リノベーションまちづくり
不動産事業でまちを再生する方法

清水義次 著

A5判・208頁・定価 本体2500円+税
ISBN978-4-7615-2575-0
2014-09-01

■■内容紹介■■ 
空室が多く家賃の下がった衰退市街地の不動産を最小限の投資で蘇らせ、意欲ある事業者を集めてまちを再生する「現代版家守」(公民連携による自立型まちづくり会社)による取組が各地で始まっている。この動きをリードする著者が、従来の補助金頼みの活性化ではない、経営の視点からのエリア再生の全貌を初めて明らかにする。



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評 : 竹内昌義 (建築家/みかんぐみ)

この本はリノベーションとありますが、建築の専門書ではありません。人口減少、高齢化に伴い、自治体の収入が減り、中心市街地が衰退して行くなかまちづくりに関わる全ての人のための本です。でも、現状維持を考えている商店主のための本ではありません。人通りが少なくなっている町を見て、漠然となんとかしたい人、あるいはお店(カフェとか雑貨屋さん)をやってみたい人のための本です。あるいは、役所でなんとなく今までのやり方に疑問を持っている人のための本です。
人口増加時代には制度をゾーンごとに網がけをする都市計画の手法がうまく機能していましたが、現在はうまくいきません。再開発をしてもテナントが入りづらくなっています。この状況のなかで重要なのはコンテンツ。筆者は風俗や流行を観察する考現学の手法を応用して、まちをつぶさに観察し、この手法を編み出しました。そのノウハウが詰まっています。
現在、人口減少の時代に対する理解はすでに全国的に共通なものとなっていますが、それに対する方法論は、実はどこにも示されていません。その方法が実にわかりやすく解説されています。具体的には「パブリックマインドをもった民間が補助金に頼らず、小さな事業を起こしつつ、その敷地だけではなく、スモールエリアを変えていく。行政がその事業に協力し、それを応援していく。」ことを目指します。これは、後に負担になる無駄な投資をする再開発でもなく、まちづくりを外部委託し思考停止、あげくに悪平等を徹底する行政のスタンスでもありません。また、未だに人口増加時代からの方法を捨てられない専門家とも無縁のものです。
そして、それらの取り組みは現在、確実に成果をあげつつあります。この本はそれらの事例を交えつつ、物語としても楽しめます。ただ、単なる物語ではなく、この本をガイドブックとして具体的に使い、まちづくりを実践することが求められています。

担当編集者より

補助金漬けの「まちづくり」はもうダメ。よく聞く言葉です。
この本は「では、どうすればいいのか」に真正面から答える本です。
本書で、「現代版家守事業」という、ビジネスとしてのまちづくりの最先端をご確認ください。
(岩崎)