11年9月市会

●9月定例市会代表質問要旨●

  民主・都みらい市会議員団   小川ひろき議員

●副議長(山口幸秀君)
 次に、●市政一般について小川ひろき君に発言を許します。小川君。

 〔小川ひろき議員登壇(拍手)〕

●小川ひろき君●私は、北区より選出いただきました小川ひろきでございます。民主・都みらい京都市会議員団を代表致しまして市政一般について質問させていただきます。
 4月の統一地方選挙において初当選をさせていただき、改めてその責任の重さを感じている毎日でございます。市民の皆様の代表として、若さと行動力をもって頑張って参る所存でございますので、各会派の諸先輩議員の皆様方並びに行政の皆様方どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、時代は我々が予測するよりもはるかに速いスピードで変化し続けています。特に最先端技術の進歩は目をみはるものがあり、明治維新以来の変革と位置付ける方もおられるほどです。特に通信革命は新しい産業を生み出すだけでなく、既存産業にも多大な影響を与えるほどになっております。私たちの生活の中にも導入され、慣習や習慣までをも変えてしまうものまで存在致しております。21世紀初頭にはもっと大きな波が押し寄せるとも言われております。しかし私たちは一度立ち止まり、冷静な目で周りを見渡し考えなければならない時期が来ていると思います。それは変化、変革してもよいものと変化、変革させてはいけないものとがあることを認識しなければいけないということです。

 その一つに伝統があります。ここで伝統と文化をもう一度正しく認識する必要があります。文化とはその時代、その時々、その人々により生み出されるものであり、そしてそれは絶えず変化し進化していきます。この一瞬にも生まれ、そして死んでいきます。したがいまして、この流れに政治や行政が深くかかわり変化を妨げたり、ある一方向にコントロールするようなことは許されません。しかし伝統は歴史であり有形、無形に関係なく私たちの財産であります。その貴重な財産を継承していく義務と責任は、私たちをはじめとして政治、行政にもあるのです。1200年以上の歴史を持つここ京都は、その守るべき伝統が数多くあるのは御承知のとおりです。これらは京都固有のものだけでなく、日本いや世界の財産というべきものです。京都市民の一人として、京都市会議員として、この責務を果たしていきたいと考えております。

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 そこで私は、伝統継承を必要とする最たるものの和装について意見を述べさせていただきます。御承知のとおり和装は日本の民族衣装であります。しかしながら、和装をはじめそれに伴う和装文化、和装産業の現状は皆様の御認識のあるところであります。私は、要因の一つになじみがないということが大きいのではないかと思います。それはごく日常の生活環境に取り込まれている時間や機会が余りにも少なくなってしまったこと、言い換えれば和装というものが何か特別のものであるとの意識が多くの人々の心の内に知らぬ間に出来上がってしまったのではないかと考えております。私自身、33年と4箇月という時間をこの京都で過ごしてきたわけですが、着物を着たのは本日を含めて3回しかございません。(発言する者あり)ありがとうございます。

 各家庭においてそのかかわり方の差は当然あるとは思いますが、私の育った環境においては、着物というものにかかわりが少なかったのは事実であります。もう少し何かの形でかかわりを持つことができていれば、本日の朝、もう少し着物を着るのが楽だったのではないかと思うわけであります。そういった自分自身の経験を思い起こし考えますと、やはり子供のころから和装に慣れ親しむことが和装伝統を継承していく最も適した方法の一つではないかと身をもって確信した次第です。

 そこで私は、市内の小中学校において着物の着付けを継続的に学校教育の場に採り入れることを提案致します。教育の場で子供たちが自らの手で直接着物に触れ親しむことができ試着できる場を提供する。実体験をし経験を重ねれば、必ずや今以上に興味を持ち積極的に生活の一場面に採り入れるようになります。経験や体験に勝るものはありません。子供たちの純粋な心のキャンパスに京都が代表する伝統の一片が描かれる、この事実が大変重要なのです。この事実こそが私たちの貴重な財産を未来永劫へと継承させていく大きな原動力となると信じて疑いません。伝統は何も特別なものではありません。むしろ日々の生活や暮らしに溶け込んでこそ文化となり、また産業として発展していくのです。より良き理解者を数多く創出していくことが重要なのではないでしょうか。

