都市デザインの手法

魅力あるまつづくりへの展開
〈改訂版〉

1998.3.25
B5W・192頁・3000円+税
鳴海邦碩+榊原和彦+田端修編著
ISBN4-7615-3020-0
イメージ 表紙 イメージ
イメージ写真提供 都市環境デザイン会議関西ブロック

貴方は人目(98.5.10〜)の訪問者です。


あとがきより

改行マーク 本書は1990年に出版された『都市デザインの手法−魅力あるまちづくりへの展開』の改訂版である。その前には、わたくしがまとめ役となって、『都市デザイン:理論と方法』を1981年に出版しているから、これが三代目ということになる。

改行マーク 前書が出版された同じ年に、本書の中でも触れているが、都市環境デザイン会議が設立された。この会議は、「建築」「土木」「ランドスケープ」「インダストリアル・デザイン」「アート」「都市計画」の分野の会員によって構成されており、結成後、さまざまな形の活動が積極的に展開されてきている。このことは、都市のデザインに関する課題が、社会的にもますます重要視されてきていることを反映している。

改行マーク 本書の構成は基本的に前書を受け継いだもので、その後の制度の改正や都市デザインをめぐる社会的な関心を勘案して改訂を加えている。もっとも大きな改訂部分は、「イベントと都市デザイン」の章を削除し、新たに「環境共生と都市デザイン」を加えたことである。その理由は、前書を作成していた時期にいわばブーム化していたイベント型のまちづくりが沈静化し、代わって環境をめぐる課題を都市デザインの領域に取り組むことの必要性がますます重要視されてきたからである。

改行マーク 改訂のもう一つの背景として、1995年1月、大地震が兵庫県南部地域を襲ったことがある。震災復興への努力が現在も被災地において進められているが、その中で、協働のまちづくりの重要性がこれまでにも増して、強く認識されてきている。このことを踏まえ、「まちづくりと住民参加」の章を大幅に改訂している。

改行マーク 本書は都市デザイン、環境デザインを学ぶ者のための入門書として編まれているが、実際にまちづくりに取り組んでおられる方々の参考にもなる。デザインというと「美的あるいは奇抜に装うこと」と思われがちである。しかし、デザインは、「美しい」「わくわくする」「温かさがある」「ほっとする」「なごむ」などといった、人間の感覚的な評価を重視した創造行為である。デザインをそのように理解し、本書に親しんでもらえれば幸いである。
改行マーク 1998年3月

編者を代表して  鳴海邦碩

目 次


第1章 都市デザインの領域と基本的な考え方

大阪大学教授 鳴海邦碩
三角印1・1 都市の魅力の変遷
三角印1・2 魅力ある都市づくりの展開
三角印1・3 景観形成から都市デザインへ 三角印1・4 都市デザインの基本的な考え方
三角印1・5 何をデザインするのか
三角印1・6 都市デザインとセンス
三角印1・7 都市デザインは誰が担うか

第2章 都市デザインの系譜

鳴海邦碩
三角印2・1 都市をつくることとデザインする者
三角印2・2 壮大な都市造形の系譜 三角印2・3 ヴァナキュラーな都市形態 三角印2・4 日本の都市造形 三角印2・5 近代初期の都市デザイン 三角印2・6 新しい都市デザインの台頭 三角印2・7 新しい都市デザインの時代

第3章 都市デザインと都市イメージ

大阪大学助手 久隆浩
三角印3・1 都市イメージとは何か 三角印3・2 イメージの画一化からの脱却 三角印3・3 居住体験と都市イメージの関係 三角印3・4 都市イメージの分析方法 三角印3・5 イメージを用いた都市デザイン

第4章 街路空間のデザイン

大阪産業大学教授 榊原和彦
三角印4・1 都市デザインと街路 三角印4・2 街路網の構成 三角印4・3 街路空間のデザイン

第5章 歩行者空間のデザイン

榊原和彦
三角印5・1 都市デザインと歩行者空間 三角印5・2 歩行者行動と歩行者空間の構成 三角印5・3 歩行者空間のデザイン

第6章 広場のデザイン

大阪大学助教授 加藤晃規
三角印6・1 広場の機能
三角印6・2 広場の形態 三角印6・3 都市広場の形成手法
三角印6・4 街の変遷と広場の役割

第7章 緑と公園のデザイン

兵庫県立人と自然の博物館 中瀬 勲
三角印7・1 はじめに
三角印7・2 緑の役割とそのデザイン 三角印7・3 人間生活と公園・庭園 三角印7・4 デザインの目標と課題

第8章 水辺のデザイン

久 隆浩
三角印8・1 水辺の役割 三角印8・2 都市と水辺の歴史 三角印8・3 水辺デザインにかかわるさまざまな制約 三角印8・4 水辺の分類とデザインのあり方 三角印8・5 水辺のデザイン 三角印8・6 都市デザインと水辺

第9章 街区と敷地のデザイン

大阪芸術大学教授 田端 修
三角印9・1 街区の構成 三角印9・2 街区と敷地割の略史 三角印9・3 都市建築の類型―敷地と建築の対応型 三角印9・4 近代以降の都市建築 三角印9・5 現代における街区と都市建築の課題

第10章 町並みのデザイン

田端 修
三角印10・1 都市における町並み 三角印10・2 町並みの型 三角印10・3 町並み整備の課題

第11章 商業空間のデザイン

武庫川女子大学教授 角野幸彦
三角印11・1 はじめに
三角印11・2 ものを売る場の変遷 三角印11・3 商業空間のデザインエレメント 三角印11・4 商業空間の代表的事例 三角印11・5 商業空間の事業計画と計画体制

第12章 歴史的環境の保存

金沢工業大学教授 土屋 敦夫
三角印12・1 現代における歴史的環境の保存の意味 三角印12・2 民家の保存 三角印12・3 近代洋風建築の保存 三角印12・4 町並みの保存 三角印12・5 世界遺産と文化財登録制度

第13章 まちづくりと住民参加

近畿大学教授 安藤元夫
三角印13・1 まちづくりと住民参加 三角印13・2 行政主導の都市計画における住民参加
三角印13・3 住環境整備をめざす総合的なまちづくり運動\f\g 三角印13・4 地区計画・建築協定によるまちづくり 三角印13・5 景観形成をめざすまちづくり
三角印13・6 コーポラティブ住宅によるすまい・まちづくり
三角印13・7 阪神・淡路大震災と住民参加のまちづくり 三角印13・8 おわりに

第14章 環境共生と都市デザイン

兵庫県立人と自然の博物館 澤木昌典
三角印14・1 環境共生の時代へ
三角印14・2 環境共生時代の都市デザイン
三角印14・3 環境負荷の軽減―サステイナブル・デザイン 三角印14・4 自然との共生―エコロジカル・デザイン 三角印14・5 次世代への都市デザイン 三角印索引
三角印あとがき

ご注文はこちらへ
学芸出版社

図書目録へ
学芸出版社ホームページへ