阪神大震災復興市民まちづくり
vol 8

序文


震災771日たった神戸から

 あの1995年1月17日から771日になります。

 2年と1月余がたって被災地各地の状況は、多様化分岐化がどんどんと進行し、立ち直った人と立ち上がれない人が、いよいよはっきりしてきています。鉄道道路港湾などの都市基盤のほとんどが震災前の水準に戻っているのにくらべ、住宅商店生業など普通の「くらし」の復旧復興はまだまだです。たとえば、産業分野では全国レベル大企業と地場零細企業の生産復旧格差はいよいよ広がり、まちなかでは表通りに面した多くの新築の家々に対し裏宅地では空地が放置されているといったように。

 しかし平均すれば(被災は個々別々なのだから平均してはいけないのですが)8割程度の復興率であるというのが常識的なところでしょう。3年間で7割戻ればよしと思っていたことからすれば、すごいスピードだなあと思います。もちろん、それ以上のスピードで日本全体の世情からは大震災の記憶が薄れ、被災地への想像力の欠如を嘆くのは無理筋というもので、公的個人保障要求もいまさらの最後のあがきとしか思えません。

 各地の市民主体のまちづくりにおけるニュースを収録合本したこの『復興市民まちづくり』も、当初の予定通り2年間8冊をもって、とりあえず終刊します。名残惜しい気はしますが潮時という気もします。そこで震災直後1995年4月のVOL. 1から各号の序の中から、この2年間の経過を振り返ってみました。

VOL. 1序・震災100日たった神戸から/950427

 せめて復旧までの3か年は見捨てずに、時々は思い出してください。

 震災前の生活レベル、都市活動レベルの7掛け程度まで3年間で戻れば良しとすべきでしょう。3割減の賃金カットを前提とした緊縮生活・都市活動を5年も続ければ、何とか元の神戸・阪神間の生活・都市レベルへの回復ができるのではないでしょうか。

 神戸・阪神間や淡路の皆さん、ガレキに花を咲かせませんか。一面のヒマワリやコスモスが瓦礫の街を、月見草や桔梗が焼け野原を埋め尽くす夢を見ています。

VOL. 2序・非常時から平常時への移行/950816

 多くの不自由はありましたが、それに倍増する自由と相互扶助からなる自律生活コミュニティ社会を知ってしまいました。あの突然に始まったやむおえない手作りの日々を、わずか半年というのに、なかったことにしようという現代社会の仕組みに、黙って従うわけにはいきません。

 緊急避難から応急仮設、暫定生活の暮らしがあって、それの延長線上にしか、家々の再建、将来の街の復興はありません。復旧から復興への連続的対応策がいま必要であり、被災者復興の現在から未来への移行を念頭においた対応が重要であると思います。

VOL. 3序・飽きた、疲れた、もうどうでもいい/951121

 「飽きた、疲れた、もうどうでもいい」が大震災10カ月を経た現在の合言葉であり、ここしばらくは、ちょっとひとやすみ。

 すべての地区で、復興のまちづくりのために〈まちづくり協議会〉をつくり、最大多数の住民意志を結集しなければ、なにごとも始まらない。

 復興市民まちづくりは、その点で始まったばかりであり、まだ始まってもいない地区が無数にある。

VOL. 4序・即応短期戦から持久長期戦へ/960219

 震災後1年、確かな復興のまちづくりは依然として聞こえません。というより、被災地のほんとうの災難はこれから始まろうとしています。

 大地震への神戸・阪神住民の事前の〈想像力の決定的な欠如〉が阪神・淡路大震災の始まりであり、全国各地から被災地の現状に対する〈想像力の決定的な欠如〉が今問われていると思います。

VOL. 5序・被災地の春−新たな地平の開拓に向けて/960522

 市民まちづくりは、ハードな街の基盤(道路・公園)や住宅・建築だけではどうにもならない。多岐にわたるソフトな支援も欠かせない。もちろん各種イベントやさまざまな個別プロジェクト支援も重要だ、福祉ケアや緑花再生などに至るまで。

 再び巡る被災地の春に、「すまい」を前提とした「くらし」の復興は遅々として先がみえていない。復興まちづくりの息吹は確かではないが、それでも着実に一歩ずつ進められている取り組みがあることを頼りに、していきたい。

VOL. 6序・「くらし」復興・「すまい」再建/960815

 地域主権自治責任のなかでの住民自立が復興である。支援援助がなければなり立ち行かぬようでは、復興とはいえぬ。

 「すまい」「しごと」「まち」再生の三角形が、「くらし」復興再構築条件である。この3つが支え合ってはじめて、暮らしがなり立ち行く。その最も基本条件が「すまい」である。「すまい」再建なしに「くらし」復興なし。

