2月7日、 都市計画区域指定。
2月18〜20日、 地元説明会(町内会別)。
2月下旬〜3月上旬、 住民アンケート調査。
3月4日〜12日、 地元説明会(地区別)。
3月17日、 土地区画整理事業(区域・道路)都市計画決定。
6月13日〜 25日、 地元説明会(地区別)。
9月中旬〜、 復興カルテ作成に向けての住民面接調査。
この間、 3月26日には、 復興まちづくりについてのコンセンサスの形成を図り、 土地区画整理事業を進める場として富島地区震災復興協議会が発足し、 部会を含めてこれまでに計12回の会合が開かれた。
一方、 住民の間では、 事業に対する賛否両論の立場から、 さまざまな動きがなされてきた。
とりわけ、 都市計画決定に先立ち、 都市計画区域指定がなされたという事情もあり、 町の復興まちづくり方針に対する不安や疑問を訴える声が相次いだ。
その中から、 事業の白紙撤回を目指す動きや、 外部の専門家や他地区と連携し住民主導のまちづくりを模索する動きが出てきた。
同時に、 専門家を中心として富島に関心を持つ外部の人々が地区を訪れ、 中には明確な支援を名乗りでさまざまな関与をしている人も現れている。
とりわけ、 仮設住宅に住むことを余儀なくされている人々の間からは、 どちらでもいいから早く結論を出して欲しいというつぶやきが聞こえてくる。
目下最大の問題は、 今後の復興まちづくりを担う主体が形成されていないことであり、 それゆえにあるべき将来像がなかなか見えてこないことである。
しかし、 展望がないわけではない。
一部ではあるが住民の間で専門家の協力を得て独自の案をつくろうという動きが本格化しつつあり、 それを契機に意見の違いを越えて住民同士の対話を模索する動きが見え始めている。
特に、 9月の町議会議員選挙で新たに選出された地元出身議員3人がその調停役となることが期待されている。
また、 9月以降、 町は単に事業を越えて今後の復興まちづくり全体のあり方を明確化することを目的として、 全戸を対象とする面談調査によって復興カルテづくりを進めようとしている。
これらの動きが、 これまで事業是非論の陰に隠れて実質的には進んでいなかった、 いかにして富島らしさを継承しつつ新たな生活環境を創造するかという、 本来の復興まちづくりに求められる議論を深めるのみならず、 これまで不足しがちであった住民と行政の対話を促進する契機となることを希わずにはおられない。
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94年度に4地区(入居開始)と95年度に2地区(計画中)が事業化されている。
県は事業の背景として、 ひとりぐらしの生活は淋しさ、 孤独感、 急病や事故等の緊急時の不安や、 食事、 風呂等の家事や、 家屋を維持するための労働的、 経済的負担が大きい。
これらを支援するためにホームヘルパー派遣等の支援事業があるが、 加えて、 高齢期における生活の仕方の選択肢のひとつとして、 地域のふれあいの中で、 一つ屋根の下で互いに助け合い共同で自立した生活をすることにより、 ひとりぐらしの淋しさや不安、 負担の大幅な解消を考えた。
大字位の顔見知りの範囲を対象とする。
共同生活施設の内容は、 概ね6人程度の協同居住で、 プライバシーが確立した居室と共同スペース(厨房、 食堂、 談話室、 浴室、 洗濯室、 倉庫等)があり、 空家等利用型と小規模ホーム新築型ある。
既に入居が始まっている4地区の特色は次のようである。
加茂町は、 豪雪地であり、 特に冬季における共同生活にメリットがある。
料理教室等を実施して、 地域の高齢者との交流を図ったり、 園芸作物の共同栽培を行う。
夜間を中心に共同生活をし、 昼間は気ままに自宅と行き来する。
中央町は、 旧村の中心地で、 役場支所、 駐在所、 郵便局に近接し、 診療所と一つの建物として整備。
