図1 逗子市の構造(1989年時点) 写真1 市民委員募集キャンペーンとして行われたシンポジウム

市民の輪が広がる逗子のまちづくり

■12名でまちづくり条例検討
神奈川県逗子市は、人口6万弱、三浦半島の付け根あたり、西は相模湾、残り三方は山に囲まれている(図1)。豊かな自然とゆとりある住環境が魅力で、1970年から指導要綱で建物高さの制限等を続けていたが96年に緩和。これが引き金になって開発やマンション建設が相次ぎ、様々な反対運動が起こった。
このため、2000年6月に市民委員12名、学系3名による「まちづくり条例市民検討協議会」を設置し、1年4ヵ月の議論の末、条例素案を市長に提案した。その後、ほぼ素案どおりに2002年3月に条例を制定、同年7月から施行されている。

■斜面地マンションを止める
この条例の特徴の一つは開発事業(注1)の手続にある。仕組みは先行する真鶴町とほぼ同じだが、開発をストップしたのは逗子が最初だ。具体的には地下3階、地上2階、全121戸の久木5丁目斜面地マンション開発に対し、条例に基づき以下の手続を取った:2002年11月に関係住民(注2)等の1/2以上の署名が提出され市が公聴会を開催→両者の意見を聞いた市長が計画を否定する報告書を公表→事業者が議会に対し不服申し立て→議会の否認→2003年5月に開発事業事前協議確認通知書で「……緑地景観を損なう開発行為である当該開発計画を認めることができない」と通告した。
事業者と市長が合意した場合は条例による協定を締結し、その後、都市計画法に基づく開発許可の事前協議・同意(逗子市は開発許可権者ではない)に進むが、それを途中で止めている。既定の基準ではなく総合的な判断で開発を抑止しており、市の違法性が問われる可能性もあるが、基準と裁量の関係を問いかける画期的な例といえる。

■29名で市民参加の方法を検討
条例のもう一つの特徴は、市民の参加・参画で「まちづくり基本計画」を策定するよう定めたことだ。条文自体は目新しくないかもしれないが、逗子市の場合、実際に市民29名による「まちづくり基本計画準備研究会(以下、準研)」を組織し、計画策定のための市民組織やプロセスのあり方を市民が考えていることが斬新だ。2002年8月から2003年4月までの9ヵ月間に25回開催し、市長に報告書を提出した。
準研はその後も解散せず、10月から始動する市民会議の「市民委員募集キャンペーン」を実施。タウンウォッチングやニュースの発行、街頭でのビラ記りなど精力的に活動している。9月20日には締めとして公開シンポジウムを開いた(写真1)。

■まちづくり基本計画は130名で
「市民会議」には130名もの市民が集まった。小学生や高校生の委員もいる。第1回の会議が10月26日に開催された。これからまちづくり基本計画を大所帯で検討することになる。どういう運営をし、どういう基本計画になるのか楽しみだ。

(佐谷和江/計画技術研究所)

(注1)、(注2)はまちづくり条例で定義されている用語。