シックハウスがわかる
 現場から学ぶ本質と対策

(社)大阪府建築士会
(社)大阪建築士事務所協会
(社)日本建築家協会近畿支部 編

A5判・208頁・定価 本体2000円+税
ISBN4-7615-2340-9

■■内容紹介■■
これまでのユーザー向けの本や難解な専門書ではなく、設計・施工に携わる実務者向けの実践的入門書。改正建築基準法の一歩先を行くためのシックハウスの基本的な考え方、必要不可欠な対策を、建築実務者・研究者(環境工学、設計、建材、設備、施工)、医師、弁護士、患者ら、多彩な分野の執筆陣が明快に説く。


 
読者レビュー

築基準法の改正で消費者も業界関係者も安心していますが、これで本当にシックハウスがなくなるのでしょうか?
 答えは「ノー」です。現存する化学物質の数量は20世紀末の数字で世界中に3300万種あり、その中で商業取引されているのは150万種、内3%から4%の化学物質の性質が把握されているのみなのです。したがって私達の知らない有害化学物質はどれくらいあるのかわからない状態なのです。その状態の中でクロルピリホスやホルムアルデヒドだけがシックハウスの原因と決めつけるのは、大きな間違いなのです。
 何故それが言えるのか、それは私自身が患者だからです。2003年に完成された公共建築物で私自身が大量曝露され、それ以来、化学物質過敏症となってしまいました。幸いなことに、軽いままで治療を続けており幾分か楽になっております。よくメーカーなどの営業マンが自然建材と言って持ってくる建材でも、それに有害なものが入っているかどうかは私の身体が教えてくれます。どんな感知器よりも優れた感知器として自身の身体が働いてくれます。
 そもそも気候風土に適した材料と建て方で建てられた日本の建物は、健康で暮らすには十分なものでした。にもかかわらず、私達は、安い・簡単・便利・早い・丈夫・かびない・汚れないことなどを求めすぎ、シックハウスはその本末転倒な暮らしの追求から生まれた人災なのです。
 シックハウスや化学物質過敏症に関しては、多くの人からすれば他人事かもしれませんが、家を建てる、また改築する人にとっては重大な検討事項として取り上げる必要があるものなのです。しかし、建築基準法が改正され、設計者や施工者、そして施主、それに行政、建築に関わる全ての人がそれによって妙に安堵感を覚えてしまっているのが現状なのです。
 これから家を建てる、リフォームを考えている方、そして何よりも建築の専門家達には少しでも多くの情報を得ると同時に私達の生の声を聞いていただき、真の情報を得ていただきたい。というよりも知らなければ安全な空間を得ることができないことを知っていただきたい。
 この本を何度も繰り返して読んでいただき、シックハウスについて深く理解していただくことが、増え続けるであろう患者を食い止めることになると信じております。
((特非)日本バウビオロギー協会/渡邉公生)

担当編集者から

の本は「現場主義」にこだわった。これまでシックハウス問題に真剣に取り組まれてきた方々ばかりを執筆者に迎え、現場経験からのみ導かれる説得力のある具体的な情報こそが今求められていると考えたからだ。
 この本が完成する前日、シックハウス症候群に悩む妻の自殺を幇助した夫が逮捕されたというニュースを読んだ。こんな痛ましい事件が二度と起こらぬよう、建築に携わる人々には心して建築をつくってもらいたい。
 この本を読めば、もうシックハウスに無関心ではいられなくなるはずだ。

(HM)