山本良介 著

四六判・240頁・定価 本体2000円+税
2006.11.30発行
ISBN4-7615-2396-4

■■内容紹介■■
京都の町家が景観に配慮しながら脈々と受け継いできた、犬矢来や虫籠窓。だがこれらは美しい町並みをつくる要素であるだけでなく、市井の人びとの生活や大工たちの営為を伝える、1200年の都市の記憶でもあったのだ。建築設計に携わりながら、京都が京都であり続けるための〈遺伝子〉を追い求めた建築家が語る、京町家の魅力。


 
読者の声

著者に頂戴した本書への感想の一部を掲載させていただきます。

   * * *

京の遺伝子、どんどん紹介ください、京都のために。
T・T(広告会社役員)

観ながら、読みながら楽しいものだから、考えもせずに、一気に。気がつけば 238ページが終わってしまいました。貴方らしく、気取らない平易で自然体の文章は、我々凡人にも解りやすく、本当に結構なお味です。
S・T(建築関係者)

京都に暮らしていないと撮れない素晴らしい写真の数々、軽妙洒脱な文章で、楽しい本に仕上がってますね。この風景を失ってしまったら、日本はなくなってしまう。そう思わせる説得力がどのページにもあふれています。
H・M(ジャーナリスト)

歴史が建物を生み、建物が街を造ることを足で実感されていることと推察いたします。中3の上の息子が京都へ修学旅行に行くので持っていけと渡しました。
Y・M(建築関係者)

久しぶりに私も旧市内を歩いた気分になりました。「あ! これ知ってる」「あったなぁ、こんなん」「今もあるやろか? なつかし」などと言いつつ、頁をめくりました。何ともなく使ってた「バタン床几」(子どものころそういってた)もなつかしく昔にひたりました。
K・T(陶芸家)

大変貴重な資料として、今後も「京町家の手引き」として、大事に使わせていただきます。著者の良心がはっきり伝わってきます。
H・M(都市プランナー)

92歳までの撮影行脚宣言、なかなかいいですね。活字の大きさを(小さいかと)心配していたら、なんとそれにプラスアルファして、キーワードは特大活字。これなら読みやすい。
T・H(ジャーナリスト)

単に建築言語としての遺伝子の発掘や記録ではなく、建築家が感性で把握された現在の京文化の記述だと感じています。町家が生活の中で成立し、すぐれた職人達の競い合いと工夫によって磨きあげられた歴史の産物であるという視点も感じることができました。
H・E(建築家)

(ずっと以前から著作を)拝見していましたが、今回のトータルプレゼンテーションとしての出版は、軽妙洒脱─これも京文化ですね。楽しく発見することの充実している本です。
H・M(大学教授)

この本は見る本である。大工さん達の粋ごころを楽しむ本である。
A・D(料亭主人)

京を好きになる若者が増えることに、十分貢献する本と思います。ますますの行脚を期待いたします。
H・T(雑誌編集者)


担当編集者より

町家の格子や虫籠窓などのデザインは、地域や商いにより違っており、バラエティにとんでいるが、全体的には見事に調和された町並みが形成されてきた。この多様で洗練された木造建築群は、今日の京都のアイデンティティともいえるものだ。
  もちろん、そのような景観的な調和は、建築技術的な限界(材料や施工の限界)があったことが大きな理由であることはいうまでもない。
  ただ、同時に、建築の機能を突き詰めていった結果のものを、京都のひとが「ほんものや」と認め、「うちもよそさんと同じええものを」として、真似てつくられてきたものがある。大工さんも自らの職分において、少しでもいいものにと、そのかたちを研ぎ澄ませてきたものだ。
  そのうちの、現在に至るまで残るものが、著者が歩いて見つけた「京町家の遺伝子」である。
  1200年ものあいだに、ゆっくりと熟成されてきた町家のデザイン。「ほんもの」は時間を超えて存在するといえるだろう。町家を残す理由のひとつはそのあたりにあるのではないだろうか。
(C)