両山寺の参拝客等を対象に特産品の生産、 販売、 観光案内を行う。
川上町は、 高齢者福祉のむらづくり事業の一環として取り組み、 入居者を地域ぐるみで支援する。
生活しやすい楽しい建物(下図)。
ゲートボール場や家庭菜園も整備。
夜間を中心に共同生活をし、 昼間は自宅と行き来する。
地域の高齢者と座談会、 ゲートボール等による交流や野菜の共同栽培を行う。
10月半ばすぎ、 サニーハウス鴨方を訪ねた。
鴨方町は倉敷市からJR山陽本線で西へ20分、 福山市にも近く、 両市のベッドタウンとしての性格もあり、 人口は2万人強である。
建物はレンガ色の平屋(建築面積約360m2)で、 内部は南側に6つの居室が並び、 幅広い廊下をはさんで北側に共用スペースがある。
居室は25m2程度で6帖の和室と広縁にキチネット、 便所、 押入れ、 床の間がある。
共用スペースは、 厨房、 台所、 畳コーナーをもつ交流室、 風呂、 洗濯室、 倉庫、 援助者室、 玄関ホールである。
一人当たり面積は約60m2である。
女性3人と男性2人が住んでいたが、 つい先だって89歳の男性が引っ越して行かれた。
高齢のため共同生活の役割分担に負担を感じるようになったという。
ここでは一人で食事当番と一週間を通しての掃除当番を分担していたが、 一人が引っ越しされた後、 食事は各自で作ることにした。
数人程度の小規模単位での協同居住の課題であろう。
余りにも小人数では共同生活の役割分担に負担がかかり過ぎる。
一人での家事分担はしんどい(精神的にも重圧である)。
チームでの分担作業であれば、 カバーし合えるし、 その人のできる役割を分担すればよい。
協同居住はある程度の単位規模が必要なようである。
午前中は地元の人が生活支援者として、 共同生活のアドバイスや相談ごとに対応しており、 その運営費は県からの補助がある。
共同生活を始めて半年で日が浅く、 居住者にはまだ戸惑いがあるように見えたが、 玄関ホールに置かれた大きな月下美人の鉢植えがご自慢で、 見事に咲いた花の写真をプレゼントしてくださった。
玄関の棚の上には住人の手作りの紙細工の花瓶が並んでいる。
サニーハウスは全町を対象として公募したため、 馴染みのなかった人たちが共同生活を始めたので、 まだ共に暮らす楽しさを十分に味わえる程には親密になっていないようだ。
また、 5人という小規模単位は、 長らくひとり暮らしで気ままに暮らしてきた人たちの個性や年齢的な差異がもろに影響し合い、 共同生活の楽しさが醸成されるには、 もう少し時間がかかりそうだ。
夕食後は各自が居室で自由な時間をもち、 談話室で皆で過ごす時間は多くないとのことだが、 ひとり暮らしで不安だった夜が安心して過ごせることは快適であると言われた。
高齢者は住み慣れた地域で、 気心知れた人同士が一緒に住めるのが一番いい。
生き生きした生活が再スタートできる。
震災地での住宅復興の貴重なモデルがあった。
(10月26日 記) (資料等は岡山県保険福祉部提供)
江戸時代以後の長い歴史を有する木造酒蔵は、 本瓦葺き屋根・片引きの小窓・縦羽目板張りの黒壁・漆喰塗りの白壁で構成された独特の雰囲気を持っている。
それらの酒蔵が群として残っており、 神戸を代表する町並みの一つであった。
酒蔵を訪れる観光客も多く、 酒蔵の並ぶ道は、 「酒蔵の道」として、 大石から魚崎まで続き、 例年酒造りの季節には「酒ラリー」という催しがこの道沿いで開かれていた。
今度の震災により、 木造酒蔵は記念館も含め、 ほとんどが全壊した。
特に、 魚崎郷では、 酒蔵が集中していたため持っていた路地の雰囲気、 2階建木造蔵のヒューマンなスケール感、 黒い羽目板張りの壁面に空けられた個性ある窓のおもしろさなどは全てなくなり、 黒い杉板塀のみが残っているだけのさみしい景観となってしまっている。