VOL. 7序・復興だ、被災者支援だと、もう言わない/961125

 阪神・淡路大震災から「まちの再生」に向けた市民まちづくりの取り組みは、今、新しい段階を迎えている。白地区域におけるまちづくりは、震災復興とか、被災者支援とか、いっていてもはじまらない。

 21世紀の市民社会、地域づくりに向けた、住民自らの自律した志に基づく「自立と連帯のまちづくり」が求められている。

 この2年間余、私たち復興市民まちづくり支援ネットワークは、さまざまな活動を続けてきました。以下のように、6つの定常的活動と3つのプロジェクトを中心に、ゆるやかなまちづくり専門家のつながりの中で展開してきました。そして、それらのうち多くは、これからも続けていきます。

 被災地では、復興支援のための多くのネットワークが誕生し、成長しています。市民中心のものから行政、第3セクターに近いものまで、私が知っているものを挙げてみました。これらは、まちづくりに関係しているもののみですが、これら以上に多くのボランティア・情報・福祉などに関する素晴らしいネットワークが活躍しています。こうした復興支援ネットはほとんど全てがNPO(非営利組織)としての活動をしています。端的にボランティア活動といってもいいものが大半です。

 市民活動の多重ネットワーク社会が、21世紀の主要な社会像のひとつであると思いますが、震災という不幸によって突然私たちはそれらをだれよりも早く、手に入れてしまったのかもしれません。

阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク

 阪神大震災後1週間目から連絡を取り始め、10日目の1月27日にほぼゆるやかなつながりができたネットワーク。震災前より主に神戸のまちづくりに何らかの関わりのあった都市計画家、建築家、大学研究者ら約50人が、自らの手で被災地の復興まちづくりに役立ちたいという思いからできた。神戸東部市街地・神戸西部市街地・神戸都心市街地に別れて、それぞれ世話人をおき運営・統括にあたっている。

 ネットワークの定常活動としては、次の6つの活動を行っている。

1)月1回程度のネットワーク連絡会議

2)ネットワークニュース「きんもくせい」の月2回発行(950210創刊〜970225第43号、50号までの予定)

3)各地区のまちづくり協議会ニュースなどを3カ月ごとに収録合本した『復興市民まちづくり』の編集刊行(9505 VOL. 1〜9611 VOL. 7)

4)阪神・淡路ルネッサンス・ファンド(HAR基金)現地事務局

5)すまい・まちづくり人材センター(こうべまちづくりセンター内)相談協力

6)各種シンポジウム・フォーラム・祭りの開催協力

 そのほか特定プロジェクト活動として、a)被害実態緊急調査(建築学会・都市計画学会の震災復興都市づくり特別委員会)、b)市街地緑花再生プロジェクト第1段階「ガレキに花を」運動、c)コレクティブハウジング(協同居住型集合住宅)の実現をめざした事業推進(応援団)といった活動を推進している。これらは後に、a)は震災復興・実態調査ネットワークに展開、b)はランドスケープ復興支援会議(阪神グリーンネット)に発展、c)は長田・協同居住支援団などと連結していくことになった。

(こうしたネットワーク活動を「シマ分け」としか理解できなかったボンクラ鎌田慧やそれを鵜呑みにしているワケシリ内橋克人らと、それに雷同しているうぶなマスコミ関係者に、ぜひ『復興市民まちづくり』全8冊を熟読し、神戸阪神を訪ねて事実をしっかり確認し、ネットワークの何たるかを学んでもらいたい)

[連絡先:まちづくり潟Rー・プラン/天川・中井TEL 078-842-2311 FAX 078-842-2203 神戸大学工学部建設学科/大西TEL 078-803-1017 FAX 078-881-3921]

神戸東部市街地白地地域復興支援チーム

 「神戸東部市街地復興市民まちづくり支援ネットワーク」のなかから派生し、1995年10月6日より主に神戸市東部の重点復興地域以外のいわゆる白地区域におけるまちづくりに取り組んでいる。1996年6月9日に「東灘市民復興まちづくりフォーラム」を開催、あわせて6月5日〜9日に「展示会」も併催した。12月14日には「白地地域の被災実態と復興方策についてのシンポジウム」を震災復興・実態調査ネットワークと共同で開催した。

[連絡先:潟Wーユー計画研究所/後藤TEL 078-251-3593 FAX 078-251-3590 遊空間工房/野崎TEL 078-261-0337 FAX 078-272-1941]

