ブラームスの小径に続く路地 |
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![]() ブラームスの小径周辺の路地 |
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原宿駅の竹下口を出ると、目の前が竹下通りである。人込みの中を少し歩くと程なく、右側に小さなアーチがある。このアーチはブラームスの小径に続く入り口である。ブラームスの小径は、幅員2mほどの屈曲した、人通りの少ない路地である。明治神宮の池から渋谷川へと流れ込む小川の上に蓋をして出来たこの路地は、フォンテーヌ通り、モーツアルト通りと呼ばれている一連の路地へと続いている。路地は、レンガ色の舗石で舗装され、沿道には2階建ての石造りのレストランが向かい合っている。建物、舗装、街灯、サイン、植栽等が、一体的にデザインされ、ヨーロッパの街角に紛れ込んだような気分にしてくれる。統一的な空間デザインが、レストランを特徴づけ、外部環境を、もうひとつの商品価値として提供している。建物の脇には、2階のテラスへと続く石段が設けられ、テラスでは、小径を見下ろしながら時を過ごすことが出来る。
石段の突き当たりにも、アーチがある。このアーチを潜ると、源氏山と呼ばれている小高い住宅地の一画に出る。住宅地の静かな雰囲気をもつ路地を右に左へと折れていくと、円形の屋根を持つ白い洋館が唐突に出現する。好奇心を呼び起こされて近づいてみると、ガラス越しに美容師さんの姿が見えた。さらにその先には、浮世絵のコレクションで知られる太田記念美術館がある。そして、坂や階段を降りれば表参道に出る。ブラームスの小径や、その背後の洋館等に見られる異国風な装いは、商業戦略ではあるが、原宿を面白くしている。