酒造メーカー3社にお話を伺ったところでは、 メーカーはほとんどこの地で酒造りを続けていく意向であり、 「灘五郷」として日本酒の中心地であることには変わりがない、 とのことであった。
ただ、 古い木造蔵は、 ほとんどがそれ本来の機能(酒造り)を果たしておらず、 多くは倉庫として使われていたので、 メーカー側としては、 昔の形に復旧することは考えていないようである。
記念館や資料館といった施設は別にして、 古い酒蔵の再生は、 必ずしも産業復興より優先課題であるとは思えない。
むしろ、 灘五郷の酒造メーカーが集中している地域として、 灘の酒文化を継承・発展させていくイメージ造りが必要である。
そこで、 以前からある「酒蔵の道」を石畳の舗装等により整備する。
そして、 その道沿いの酒造メ各社に一件を基本として設け、 この新たな「酒蔵」を各メーカーの復興へのさきがけとして、 以前の酒蔵の雰囲気を残しながら、 活気ある生きた環境を再生しようとするものである。
また、 蔵人の育成などにより、 昔ながらの伝統的な酒造りの技術を守り未来へ伝えていく場、 最新技術と伝統的な技術が合体した新しい酒造りのあり方を研究する施設を設けることも提案したい。
「フォリー」は、 基本的には、 伝統ある酒造メーカーの存在をアピールする場として、 看板や休憩所・直販店・ミニギャラリーといったさまざまな機能を持たせた多目的な空間である。
メーカーの個性により、 いろいろな形の夫々違った機能の「フォリー」が「酒蔵の道」沿いに出来、 人々の目を楽しませる。
また、 メーカーの敷地だけでなく、 道沿いの公園や川を渡る橋などに「緑のフォリー」・「橋のフォリー」・「小径のフォリー」・「壁のフォリー」といったバリエーションを持たせている。
酒造メーカー各社が「フォリー」を設置することで連携し、 酒蔵の町の復興のための強い意思を表し、 そのことにより、 地元住民の復興への意欲を奮い立たせ、 全体として、 被災した町が活気を取り戻す契機となることを我々は願っている。
「フォリー」という仮設的な装置を設置することにより、 復興過程の中でも、 地元民やそこを訪れる人達も共に灘の酒を肴に、 語り合い、 協力しあう機会が出来、 震災前以上に活き活きとした酒蔵の町を取り戻してもらいたい。
(10月24日 記)
(「フォリー」:庭園の中に、 純粋に美的目的のために建てられる無用途建築物。
今回は多目的な用途を考えてるが、 用途よりも形を優先するという意味において用いている。)
写真以外の場所(大道通周辺、 六甲八幡町、 楠丘町、 本山中町、 芦屋市公光町)も春に咲く花の種蒔きを終えました。
あと2〜3箇所を残し秋蒔きは終了します。
いよいよ春の花と同時に『樹』を植えるプロジェクトに向けて準備していきたいと思っています。
シンポでは、 環境保全部会が取組んで来た神戸市内のまちづくり協議会の全調査とヒアリング結果の報告、 地元からの活動状況報告等が行われ、 まちづくりリーダーの果たす重要性など、 復興まちづくりを進めるうえでの様々な問題点や方向性が議論され、 最後に6項目の提案を参加者一同で採択しました。
資料あり(500円)
早速これの活用方針が以下のように検討されています。
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富島の現在―問題点と展望
事業に対する賛否の声が飛び交い、 ときにそれが怒号となり、 今後のまちづくりへの明確な方向づけが決まらないまま時が過ぎるにつれ、 多くの物言わぬ人々の存在が気になってきた。
区域及び被災状況図
クリックすると大きな図が見られます(54K)
概要
・面積:20.5ha
・被災率:84% (全・半壊の合計)
・権利者:約660名 (借家権利者120名)
・人口/世帯数:602世帯/1,674人
ミニ・コレクティブハウジングの供給が始まっている(その3)
岡山県サニーハウス鴨方〜ひとりぐらし高齢者協同居住〜訪問記