西宮復興まちづくり支援ネットワーク

 西宮市内の「被災度別建物分布状況図」の作成を行った専門家や学生達が、1995年6月をめどに策定が進められた西宮市震災復興計画の下敷きとなる被災状況の整理や課題の検討を行ってみようと集結した。ネットワークは1995年2月25日に結成、第1回の連絡会議が開催された。以後毎週の連絡会議を経て、9月に「西宮復興地区別まちづくり計画」がまとめられた。 以後はそれらの各地区での住民向け実践活動を展開しており、 白地地域での「安井まちづくり協議会」設立と復興まちづくりへの協力が始まっている。定例ニュース「明日の西宮」は、3/11の創刊号から現在1996年秋の第10号まで発行中。

[連絡先:潟Wーユー計画研究所/後藤TEL 078-251-3593 FAX 078-251-3590]

神戸復興塾

 被災者の救援や被災地のまちづくりにボランティアとして関わるようになった大学教員・研究者・医師・コンサルタント・NPO運動家・ジャーナリストなどからなる自発的な団体で、本業を離れて、しかもそれぞれの専門性を生かしながら復興のありかたや具体的な支援策について討論を重ね、「現場の知」の蓄積に努めている。震災復興活動諸団体のネットワークのノードとしての役割を果たすことが重要な目的のひとつである。1996年1月13日〜14日に東京の墨田区・中野区に「市民語り部キャラバン隊」として出撃したのをきっかけとして、その後全国各地に約50回被災体験を語るキャラバンを派遣している。こうしたキャラバン活動を母体に復興塾は発足し、1997年1月より被災地神戸で復興過程を学ぶ「まちづくり仮想大学《神戸復興塾》」を開設する。

[連絡先:潟Vティコード研究所/大津TEL 06-231-0188 FAX 06-231-3788]

神戸まちづくり協議会連絡会

 日本建築学会近畿支部環境保全部会の呼びかけに応じ中島事務局長(松本地区まちづくり協議会会長)を中心に、神戸の「まちづくり協議会」の連絡会をつくろうと震災後数多く結成されたものも含めて17地域の協議会が発起人となり、1996年7月24日に33地域の連絡会が発足した。特定の目的をもった団体によるものにコントロールされることなく、まちづくり協議会のみによる自主的な団体としてスタートし、まちづくりに役立つ情報の交換を活動の大きな柱としている。1日も早い復興のためにともすれば要求団体としてしか機能しなかった協議会から、実力をもった実戦部隊となれるようなまちづくり協議会をめざす。当面は連絡会のインターネット・ホームページを開き、連絡会の取り組みや参加している各協議会の概要・活動内容を提供するとともに、協議会が相互にオンラインで即時に情報交換できるネットワークづくりを進める。

[連絡先:まちづくり潟Rー・プラン/上山TEL 078-842-2311 FAX 078-842-2203]

コレクティブハウジング事業推進応援団

 震災後の仮設住宅での高齢者の孤独死や自殺などの悲劇を恒久住宅(災害公営住宅など)で繰り返さないために、コレクティブハウジング(協同居住型集合住宅)の事業化を推進するための普及活動をすすめている、石東団長指揮する応援団。1995年9月21日発足・第1回ミーティングを開催。第6回定例ミーティング960304まで、都市計画・建築関係者だけでなく、医療関係者、仮設住宅支援NGO、大学関係者・学生、マスコミ関係者、行政関係者など延べ70人以上の参加があった。第1回HAR基金の助成を受け、「下町聚楽住宅の再生/コレクティブハウジングの実現に向けて」(1996年3月)という小冊子をまとめ、第1期の活動を終えた。公営住宅でのコレクティブハウジングの事業化が県営5団地(131戸)と神戸市営1団地(29戸)で決定したことを受けて、入居者にとって協同居住の学習や協働のトレーニング、協同生活のルールづくりなど、事前の入居トレーニングセンターに向け、第2期活動として1996年10月16日から再開した。

[連絡先:事務局/天川TEL 078-842-2311 FAX 078-842-2203]

長田・協同居住支援団(長田コレクティブケアネットワーク/NCCN)

 阪神大震災は高齢社会型震災で、「福祉なくして医療なし、健康は住まいから」が改めて問われたことを受けて、1996年3月に訪問看護婦・ケースワーカーなどが中心となり長田区長楽公園の地域型仮設住宅環境改善を目的とした「長田福祉まちづくり会議」を始めた。地域型仮設LSA業務、コレクティブ住宅へとその後検討対象を広げ、4月に「長田・協同居住支援団(長田コレクティブケアネットワークNCCN)」と改名した。6月にHAR基金を「尼崎で協同居住型住宅を実現させる会」と共同で受け、8月に「地域型仮設LSAへのアンケート調査」を行った。今後は21世紀の高齢者住宅における「LSA業務の理論化」の研究に取り組む予定。

