バウビオロギーの概念
バウビオロギー(Baubiologie)とは、ドイツ語を直接にカタカナで表したものですが、その意味するところは次のようなものです。
まず、BAU(バウ)とは建築、建設、構成、機構などを意味します。概念としては、人間が建設してきた外界(環境なども含めた全体)のことを意味しています。
次の、BIO(ビオ)は生物を意味しており、人間、植物、動物など、地球上のすべての生命体という概念で理解すればいいでしょう。
最後に、Logos(ロゴス)は、ラテン語で言葉、精神、世界理性ということを意味しています。
以上の三つの言葉が結び付いた「バウビオロギー」とは、「人間が人工的に作り上げた環境や全体と、地球上の生命を、ロゴスで結び付けた」ということを意味するわけです。ドイツ語的な説明になりましたが、簡単に言うと、人間がしてきたこと、していくであろうことも、自然がしてきたこと、していくであろうことも、そのすべてが、ひとつの世界理性に貫かれている、ということを意味しています。建築と生物の中間をロゴスが埋めてくれている、ということなのです。
もっと要約すれば、バウビオロギーとは「人間と自然に適合した理性ある建築」ということなのです。
■新世代バウビオロギー
さてバウビオロギーという言葉じたいはドイツ語ですので、日本ではあまり聞かれない言葉です。ビオロジカル建築とかエコロジー建築とでも訳すべきでしょうが、正確には、ちょつとニアンスがちがいます。地球と人間と建築の全体をとり包む言葉としてバウビオロギーという言葉を使い、その下にビオ建築、エコ建築、省エネ建築、ソーラーハウス…etc、などがカテゴリーされると、大まかに言えます。
ボーデン湖を中心に広がったバウビオロギーは、ドイツ語圏ヨーロッパでは特に新しい事ではありません。しかし、この10年間で新しい世代のバウビオロギーが展開されています。各国に、独自のバウビオロギーインスチィチュート、協会、組合、教育機関が整い また、建築建材に新しい世代のデータ付きビオ建材の数が充実し、始めからバウビオロギー建築家の計画した住宅が数多く建てられています。
一世代前のバウビオロギーは、コンクリート建築やモダン運動に逆行するものと誤解されていましたし、一部の知識人の理想論とかたずけられていました。確かに人間によさそうな事はわかるが、それを行える時間と余裕が、大戦後の処理に追われたヨーロッパにはなかったのでしょう。
それまでには、ずいぶんと時間がかかりましたので、その間に幾度となくバウビオロギーの在り方が検討され、改良されて、今日のモダンなバウビオロギーの成立へと成長していきました。