望月大介 著

A5判・200頁・定価 本体2200円+税
2007.9.10発行
ISBN978-4-7615-2412-8

■■内容紹介■■
住宅は、住みやすく、美しいことが基本であり、それが快適な空間につながっていく、というのが著者の主張である。与条件の読み解き方から、デザインの発想法、敷地の捉え方、多様な平面計画、居間の重要性、屋根形状の選択、吹抜・天窓などの室内空間の仕掛けまで、40年におよぶ経験から生まれた住宅設計の実践的入門書。


 
読者レビュー

い本が出たと思う。
 著者は長年教育者として、また建築家として活躍してきたが、この著は40年余にわたる経験が培った住まい造りの思想とさまざまな手法の集大成である。最近よく見かける家づくりの「うまい話」を満載したハウツーものの本とは一味もふた味も違っている。優れた住まいとは、家族が健全な生活を送ることができ、横着をして環境や人間の生活をダメにするものではない。
 住宅は最も身近で難しい建築と言われるように、立地条件やクライアントの要求など多くの要件をまとめ上げねばならない。近年奇をてらったデザイン優先の住宅と、商品化された量産住宅が林立する中で、著者は設計条件を丁寧に読み取り、クライアントの要求に誠実に答えていく。その姿勢が一貫していて、その蓄積が自分のスタイル、いわば望月流をつくりあげてきた。
 内容に触れると、設計の手がかりから完成までの道筋とポイントを、順序立てて解説している。
 たとえば、敷地については、道路との関係に対する対処の仕方、変形した敷地の扱い方、レベル差の活かし方や方位について丁寧に説明がなされている。また外観や屋根の様々な形の意味、パターンごとに平面計画の考え方やその長所短所を実作品や名作を例にあげているため分かりやすく説得力がある。家づくりは単なる思い付きのアイデアや技術だけでできるのではなく、深遠な思想と広い見識が必要であることを教えてくれる。
 こうした著書がもう少し早く出ていれば我が国の住宅地も異国趣味、混乱した住景観などと陰口をたたかれることにはならなかったかもしれない。
 また、何といってもよく読み砕かれた文章は読みやすくわかりやすい。聞けば著者の奥方が、読者の立場で原稿を読み、文章や言い回しなどを細かくアドバイスをされたという。この著はそうした夫唱婦随の微笑ましい努力の成果品でもある。
 これから住まいを建てる方、建築を学ぶ若い諸君にぜひお勧めしたい一冊である。
(工学院大学教授/中山繁信)


担当編集者より

書の著者は、エッジなデザインを仕掛けていく建築家ではなく、どちらかといえば、住まい手とのコミュニケーションを大切にし、豊かな空間づくりに身を焦がすタイプです。本当にいいものとは何か、日々を楽しく暮らせる家とはどのようなものかをじっくり考え、決して、派手なデザインは提案せず、熟慮ゆえの仕事が、著者のすべてをかたちづくっています。本書は、そんな著者の仕事振りのエッセンスが詰まっています。ご一読ください。
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