会社により建設された実験集合住宅である。 1993年10月に竣工後、 1994年4月から5年間の予定で人が実際に住まう居住実験を行って、 データを公開している。

改行マーク以下に大阪ガス商品開発室の加茂みどり氏提供のデータ・解説に基づき、 概要を紹介する。


計画概要


組織


設計ポイント

2段階供給方式

改行マークNEXT21では、 住宅を、 共用部分として社会性の強い構造躯体(耐用年数は約100年)と、 私的性格の強い住戸部分(耐用年数は約25年)とに分離して建設する躯体・住戸分離方式を採用している。

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図1 2段階供給方式
改行マークこれは、 住戸設計、 間取り・設備のフレキシビリティー・更新性の高さを実現するものである。 都市景観や建築物として良好な社会的財産を形成すると同時に、 住まい手のライフスタイル・ライフステージの変化への対応など多様なニーズを反映することができる。 また、 内装の更新が容易であるため、 建物を長期に使用でき、 ライフサイクルコストを低減する可能性も持っている。


住戸設計

改行マーク都市居住者のライフスタイルやニーズは多様化し、 集合住宅におけるその対応の手段についてはいくつかの提案がなされている。

改行マークNEXT21では

について
 NEXT21では、 これらそれぞれの手段において住戸設計が行われた。

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図2 ライフスタイル提案型住戸 図3 住まい手参加設計住宅リスト

フレキシブルシステム

改行マークNEXT21では主に外壁に関わる部材・建材をある規格によって部品化するシステムズビルディングを採用した。 これにより、 外壁部材の取り外し・取り付けが容易になり、 外壁の配置替え・更新再利用が可能となる。

改行マークまた躯体設計においてはスラブの一部分、 主には共用廊下部分を逆スラブとし、 配管スペースとした。 配管を住戸内に引き込む場合も梁貫通をさけ、 住戸内の床仕上げ面を上げることにより、 すべて梁の上部を通すこととした。 また配管は全てフレキシブル配管とした。

改行マークこれにより、 従来の集合住宅では最も可変性の低かった水回り空間の間取り変更も可能となり、 配管の更新・変更に伴って躯体を傷つけることもなく、 躯体の耐久性を確保することにもなる。


立体街路

改行マークNEXT21では、 都市部の活性化を図るため、 集合住宅は立体的に積層された一つの街であるという考えに基づいて、 共用廊下や階段を街路空間に位置付けて立体的に構成し「立体街路」と呼んでいる。

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図4 立体街路概念図
改行マーク立体街路の設計においては、 住戸との結合性・公共性・経路の選択性・回遊性・開放性を指針とし、 かつての町屋の路地裏空間のような界隈性を持ち、 ふれあいのスペースとなるようめざしている。 多くの植物を植えた緑化ゾーンも設け、 住まい手が植物と関りあう機会がもたれること、 さらに住まい手同士の出会いと語らいの場となり新しいコミュニティーが育まれることが意図されている。


最新の設備機器

改行マーク常に換気をしながら室内の空気質を良好に保つと同時に全熱交換器を介して排気熱を回収する24時間換気空調システムを導入した。

改行マークまた、 生ゴミ破砕搬送装置、 フレキシブル防水パンシステム、 自動風呂ユニットなども新たに開発し導入した。

改行マークそのほかキッチンにコンピュータを設置し、 レシピの検索を可能にしたキッチンコンピュータも評価が高い。


サステイナビリティ

環境保全

改行マークNEXT21の敷地面積は約1500m2であるが、 1階の中庭(エコロジカルガーデン)や屋上に各々200m2、 その他ベランダや街路部も合わせて1012m2の植栽を施し、 縦方向に積み重なった緑地空間を形成した。 住棟内や屋上の植栽土壌は、 保水性がよく断熱性能の高い人工土壌を使用しているが、 比重が通常の土の約半分であるため、 躯体への負担を軽減している。

改行マークこの緑地は北方約1kmにある大阪城公園より飛来する野鳥を屋上へ呼び込み、 各階の植栽を伝って、 エコロジカルガーデンまで降りてくることができるように形成されている。


省エネルギー/省資源

改行マーク生ごみや生活排水を住棟内でクローズド処理するアクアループシステム、 中水を回収しトイレや植物の散水に利用する中水処理システムを導入している。

改行マークまた、 高効率の燃料電池を核とするコージェネレーションシステム、 高密化・高断熱化、 太陽電池、 住棟植栽によるパッシブクーリングなど、 様々な実験的試みを導入している。

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図5 アクアループ・中水処理システム 図6 エネルギーシステム

入居後の実験

居住実験

改行マークNEXT21では1994年4月より1999年3月までの5年間の予定で、 人が実際に住まう居住実験を実施している。

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図7 NEXT21実験体制
改行マーク調査項目は大きく3つのグループに分けられる。 エネルギーシステム、 アクアループシステムをはじめとする設備全般を研究対象とする「設備・エネルギー調査グループ」、 入居者の生活行動に主眼をおき、 NEXT21の建築的提案を研究対象とする「生活調査グループ」、 202住戸における短期体験居住実験を通じ、 住戸の評価、 および都市居住について考察を行う「短期体験居住実験グループ」である。


リフォーム実験

改行マーク住戸は住まい手のニーズやライフスタイルの変化、 または住宅の老朽化等の時間的変化を考慮した場合、 住戸は状況に合わせて可変であることが必要となる。

改行マークNEXT21では建設当初、 及び通時的にも、 間取りや水回りを自由に設計できるフレキシビリティを確保した。

改行マークリフォーム実験は、 NEXT21で試みた建築システムの有効性と、 集合住宅におけるリフォームの問題点を抽出・整理することを目的とし行った。 加えて近年、 建材から放出される有害物質(ホルムアルデヒド・揮発性有機化合物)を低減する手法が模索されていることを考慮し、 体にやさしい健康的な建材の使用を試みた。

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