 平成になり和装産業をはじめとする伝統産業の活力は残念ですが低迷を続けていると申し上げねばなりません。京都の基幹産業として長期にわたり京都経済の牽引車であることは御承知のとおりです。しかしながら今日の状況を考えますと、誠に忸怩たる思いが致します。21世紀に対応できる新産業の育成や既存産業の新産業ヘの転換支援は政治、行政の責任でありますし、京都市を挙げて取り組まなければなりません。それと同様に伝統産業に対しても未来ある産業として活力を維持していかなければならないのです。今日に至るまでの関係各位皆様方の御努力、御尽力には心から敬意を表します。しかしながら、平成の大型不況と重なり経済自体が低迷を続けている現状では伝統産業に対する様々な施策も目をみはる効果を上げることは至難であると言わざるを得ません。伝統産業に限らず有効な手段を見付け出しにくいのは、私たちが認識している以上に社会や経済が複雑化し多様化しているからだと思います。

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 今日まで私たちは、要素還元論という理論を用いて数多くの物事を進めて参りました。急激な変革により経済システムそのものが大きく変わり始めている現在では、各部分を見れば全体が分かるというような要素還元論だけでは対処できなくなってしまいました。バリアフリーの時代が到来し、あらゆるものの垣根がなくなりつつある今、新たな時代に対応した考え方、物の見方をしなければなりません。そこで私は、複雑系の考え方を採り入れるべきだと考えます。複雑多様化した全体をまず受け入れ、そこから全体を構成する各部分の相互関係を見極めていく。常に全体を把握し、そのうえで個々の現象を見る。個々の政策や施策が全く関係しないと思われるものであったとしても、あらゆる分野において垣根の取れたバリアフリーの時代では互いに関係し合う状態が生まれやすいのです。その傾向はますます強くなると思われます。明確な指針と方向性の下に個々の政策、施策が立案され実行されれば、そこから生まれ出る強力なエネルギーは新たなる秩序や構造を自然発生的に作り出すのです。伝統産業活性化策はその考えに基づき創出されるべきです。京都にはたくさんの優れた技術や技能、人材があります。それらを結集し、国内だけでなく世界をも視野に入れた商品の開発を促進しなければなりません。御承知のとおり日本版スーパーハイウエー構想も既に立ち上がっています。インターネットを使用した本格的世界市場の形成はすぐそこまでやってきています。京都が誇る伝統産業から生み出されたすばらしい商品が1日にしてグローバルスタンダードとなり得る可能性は無限に広がっているのです。そのためには官、民、学が一体となった研究開発機関を早急に設立する必要があるのではないでしょうか。ここで私が特に強調したいのは、大学や民間研究機関も含めることです。アメリカにおきましては古くからそのシステムが出来上がり、地域産業の育成と新産業創出を行っています。京都にもこのシステムを採り入れるべきだと私は考えます。

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 そこで市長に質問致します。現在京都市の伝統産業活性化策にこのような構想や計画がおありでしょうか。常日ごろから伝統産業活性化のために、そして個人的にも着物を心から愛し、私的公的を問わず着物を愛用し、またその着物が大変お似合いになる市長に伝統産業活性化のための基本的な考え方、また方針をお聞かせください。

 先にも申し上げました着物の着付けの継続的な学校教育への導入は伝統産業活性化に大きく寄与するものです。伝統産業が生み出した製品にじかに触れ親しみ、一人でも多くの子供たちが理解し好きになってくれる。生活の一部として認めることになれば、当然ながら伝統産業界全体のボトムアップが図れるのではないでしょうか。そのことが直接的、間接的に伝統産業界の発展につながると思いますし、また貴重な私たちの財産である伝統を継承してくれる人材、新しいアイデアや技術、技法を創出する人材を創り出すのです。

 新旧の融合を同時に進めていくことが伝統という財産を守り伝統産業を活性化していく重要な要因であると思います。そのためには短期間の強い行政指導力がやはり必要です。短期間と申し上げましたのは、長期にわたり行政や政治が干渉致しますと、かなめとなる民間の自己発展能力が失われたり臨機応変に対処する能力が低下してしまうからです。その一例が金融機関でありますが、短期的に行う力強い行政のトップダウンと市民の皆様からのフィードバックによりその目的が達成されると思っています。そこで教育長に質問致します。教育の場において着物の着付けを授業に導入するお考えはおありでしょうか。教育長の前向きな御意見をお聞かせください。

