読者レビュー
ヨーロッパで発展して日本でも始まったグリーンツーリズム。著者自らの実証実験から国内の実践事例、海外の調査まで豊富な検証から、今後の我が国のツーリズムの未来のありかたが具体的に語られる。
農村景観づくりと宿泊施設のマッチング、農産物や料理のクオリティ、そしてサービスの満足度、地域の連携、経済性の確保など、トータルなデザイン力とマネジメントの力が求められているというのがよくわかる。
すでに先進地では地域個性を活かして質の高いもてなしの場を作ろうという機運があるというのが理解できて頼もしい。
海外のグリーンツーリズムを経験している一般旅行客が増えた今日にあって、地域行政担当者にぜひこの本を読んでいただきたい。というのはグリーンツーリズムには町づくりの視点が不可欠だからだ。それも今後は確実に海外客を視野に入れた農村の持続社会を作るありかたが必要で、そこで初めて内外の観光客の誘致もできる。ここには豊かな地域を創造する方向としての政策が示されている。
(食環境ジャーナリスト/金丸弘美)
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