石東 直子(石東・都市環境研究室
岡山県は1994年度に「ひとりぐらし老人共同生活支援事業」を創設し、 事業を実施する市町村に、 施設及び設備、 並びに運営に要する費用の補助を行っている。
しあわせ荘平面図
サニーハウス・鴨方、 外観
サニーハウス・鴨方、
平面図
「灘の酒蔵」復興プロジェクト
関西建築家ボランティア・「灘の酒蔵を復興させる会」代表 中井 清志
神戸市東部の海岸部に帯状に伸びる東灘・灘の酒造業地帯は、 日本酒の代表的な地場産業の地帯であり、 魚崎郷・御影郷・西郷と西宮市の西宮郷・今津郷を入れて、 「灘五郷」と呼ばれている。
フォリー配置図
クリックすると大きな図が見られます(106K)
INFORMATION
花咲かだより/2の2
春まきの花が夏を彩りとにぎわいを与えてくれましたが、 第一園芸さんの予想どおり10月も終わりに近づくとコスモスもひまわりも枯れかけ、 そろそろ冬支度が始まりつつあります。
―かすみそう、 ひなぎく、 ひなげし、 など―
鷹取カトリック教会のミサに来られた人達の手による種蒔きができました。
面でも線でもない新しい企画、 春の開花をお楽しみに。
森崎事務所のスタッフとご近所の方々約20人の参加を得、 NHKニュースに流れました。
トレーラハウスに仮住まいの榎原さんとハウスの周辺にアートで種まきをしました。「住民参加の復興まちづくり」シンポ開催される
10月28日、 地元まちづくり協議会代表者や研究者等の参加するシンポジウムが開かれました(建築学会近畿支部計画系4部会合同研究会主催)。
シンポの模様、 こうべまちづくり会館にて。連続映画祭・第1回―連帯せよ!復興市民―
〈第1部:映画〉
「人間のまち、 野田北部・鷹取の人びと」 監督と語り:青池憲司
「20年後の東京」(監修:石川栄耀)解説:佐藤 滋
〈第2部:シンポジウム〉
「震災復興、 市民の連帯をめざして」
*「20年後の東京」は昭和22年作成の戦争から20年後の東京の計画を紹介した極めて
貴重なフィルムです。
(「人間のまち……」は前号で詳報)
第4回都市環境デザインフォーラム・関西
「まちとアイデンティティ」―震災に見る市民参加の都市環境デザインの連続性―
日時:11月17日(金)9:30〜17:00
場所:兵庫県民会館9階ホール
費用:2,000円(会員・学生は1,000円)
申込先:都市環境デザイン会議(JUDI)・フォーラム実行委員会(都市環境計画
研究所・大矢京子 FAX.06―946-9747)
基調講演:「場とアイデンティティ」―エドワード・レルフ(トロント大学教授)
JUDI会員等によるパネルディスカッション、 その他芸術工学会・第3回大会
日時:11月12日(日)9:00〜17:40
場所:神戸芸術工科大学(地下鉄研究学園都市駅)
基調講演:池田武邦(日本設計会長)
研究発表:押田榮一、 吉武泰水、 他
シンポジウム:「災害とデザイン」―齊木崇人、 宮西悠司、 三木善彦、 他
ネットワーク事務局より
阪神・淡路ルネッサンスファンド(HAR基金)について
HAR基金は現在約1,000万円集まっています。
*詳しくは、 ネットワーク事務局まで
コレクティブ・ハウジング事業推進応援団/第3回ミーティング
■連絡先:阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク事務局
第2回・東灘区市街地連絡会
―“白地地域"の取組方針について―
〒657 神戸市灘区楠丘町2-5-20
まちづくり株式会社コー・プラン
TEL.078-842-2311 FAX.078-842-2203
担当:天川・中井
〒657 神戸市灘区六甲台町1
神戸大学工学部建設学科
TEL.078-803-1029 FAX.078-803-1029
担当:児玉
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