 去る8月26日に国立京都国際会館で行われました地域教育フォーラム・イン京都は、今回初めての取組にもかかわらず誠にすばらしいものでありました。地域教育フォーラム・イン京都実行委員会の皆様方、そして人づくり21世紀委員会、京都市教育委員会の皆様方の御努力、御尽力には心から敬意を表します。これを機に各学校と地域との連携がますます強くなり、21世紀の京都を担うたくましく優しい子供たちが育つことを期待するものであります。

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 しかし明るい話題ばかりではありません。少年犯罪が社会問題にまで発展し、それらは毎日のように新聞やテレビで採り上げられています。各学校の先生方や地域の皆様方の御努力にもかかわらず非行に走る少年少女は後を断ちません。校内暴力に家庭内暴力、そしていじめや不登校、少女売春や薬物乱用と数え上げれば切りがありません。そして、これらが年々低年齢化しているということがこの問題をより深刻なものとしているのではないでしょうか。更に昔であれば余り心配するほどでもなかった子供同士のけんかも年々エスカレートし、中には殺人事件にまで発展してしまう事例が報告されております。

 私自身、小中学校のとき非行に走った経験があり、両親や学校の先生、そして地域の方々に多大なる御迷惑と御心配をお掛けして参りました。当時、愛情と情熱を持って本気で叱ってくださる先生方や地域の方々は周りにたくさんおられました。しかしながら、最近では周りの目や意見が厳しく、学校の先生の指導がある意味で制限され、せっかくの愛情と情熱が失われてしまうというようなこともあるのではないでしょうか。それは時代の流れとして仕方のないことかもしれません。しかし、そうかといって私のように先生方や地域の方々に迷惑と心配を掛けてきたような子供をこれ以上増やしてはならないのです。そのためにも先生方や保護者の方々、そして私たち京都市民の一人一人が信頼関係を構築し自信と誇りを持ち、愛情と情熱を持って子供たちと向き合わなければなりません。しかしながら、現実問題と致しまして非行に走った経験がないとそういった子供たちの気持ちも分かりづらいのも事実であります。

 そこで本市在住の方でそういった経験のある方をボランティアとして募集、選任し、地域教育の場で体験や経験を語っていただくというのはいかがでしょうか。特に非行の低年齢化に伴い、小学校の低学年から暴力や薬物乱用の危険性を教えたり相談に乗るようにします。そうすることにより非行に走る子供たちを未然に防ぐことができるのではないでしょうか。京都の子供たちを心から愛し、教育問題に熱心に取り組んでおられます教育長に前向きで情熱のある御意見をお聞かせいただきたいと思います。

 次に、先日新聞に目を通しておりましたところ、読者投稿欄に小さな男の子の話が掲載されていました。1分ほどで読み終えた私は大変感動したことを記憶致しております。投稿の内容を御紹介致しますと次のようなものでした。ある御高齢の御婦人が市バスに乗車されたときのことです。折しも観光シーズンで車内は家族連れや若い人たちで混み合っていました。満席の状態で、もちろんシルバーシートの空きを見付けることはできませんでした。御婦人の目的地はさほど遠くない所なので健康のためと手すりを持ち流れる景色を見ておられたそのときでした。御婦人の背後から、どうぞと元気な声が聞こえてきました。振り返ってみると、そこには澄んだ瞳とすばらしい笑顔でこちらを見詰める小さな男の子が立っていたそうです。その小さな男の子は御婦人に軽く会釈をすると母親と思われる女性の所に進んで行きました。この一瞬の物語に大変感銘を受けられたと結んでありました。

 私は、それを読み終わると同時に、心に立ち込めていた灰色の霧が気まぐれな一吹きの風により隅々まで晴れ渡り、目の前が瞬時に明るくなったような気が致しました。しかしながら、時間の経過と共にその思いは夕闇が迫るごとく消えていくのです。常に社会福祉は行政の大きな課題であり、政治においては重要な政策となっています。国民にとりましても最も関心のあるところであります。福祉充実化策は国家を挙げて取り組むべきものであり、京都市としても当然のこと、その充実に努力していかなければなりません。まだまだ問題が山積致しておりますが、介護保険制度の導入をはじめ関連施設の整備やインフラの整備は進んでおります。今後とも引き続き市長をはじめ関係者の御努力を賜りたいと切にお願い致します。私も民主・都みらい議員団の一員として新人ではございますが、先輩諸氏の御指導を得て努力していく所存であります。

