プロが教えるキッチン設計のコツ
 

井上まるみ 著

A5判・224頁・定価 本体2300円+税
ISBN4-7615-2334-4

■■内容紹介■■
栄養士でもある女性建築家が提案する、暮らしを見つめた、なるほど納得!のキッチン論。食事づくりを重視し、動線・収納・デザイン・価格・設計思想に至るまで、数多くの実例をもとに考え抜かれた目からウロコの知識満載。施主の「憧れ」だけに流されず、生活に根ざした設計で、住まいの心臓部「キッチン」をもっと豊かに!


 
読者レビュー

はワンルームマンションに住んでいる。台所はいわゆるミニキッチンだ。1.5mの幅に電熱器が一つと、フライパンを入れればいっぱいになってしまうシンク、小さな吊り戸棚が付いている。
 元々もの作りが好きで建築関係の仕事に就いた私は、料理も嫌いではない。後片付けをしないでいいなら、どちらかというと好きな部類だと思う。学生時代はほぼ毎日夕食を作っていた。
 ところが、今の家に住み始めてから数年、ほとんど料理をしなくなっていることに気が付いた。理由を考えてみたら何のことはない、台所が非効率なのだ。水切りカゴを置く場所がない。調理台におけばまな板がはみ出る。まな板を置けば切った食材を置く場所がない。シンクに洗い物を溜めておけないので、一つ作業をするごとに調理器具を洗わなくてはならない。自然と作業が増え、それに従って料理がおっくうになる。仕事で疲れているのに、家に帰ってわざわざ料理などしたくなくなるのだ。
 この本は食生活の大切さ、それを生み出すキッチンの重要性、そしてその計画手法について書かれたものである。自分で家事をする生活者として読めば、もっともかつ当たり前なことが書いてあるのだが、一人暮らしの友人宅や仕事で目にする住宅の図面では、全くと言っていいほど考えられていないであろう内容である。
 これから家を建てようとする人の勉強にもいいと思う。しかしとにかく住宅の設計者やキッチンメーカーの人には是非一度読んでいただきたい。そして一月でもいい、毎日料理をする生活を体験してみてほしい。
 そうすれば、今ちまたに出回っているキッチンが、いかに使いにくいものか理解できると思う。そして、そんな使いにくいキッチンが世の中から(たとえワンルームマンションでも)消えてなくなることを願う。
(地方公務員/荒木令子)

担当編集者から

に「使いやすくておしゃれなキッチン」を作るための本ではありません。毎日の暮らしのなかで、「食べること」がいかに大切か、そのためにどんなキッチンを作ればいいのかということを長年追求してきた、著者の熱い思いを感じてください。

(G)