それらを3カ月ごとにまとめ、 合本した「復興市民まちづくり」(京都市・学芸出版社刊)が第5号を数えた。
第1号は、 18種、 175頁だった。 第4号では61種、 350頁にふくらんだ。 1册に収容できなくなり、 こんどから都市計画事業関係は行政側の「資料集」にまかせたが、 それでも77種に及ぶ。
なぜ、 自分たちのまちづくりに、 これほどのエネルギーが集まるのだろう。
1日も早く元通りの生活を取り戻したいが、 それには地域の再建が必要だ。 国や自治体に多くを頼ることもできない。
住民同士が話し合い、 専門家の声に耳を傾けながら、 互いに知恵を出し合うしか方法がないのだ、 と思う。
「通信」の多くが、 まちの再建具合や新しい提案など、 冷静で具体的な情報で詰まっているのはそのためだろう。
そこには、 被災直後に見られた感情的な言葉は、 見当たらない。 かわって、 この一年余の苦しさをしのばせるような、 考え抜かれた言葉が登場する。
「行政を追い詰めてはいけない。 批判するだけだったら、 行政は『カネがない』と居直ってくるだろう。 住民がイニシアチブを取り、 行政を住宅建て替えのパートナーにしよう」
「運動すればできる、 という幻想をまいてはいけない。 運動すれば国が個人補償をするからそれまで待っていよう、 ではなにも進まない」
編集に当たる支援ネットワーク事務局(神戸市灘区)の小林郁雄さんは、 「2年は続けたい」という。
生きた情報の発信は、 「復興」の最も雄弁な証言者に違いない。 〈井〉