 しかしながら、私はどこかで大切なものを置き忘れてしまったのではないか、そんな思いを強く持っております。あえて申し上げますと心であります。先ほど御紹介致しました男の子の話ですが、私が子供のころ、電車やバスをはじめとする公共機関には優先座席の設置はございませんでした。シルバーシートという単語さえなかったと記憶致しております。高齢者やお体の不自由な方には席を譲るものであると思っていましたし、そうあるべきと無意識の中に刻み込まれていたと思います。しかし現在はどうでしょうか。敬愛や真心、忠孝や道義といった目に見えないもの、形のないものに価値をなかなか見出せず、またそのことが時代後れや古臭いことのように思われているのではないでしょうか。物質優先で、そのときさえ良ければ良い、楽しければ良い、そのような刹那的風潮が主流となり、自己の利益のみを優先することが最大の目的となりつつある。そのように感じるのは私だけではないと思います。莫大な費用を掛けた立派な施設であっても、それを運営するのは人間です。職員や管理者の心が乾いてしまっていたら利用する者には冷たく感じることでしょう。反対に心の通ったもてなしや心温まる対応を行えば利用者はきっと喜びを感じ満足してくれると思います。電車やバスに優先座席、シルバーシートがあること、御高齢者やお体の不自由な方に席を譲ることが美談と感じてしまうことに今日の問題の一つが隠されているのではないでしょうか。

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 そこで私は、市バス、市営地下鉄のシルバーシートの廃止を御提案申し上げます。本来、人として御高齢者やお体の不自由な方に席を譲るのは当然のことでありごくごく普通のことであります。全席が優先座席という表示は、私たちの心の中にあります。これは一つの勇気ある試みです。これがすべてを解決するものではありません。しかし京都市民の皆様に今日の問題の一つを提起することは可能であります。市民の皆様が優先座席やシルバーシートの廃止を認められ、その意味を理解してくだされば京都のまちはより一層心豊かで温かみのあるまちへと進んでいくと確信致しております。その環境上に育つかけがえのない子供たちは、心優しく、人の痛みを理解でき、いじめなどを起こさない人間味あふれた人となるでしょう。京都市の取組みとして市バス・市営地下鉄のシルバーシート、優先座席の廃止と表示はありませんが、全席シルバーシート優先座席宣言を行っていただきたいと存じます。そして宣言の意味を地域社会や学校などに幅広くアピールし、市民意識の向上を図り、よりすばらしいまちづくりを京都市挙げての心の施策として展開されてはいかがでしょうか。常に京都の未来を見詰め続ける市長に御意見をいただきたく思います。

 最後に市内各地の放置自転車についてでございます。この問題に対しましては、現在大変深刻な問題であるのは皆様も御承知のとおりでございます。行政の皆様方も大変御苦労なされ急ピッチで駐輪場の設置や撤去作業などを行っておられますが、放置自転車の台数の多さ、そして幾ら撤去を繰り返しても次の日にはまた同じだけの台数が放置してあり、まさにいたちごっこと言わざるを得ない状況であります。私が選出いただいている北区におきましても、地域の皆様から何とかしてほしいという声が数多く寄せられております。特に地下鉄北大路駅周辺はひどい状態で、車いすに乗った方が自転車が邪魔になり通行できなかったり、通学途中の子供たちが接触して転倒、けがをするなどということもお聞き致しております。北大路駅が出来て大変便利になったのはいいのですが、利用者の駐輪場の確保が出来ていないというのは、当時、駐輪場の確保についてはどのような計画を立てられていたのでしょうか。放置される市民の方々の倫理の問題も当然あるとは思いますが、先ほど申しましたように当時の計画の中に駐輪場の確保が行き届いていなかったというのは行政の責任ではないかと思うわけであります。計画当初から、地域の皆様から駐輪場の確保については要望があったと思います。

 そこで建設局長に質問致します。ここで改めて当時の駐輪場の確保について当時の計画をお聞かせください。そして何よりもこれからが大事でございますので、市内の駐輪場の確保と北大路駅周辺の具体的な解決策をお聞かせください。

