木へんを読む
 

佐道 健 著

四六判・192頁・定価 本体1600円+税
ISBN4-7615-1203-2

■■内容紹介■■
カタカナで書かれることが多い木の名前だが、漢字で書くと一体どれくらい読めるだろうか。木の名前や漢字は時代や地方でも違い、謎がいっぱい。本書では木偏の漢字で樹木を選び、スケッチとともに樹木や材の特徴、古来からの人々との関わりをまとめた。様々な疑問もこれで解決、違った角度で木を楽しむことができるだろう。


 
読者レビュー

「1分間に木へんの付く、木の名前書いてください。」
 私のワークショップでは、まずこのクイズに挑戦してもらいます。
 小学生の場合は大体平均して4〜5個ぐらい。たくさん書いている子供の中には「橋、横、柱」などが混じっていました。建築系の大学生は平均8個、山歩きが好きな中高年の方々は平均12個ぐらいの成績でした。
 ワークショップを始めた理由は、銘木業の修行時代に得た木に対する興味を伝えたかったからなのだと思います。当時、普通のOLから転身して木の世界に飛び込んだ私は、この木何の木? という状態でした。
 山に入り、ひとつひとつ木と触れ合ううちに、生えている場所によって杉は杉でも色、香り、皮の艶が全く違います。樹齢百年を超えている木は、その巨大な姿が神々しく、その息吹に圧倒されます。
 「この木はなんという木なんだろう?」一生懸命調べて、葉っぱや製材した木の写真を取りながら過ごした記憶があります。
 このたび、佐道先生の著書「木へんを読む」に出会い、当時のことを鮮明に思い出しました。日本は木へんの文字が多くあります。しかしながら、地方によっては呼び名が違ったり、漢字が2〜3種類あったりと、実はややこしいのです。
 本書の中の「木の名前の由来」や「木の名前はどのように伝わったか?」という項目は、まさにその答えになっていると思います。
 よく「自然が好きです」とうおっしゃる方がいます。でも漠然と緑がいいなぁと考えているのではないでしょうか?
 皆さんが好きだなぁと思う森は1本の木だけではできませんが、一本一本のさまざまな種類の木から成り立つのです。本書の中には世界の中でも有数の森を持つ日本の木々が一樹種ずつわかりやすく解説されています。
 木の国ニッポンは、はるか昔の話。今では、なかなか木の名前や特長、仕事を知る人は少なくなりました。日本の歳時記には、その緑豊かさを称えて、祭りや季節を愛でることが暮らしに根ざしていました。
 日本人は忙しい生活の中でも、青空にそびえたつ木々の生命力を感じれば癒されるはずです。本来の日本人は自然との共存が当たり前だったのですから。本書は、現代のあなたと自然とのコミュニケーションをつかさどる一冊となるでしょう。何事も、相手の名前や特長を知ることは、その素晴らしさや親しみを感じる近道なのですから…。

(叶逍{銘木商会/中川典子)

担当編集者から

こに載っているのは、ほんの一部の樹木にすぎませんが、知ってるつもりでも知らなかったことが実に多いことに気付かされます。昔の人は木を育て、使い、愛で、木とともに暮らしがありました。いまではその術さえ忘れられつつあります。身の回りにはいろんな木があります。それをただ漠然と「木」として捉えるだけでなくて、それは何という木か、どんな花が咲くのか、実がなるのかと、興味をもって見れば、もっと世界はひろがると思います。そんなきっかけになる本です。
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