神楽坂5丁目プロジェクト |
![]() プロジェクト計画地 |
最後に、神楽坂のまちづくりを大きく揺り動かそうとしている再開発計画を紹介したい。
それは、神楽坂通り北側の大久保通りに面する神楽坂5丁目の地における不動産会社による高層マンション計画である。
この計画地は、先の「まちづくり協定」の区域外ではあるが、街なみ環境整備方針が適用される「街なみ環境整備事業区域」内である。
当初31階の高さでもって計画された高層マンションに対し、周辺地域住民は、「神楽坂高層マンション対策協議会」を設立した。
「神楽坂高層マンション対策協議会」は、このまま高層マンションが建設されれば、神楽坂の街なみの連続性や、生活環境が破壊されるとして計画の見直しを求めている。
この過程において、マンション対策協議会は、都や区に対して話し合いの場を求める陳情を行うとともに、東大都市デザイン研究室による、高さを低く押さえた代替モデルの模型も提示している。
その後、不動産会社は26階まで、階層を低くした修正計画案を提示してきているが、それ以上の歩み寄りは見せていない。
新宿区には、望ましい景観を誘導する「景観条例」や、中高層建築物の紛争の予防と調整を目的とする「中高層条例」等があるが、このプロジェクトに対しては有効に機能していないようである。
消えた路地
また、このプロジェクトを推進するにあたり、不動産会社は、計画地内の区道の廃止と新道の付け替えも区に申請している。
今まであった路地を消して、まとまりのある建築敷地として利用しようとするものである。
この区道の廃止申請に対し、区は、平成12年11月に、手続き的に問題はないとして、区道の廃止を公示している。
しかし、この区道の利用者達は、平成13年2月、住民意向を調査しないまま廃止処分をしたとしてその取り消しを求め、東京地裁に提訴している。
このプロジェクトの行方が決まるのは、これからである。