[連絡先:事務局/岸本TEL 078-641-1651 FAX 078-641-1654]

ランドスケープ復興支援会議(阪神グリーンネット)

 1996年2月6日、緑のまちづくりを専門とする人達が集まって、復興後の緑豊かで安心・快適なまちをめざし、花や緑を被災地に埋め込もうという集まりを開始した。具体的には、仮設住宅を中心に被災地へ花や野菜の苗を配布(2月〜7月で計5回)、緑に関する専門家の派遣(楠丘地区押しかけ緑化など)、生垣づくりの実践(移動式生垣も含む)などを進めている。多くの緑化関係会社の協力も得て、ランドスケープ関係の学者、学生、施工関係者、公園緑地行政関係者、プランナー、デザイナーなど計画設計関係者など約100名が参加している。1996年10月1日〜6日の近畿都市緑化祭においてパネル展示、シンポジウム開催、楠丘移動生垣製作講習会などを行った。第1回世界鷹取祭においても区画整理地区内の公園ワークショップの開催、会場の街角を飾る50箱の移動生垣の製作(地元まちづくり協議会との共同)などを行った。

[連絡先:県立人と自然の博物館環境計画部/藤本TEL 0795-59-2028 FAX 0795-59-2024]

ドングリネット神戸

 1995年5月15日発足したドングリ銀行神戸の活動を中心に、被災地の緑の再生復興、まちの緑化に取り組んでいる民間組織(構成メンバー21名)。活動のきっかけは震災後香川県林務課の「どんぐり銀行」の活動を知ったことで、そのアドバイスをうけて地元神戸での独自の活動をはじめた。その仕組みは、「ドングリ預金者」がドングリを集めて預け、通帳に記入した分の払い戻しに苗木を受け取ることができる。また「プラントマスター」は苗木を育てて提供してくれる。その両方を結び付ける役割を「ドングリ銀行神戸」が果たし、そのほか苗を育てたり、街に木を植えたりする活動をしている。これらを財政的に支援する「団栗応援団」や窓口業務を手伝う「チビッ子ドングリ銀行員」なども募集している。96年10月末現在で、ドングリ預金者652人(うち学校・幼稚園32)、プラントマスター22名が参加。不定期情報誌「ドングリタイムス」は961005に第5号が発行されている。苗木は個人住宅以外にも「特別払い戻し」として被災地内の公園道路学校などに植樹したり、集まったドングリを播種し次代の苗木育成も計画しており、阪神グリーンネットなどと協同してイベントなどにも参加している。

[連絡先:事務局/マスダFAX 078-965-3571]

関西建築家ボランティア

 震災後、建築家として何かをやらねばと大阪・神戸・京都・奈良で事務所を主宰する、いわゆるアトリエ派の建築家たちによって1995年1月25日に結成され、略称「関ボラ」と称する。当初は被災家屋へのアドバイス活動からはじまり、2月末より東灘区魚崎地区のまちづくり活動に参加。魚崎小学校校庭のカナダ政府提供大テントを拠点にまちづくりシンポジウム(4/9、5/3、6/4、10/10)を開催し、被災状況調査(密集住宅市街地現況調査)や復興状況調査などを重ねるとともに、多くの復興提案を行っている。一部によって、灘の酒蔵景観の復興や木構造の改良研究のグループができた。甲南市場・阪神魚崎市場や数箇所の共同再建、マンション再建などの事業に、地域のコンサルタントとしてかかわり続けている。1995年末HAR基金の助成を使って現地前線基地である「まちづくりハウス」を設置し、市場再建打ち合わせ・共同再建ヒアリング・関ボラ会議などに使っている。

[連絡先:遊空間工房/野崎TEL 078-261-0337 FAX 078-272-1941]

阪神・淡路まちづくり支援機構

 大震災被災住民の区画整理など都市計画決定区域以外の地域振興、まちづくりについて、複数の専門家が協力して支援するとともに、まちづくり、住宅建設についての制度研究・提言をおこない、復興と発展に寄与することを目的に、1996年9月4日設立された。構成メンバーは法学・住宅・都市計画などを専門とする大学関係研究者、まちづくりに関する専門家などの個人のほか、弁護士会(大阪・神戸)を中核に、税理士会、土地家屋調査士会、不動産鑑定協会、司法書士会、建築士会、建築家協会、建築士事務所協会などのそれぞれの関西・近畿の組織が広く参画している。発足後3カ月余で60件近くの相談が寄せられ、専門家派遣も徐々に始まっている。付属研究会も12月14日に発足、第1回研究会が開かれた。

