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今回は、久しぶりの非町家改造系。気取らない、でも、そこそこ正統派のインテリアです。意外な場所にあるという感じで、普段はわかりませんが、うまぺの日は比較的静かな落ち着ける雰囲気でした。隠れ家風にも使えるでしょうが、この近辺は某関係者の散歩コースらしいので要注意かもしれません。
それはともかく、リーズナブルな料金設定で、ルーマニアワインもさっぱりとして美味でした。しかし、今回の店で何よりも特筆すべきは、コースでありながら、客の嗜好を聞いてくれる点です。結果として、今回は、私のメニューは他の二人とは若干異なるスペシャルメニュウになっています。コースと言っても押しつけがましくない、柔軟な対応が嬉しい店です。バリアフリーの料理屋さんということで好感度大アップです。
とはいえ、メニュウ的に気をつかってもらったのは前菜くらいで、あとは選択メニュウで理想的なチョイスが可能です。もっとも、メインでは、子羊と和牛とホロホロ鶏から三択という結構厳しい選択を迫られます。
料理の方は、前菜からオリジナルテイスト満載で、しかも、全体にとがった味のないマイルドな風味でまとまっている高いレベルです。
前菜ではカツオと自家製ピクルスが微妙な和洋折衷的風味でさっぱりとしていました。パスタはウニを選びましたが、これもほんのりとした甘みがトマトと絡む独特の食感でした。これは美味しかった。そして、これもまたさっぱり系です。ただ、前菜のカツオのさっぱり感とウニのパスタのさっぱり感とはすこし趣きが違います。カツオの方は素材的なさっぱり感ですが、パスタの方は目指されたさっぱり感、狙い澄ましたさっぱり感という感じです。満を持して登場したメイン料理も肉でありながら上品なまとまりでしたから、この店の味の傾向は、総じて上品な穏やかさの追求ということになりましょうか。どれも目立った自己主張はしないけど、うまく調和が取れています。それだからこそ、「肉を食べた」といった野蛮な印象は残りません。
デザートの幅も広く、いろいろと迷うことも多いのですが、それは贅沢な悩みということでしょう。料金から考えるとかなり良い店ということになります。 |
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細い通りから奥まったビルの1階、温かな灯がそそる外観。ドルチさんは裁判所の近くにあります。パワーランチ需要もありそう、かつ夜はお店が少ないのでゆったりできるとゆ性格をもったエリアです。以前お邪魔した時、待ちぼうけして手持ちの料理本をめくってたら、お店の方が話しかけてくださってお心遣いがうれしかったお店であります。
一品目のタマネギのムースでノックアウト。夏の定番コンソメジュレをくぐってたどり着いたムースの、軽やかさ、甘味、かすかに残るえぐみ、泡立つ食感。身近な素材のタマネギが、こんなに季節を感じさせる一品になるなんて!とびっくりしました。
すべての品で、野菜の存在感がすごい。冷製スープはざらざらした舌触りが苦手なN吉なのですが、かぼちゃのコリンキーを使ったここんちのスープは、さらっとしてて重すぎず爽やか。そうやよ、湿気の多いじめじめ京都の夏にはこゆ淡泊さが似合うねん。
パスタもトマトの甘味・酸味が絶妙。メインの頬肉はホロホロとろけます。でもって付け合わせのお野菜がこれまたたまらんおいしさ。香りも個々に立っていて、歯ごたえもそれぞれ楽しめるので、メインのお肉の合間に付け合わせ野菜を食べるのか、野菜の合間にお肉を食べてるのか、途中からわからなくなりました。
太鼓腹抱えてもデザートは完食。スフレは重すぎず、軽やかです。N丸のすきっと爽やかアボガドアイス、N蔵のまったりでもしつこすぎないマンゴーブリュレも強奪いたしました。ありがとさんです。
おいしーものを食べて!ってゆシェフの心意気が伝わりました。ゆったり時間を過ごせる方と、予約してほっこり、とゆ使い方がオススメ。
ウェブのおいしそな写真も素敵です。
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御幸町通というのは、いま京都で最も「イケテル」通りだと言われますよね。次々に注目すべきお店が登場してきています。でも、さすがに丸太町通まで北上すると、ふつーの街になります。そんなごくごくふつーの場所のビルに入った小さなレストラン。まあ日常使いのカジュアルなお店だな、と思って行くと、かなり驚かされますよ。
今回も、最初のアミューズのたまねぎのムースを口に含んだ瞬間に、その高い技量を思い知らされました。たまねぎの甘さがホワっと口に広がります。その次には、ありがちな前菜の盛り合わせ。こういうのって、いらないんだけどな。がつがつ食べないと味がわからない自分としては、いつもそう思ってしまうのだけど、ここんちのは(←あ、左の人の口癖がうつった)、ひとつひとつが堪能できる。というか、メインの肉料理などよりも(これも美味しかったけど)、こっちのほうが印象に残ったぞ。
味だけでないよ。食材もおもしろい。豆鰺とか、コリンキー(かぼちゃみないなやつ)とか。野菜は、島野菜(沖縄野菜)を積極的に使っているのだそうで。なんだか、むしろこの前菜たちを、バスク地方のビンチョスみたいに、小皿に盛って次から次へと食べてみたくなったですね。
あとこれもぜひ紹介しておかなければいけないのが、ワインだ。シェフが、ルーマニア日本大使館で料理をしていたということで、珍しいルーマニア・ワインを飲むことができる。軽いテイストだけど、けっこう美味しいぞ。まあ、それほど特徴があるというわけではないけどね。
おそらく、料理も店構えも、あえてカジュアルな雰囲気にしているのだと思う。相当な技量を持ったシェフでありながら、料理は気軽に味わってほしいのですよ、という思いがじわじわとにじみ出ていて、とても素敵なお店であったのである。 |
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