あとがき |
参加者へのお礼
企画の目的
企画会議をしながら「問題」が大きいことであるし、 根が深いためどこかの時点で意見の対立が起こると会議そのものが、 止まったり予定の議題が討議できないのではないかと危惧されました。 そのような心配はとりこし苦労に終わりました。 六時間もあるのだからと思っていましたが、 やってみるとあっという間の会議でした。
震災発生から半年の動きに限定した理由
「土地区画整理事業」を中心に座談会を進めた理由
成果
課題
被災者はあれやこれやとただ要求を繰り返すのではなく、 自立して復興しようとしています。 個人の復興が基本ですがその連続体である地域の復興は、 個人の利益と権利のみの追及では成し得ないことも分かりました。 対立から対話へと住民の間に流れが出てきた時期に、 その流れを止めてしまうような動きがあったことは残念でしたが、 私たちは乗り切り、 事業として結実させるところまで来ています。
最後に
また、 この会議の内容は後世への記録として残し特に大都市の市民や行政の方に知ってほしいと思っています。 私たちの苦く辛い経験は他の地域の方々には二度として欲しくないからです。
一九九九年一月十七日未明に六時間にもおよぶ「座談会」に参加して下さった皆様に、 改めて感謝いたします。 皆さん十七日には各々が行事を抱えたなかでのスケジュール調整は大変困難であったのではなかったのかと思いますときに、 神戸まちづくり協議会連絡会の呼びかけを快くご理解いただき、 ご参加いただきましたことは、 主催者としては感謝のいたりです。
震災から四年が過ぎ、 震災のもたらした被害もさることながら、 その被害を被災者がどう受け止め、 何を言わなければならないのか……本音を語ってみようというのが企画の目的でした。 しかしながら、 二十三名という多くの出席者のために十分に意見を言えなかった方々もあったことだと思います。
行政の担当者が会議に出席することもあり、 現在進行形の話題はしにくかったため今回は初動時に絞って討議しようと試みました。 神戸まちづくり協議会連絡会は、 公民一体となった「まちづくり」を目指していますが、 それでも細部に至っては行政とよく対立しました。 お互い立場の違いはよく分かった上で、 制度の考え方の限界を高めるべく討論を重ねてきました。 それでも、 震災から半年の関連する様々な機関の動きには腹に据えかねる出来事がたくさんありました。 その辺を明らかにしたかった思いがあります。
震災がらみの制度は多数ありますが、 最も具体的で多数の市民を巻き込んだ「土地区画整理事業」を取り上げたのには、 以下の理由があります。
一 建設省主管の制度としてかなり成熟した制度であること。
以上の様な理由から「土地区画整理事業」を中心に据えて「座談会」を進めました。
二 震災を反省し防災に強い「まちづくり」をするためには、 被災地だけではなく全国的な課題を含んでいること。
三 地域コミュニティーの果たした役割は大きく、 コミュニティーの性格によって相当な違いがあり、 またその違いを相対的に明らかにすることができること。
四 行政と住民組織の二者の話し合いであるものに、 マスコミやその他の組織がかなり影響を及ばすことが明らかとなったこと。
都市計画決定の素案づくりの段階での行政の事情と、 被災者の緊急・応急的な活動との発想の違いについて明確にすることができたと考えています。 また、 立場の違いはあっても粘り強く話し合いを続けた地域が当然ながら事業の進捗も早く、 同時に忘れてならないことは、 「まちづくり」のヴィジョンが明確になっている点です。
大都市での大規模自然災害からの復興は、 既存の制度では問題があることは明らかとなりました。 住宅、 雇用、 地域経済、 そして被災者の心の復興についてこれといった一般解はありません。 ただ座談会で室崎先生のおっしゃられていた「復興法」の考え方は、 これにあたるかもしれません。 「災害救助法」や「災害援助法」から「被災者支援法」へと段階を踏み、 次の段階としては、 被災地を総合的に支援し、 公助、 共助そして自助を進めることのできる制度や法は早急に整備する必要があると考えています。
企画から準備・本番そして後片付けと苦労の多い「座談会」の企画でしたが、 震災がらみの問題の検証はとても一度だけではできるものではありません。 第二、 第三の「座談会」の企画が必要であると考えています。
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