湘南・茅ヶ崎といえば、海。海岸に立ち、左に江ノ島、右に富士を眺めると不思議に元気が湧いてくる。一方、北部には緑豊かな丘陵が広がり、自然の宝庫の谷戸が残る。なつかしい里山の風景だ。
その丘陵の南端、高さ20mの崖の上に、15階建て(高さ約44m)の巨大なマンションが建っている 。
1997年夏、建設計画を知った周辺住民は「茅ヶ崎赤羽根丘陵の緑と、生活環境を守る会」を結成し、計画の見直しを訴えた。この運動を積極的に支援したのが「まち景まち観フォーラム・茅ヶ崎」だった。市の「都市景観基本計画」策定に関わっていた市民の有志が結成した市民グループだ。
しかし、1999年秋、マンションはほぼ計画通りに建ってしまった。私たちは、計画が持ち上がってからでは遅いことを痛感した。昔はどこからでも見えたという富士山を手がかりに、眺望景観の大切さを多くの市民と共有しなければとの思いから、1998年、「富士山プロジェクト」をスタートさせた。
先ず、古老や自然保護活動家などに富士山と生活との関わりについてインタビューした。人の輪が広がるかもしれないとの期待もこめられていた。次に、市内から見える富士山を再認識してほしいと願って、2000年2月、「茅ヶ崎と富士山 絵はがきコンテスト」を開催した。応募作品107点。茅ヶ崎サティのアトリウムで展示。入賞作品は、2日間で600人を越えた来場者による投票で決めた。賞品は市内の酒店、和菓子店などに提供してもらった。応募者の多くは写真や絵が趣味。来場者も買い物客が多く、日頃、市民活動には縁のない人達だったと思う。
茅ヶ崎市美術館から声がかかった。(財)イオングループ環境財団の助成を受け、2001年3月、武蔵野美術大学の及部克人教授の企画・進行で「造形ワークショップ 子どものまち」を行った。小学2年生から6年生15人、サポーターとして湘南設計監理協会の建築家や学芸員志望の若者など大人12人が参加した。「富士山の見える遊び場」をテーマに制作した布絵は力作揃いで、予定になかった展覧会をジャスコ茅ヶ崎店のエントランスホールで開催した。今年の冬は、富士山ウオッチング・ツアーを計画している。市内13の企業や商業関係団体の協賛を得て2003年3月に作成したマップ『富士山が見える道と広場』を活用する。なお、このマップをはじめ、神奈川ゆめコープの助成を受けて作成したコンテスト人気作品の「絵はがき」、インタビューの「聞き書き集」などを実費で販売している。
現在、茅ヶ崎市は来年7月ごろまでにJR東海道線以北の第一種、第二種中高層住宅専用地域に「高度地区」を指定して、建物の高さを15mまでにする作業を進めている(南側は1988年に指定)。
私たちは、市民が残したい「ビューポイント」を絞り込み、役所に働きかけ、富士山の眺めを守りたい。
(高見澤和子/まち景まち観フォーラム) |