地域の知恵が魅力を紡ぐ

久保田 美穂子 著

A5判・208頁・定価 本体2000円+税
ISBN978-4-7615-2433-3
2008.6.30 初版発行

■■内容紹介■■
宿泊客数減少に悩みつつも、意欲的な取組みで勢いを取り戻す温泉地が増えてきた。本書では、阿寒湖、知床ウトロ、別府、赤倉、野沢、湯布院、鶯宿、土湯、下呂、四万、城崎の各温泉地の先進的な動きを紹介し、各地のリーダーたちが地域の知恵を生かして独自の魅力を創出していく姿勢から、次代の温泉地が生き残る術を探る。


 
読者レビュー
 日本人はみんな温泉が好きなのに、温泉地と温泉旅館は厳しい状況にあるところが多い。本書は、「日本の温泉地は、温泉好きの日本人の要求に、うまく応えられていないのではないか」という疑問から始まっている。著者の久保田美穂子さんは、数少ない成功事例とされる全国の温泉地を丹念に調べ、地域のリーダーにインタビューをすることによって、それに答えを出そうと試みている。
 本を読み始めると、次々と温泉地再生に関する興味深い話が展開し、一気に終わりまで読んでしまった。つまり試みは成功したということである。温泉地の再生というと、「散歩が楽しい街を造る」「浴衣の似合う街」「情緒あるレトロな街並み」……などという提案に落ち着きがちである。しかし、本書においては、そのレベルに留まらず、さらに一歩踏み込んで、成功の要因を探っている。それぞれのリーダーが語る成功要因には、思わず膝を打つ名言や我が意を得たりと同感するところが多いのであるが、それを見事に引きだしたのは、インタビュアーとしての資質が高い久保田さんの手柄だろう。地域の将来について真剣に考え、情熱を傾けるリーダーたちの話に熱心に耳を傾け、ある時は、納得のいくまで疑問をぶつける。それを地域の視点から受け止め、咀嚼し、消化した上で、自分の言葉で温泉地づくりを語っている。最後の章では、各地の事例から一般論として新たな方向を探っている。その中では、理論化の試みも行われるが、全国各地の多くの事例を踏まえた上でのものなので、決して上滑りをしていない。
 本書は、全国の問題を抱えた温泉地が、これからの新しい温泉地づくりを考えていくための必読の書であると思う。また、地域主体の動きによって、地域の誇りを生み出し、地域づくりを活性化していくプロセスは、温泉地だけに限らず、他の種類の観光地や観光地ではない都市のまちづくりにも共通するところが多く、そのような地域のまちづくりにも希望と勇気を与えるものである。
(立教大学観光学部教授/安島博幸)


担当編集者より

 フットワーク軽く全国の先進地へ赴き、粘り強く各地のリーダーからお話を引き出す著者の文章は、臨場感にあふれ、ぐいぐい引き込まれます。
そして、サブタイトルにつけたように「地域の知恵が魅力を紡ぐ」過程が、ていねいに鮮やかに解きほぐされていきます。
読了後、よし、自分もやってみよう!と勇気が出てくる一冊になりました。
(G)