[連絡先:大阪弁護士会/斎藤TEL 06-364-1225 FAX 06-364-0253]

被災者復興支援会議

 大震災から半年後の1995年7月17日、兵庫県の呼びかけに応じ、大学研究者、医療・マスコミ・ボランティア・まちづくり・文化活動などの分野で被災地において中核的な活動を続けている専門家、県理事なども含め12名のメンバーで発足した。被災者の生活再建を支援するため被災者と行政の間に立って(7割は被災者の側に重心を置き)、被災者の生活実態、意見、要望等を把握するとともに、支援策を総合的に検討し、行政と被災者双方に提案・助言を続けてきた(第1回950828〜第8回961028)。月2回の土曜の定例会議のほかに、移動いどばた会議(現地に赴き被災者や支援団体との意見交換会)、定例(土曜)いどばた会議、情報誌「復興かわらばん」の発行(9509第1号〜9702第12号)、フォーラムの開催(第1回「仮設住宅自治会づくり」951104、第2回「冬場の健康対策を考える」951216、第3回「住まいの再建を巡って」960721、第4回「住まい再建をめぐってU」など)といった活動をしている。

[連絡先:事務局TEL 078-321-2994 FAX 078-321-3099]

こうべすまい・まちづくり人材センター

 平成7年(1995年)7月7日、神戸市都市整備公社こうべまちづくりセンター(こうべまちづくり会館内)に開設され、地域からの求めに応じて登録専門家を派遣し、すまい・まちの復興支援に取り組んでいる。専門家派遣のしくみは、地域住民グループから神戸市または人材センターに相談があった時点で相互に情報提供し、神戸市は人材センターを紹介、センターは専門家の派遣を行う。人員体制は4名の専任スタッフを中心に、派遣申請の受付相談業務はまちづくりコンサルタント支援ネットワークの協力をえて運営している。1996年8月現在で307の登録専門家があり、9507〜9610末の実績はアドバイザー77件、コンサルタント97件、合計174件が派遣されている。そのうちの約半数84件が建築物共同化協調化であり、そのほか39件がマンション建替計画、34件がまちづくり計画への派遣であった。その他、人材センターでは、復興基金を活用したまちづくり活動団体助成、復興まちづくりセミナー(960617)、派遣先82団体へのアンケート(9605)、派遣専門家10事務所へのヒアリング、すまい再建相談会(復興住宅メッセと共催)、まちづくり協議会連絡会への説明会(960927)などを実施している。県では同様に「ひょうご都市づくりセンター」が\財()兵庫県都市整備協会内に設置されている。

[連絡先:センター/中水流(なかつる) TEL 078-361-4377 FAX 078-361-4584]

.br .5

●以上のネットワークは何らかの形で私も関係しているものですが、それら以外にも次のようなネットワークが現在も活動しています。

 『復興市民まちづくり』全8冊は、被災地における被災民によるリアルタイムの呼びかけであり、全国・全世界への阪神・淡路大震災復興まちづくり原典資料になるものと考えます。震災復興まちづくりを真剣に研究するならば、多くの評論・調査(ほとんどが通り一遍のアンケートで住民真意を代表していると思っている、あまりにワンパターンな)などを百編通読するよりも、ここに綴られている市民の各地区での悪戦苦闘の生のニュースを百回精読することを、お勧めします。そして、それらはこれまでの2年余の市民まちづくりの足跡であるとともに、今なお続いている証しであり、これからの市民まちづくりへの道標となるものと、確信しています。

 こうした情報を、生きた形で提供し(3カ月に1冊のペースはさすがにしんどいものがありました)、全国の関心ある人々と震災をいずれ迎える将来の人々へ伝達できる形の出版物にしていただいた学芸出版社など関係者の方々(経営的にも時間的にも、かなりな負担であったといつも心苦しく思っていました)に、心から感謝いたしております。どうもありがとうございました。

 『復興市民まちづくり』はVOL. 8で終刊しますが、“復興市民まちづくり”は続きます。それを支援する私たちネットワークも、いつまでか続くか定かではありませんが、続けていきます。

1997年2月25日
阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
まちづくり株式会社コー・プラン 小林郁雄

このページへのご意見は学芸出版社

学芸出版社『阪神大震災復興市民まちづくりvol 8より』

支援ネットワーク関連ページへ
『震災復興まちづくり』ホームページへ

都市目録・震災復興Vol 8へ・工事中
目録詳細情報へ
学芸出版社ホームページへ