 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

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●副議長(山口幸秀君)●桝本市長。

 〔桝本市長登壇〕

●市長(桝本頼兼君)●小川ひろき議員の御質問にお答え致します。

 まず伝統産業の活性化についてお答え申し上げます。本市の基幹産業の一つであります和装産業をはじめとする伝統産業の振興発展は、京都経済の活性化に欠かすことのできない重要かつ緊急の課題でございます。御指摘のとおり、現在和装産業をはじめ京都の伝統産業は需要の減退に長引く不況が重なりまして、織物業、染織業並びに和装流通業の企業倒産が起こるなど極めて厳しい経営環境にあることは御承知のとおりでございます。私どももよくよく認識致しております。とりわけ私は、大手和装関連産業の倒産などにより大変な苦境に立っておられる小規模企業者の皆様の経営安定を図るため、お申込みから貸付けまでを迅速に行い、利率が低く返済期間が長期にわたる特別融資制度を先月の8月11日から創設するなどの緊急経済対策をはじめ総合的な伝統産業振興策として産地活性化、需要拡大、後継者育成等に取り組んでいるところでございます。また先生の御指摘のとおり伝統産業が未来ある産業として活力を維持していくためには、伝統産業のすばらしい技術や感性を活用し新しい分野への産業に展開していくことも大変重要な課題であると思っております。実はこのために平成10年度から京都市染織デジタルアーカイブという事業に取り組みまして、チャレンジ精神あふれる事業者の方々やマルチメディア企業等の多彩な企業の参加の下に京都の伝統産業界が持つ伝統意匠をデジタルベース化しネットワーク上に流通させる実験や、西陣織、京友禅の意匠を様々な商品デザインに活用するプロジェクトなどに着手致しているところであり、既に引合いもございまして、今後大きな成果が期待されるところでございます。また現在整備に向けて鋭意取り組んでおります繊維産業振興センターを京都の繊維産業の総合的拠点施設として位置付け、産、官、学の 連携を一層強めた事業を実施することにより伝統産業の未来志向の新たな展開を切り開いて参りたいと考えております。私は、21世紀においても京都市が光り輝く都市であり続けるためには、伝統産業の活性化が不可欠であると考えており、京都の英知を集め全力を挙げて振興発展に努めて参る所存でございます。

 次に、シルバーシートについての御質問にお答え申し上げます。私は、市長就任以来、市民の皆さんや京都に来られた皆さんが、いつまでも京都に住み続けたい、何回も何回も京都を訪れたいと実感していただける生き生きとしたまち、元気な京都を実現して参りたいと考えまして、もっと元気に・京都アクションプランを策定しその推進に全力を傾注して参りました。このアクションプランにおきましては、子供やお年寄り、障害のある人もない人も、女性も男性も互いに尊重し支え合いながら生き生きと安心して暮らせるまちづくりを大きな柱の一つとして参りました。品格のある美しいまち京都を是非とも実現しなければならないと考えております。御指摘の市バス、地下鉄の優先席につきましては、市民の皆さんの中に定着してきつつあるとは考えますけれども、お説のとおり、何を考えているのかな、まさに一体どうなっているのかと、本当に情けなくなることもしばしば体験しております。お年寄りや体の不自由な方、乳幼児をお連れの方や妊婦の方などが利用しやすくなる配慮も含めまして、すべての座席が優先席であると御理解していただけるように、今後更に車内啓発や市民しんぶんなどを通じた積極的なPR活動を行い、すべての座席で自然と譲り合いの心が生まれるような市民意識の向上を図って参りたいと考えております。シルバーシートを全廃せよという思い切った大胆なある意味ではコペルニクス的な転回を求められる御提言でございますけれども、趣旨は十分理解申し上げます。研究させていただきたいと思っております。ありがとうございます。

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 以下、教育長及び局長が御答弁申し上げます。

●副議長(山口幸秀君)●山口建設局長。

 〔山口建設局長登壇〕

●建設局長(山口巖君)●放置自転車対策についてお答え致します。地下鉄烏丸線の開業当時は、バスなどの公共交通機関が十分整備されていない周辺地域において鉄道への主要な交通手段は自転車でございました。鉄道駅周辺に自転車駐車場を重点的に整備して参りました。御指摘の北大路駅につきましては市内有数のターミナルであり、駅への交通手段としてバスなどの公共交通機関がきめ細かく整備されており自転車駐車場の設置にまでは至りませんでした。しかし放置自転車が年々増加する中で、昭和60年に自転車放置防止条例を制定致しまして啓発活動や放置自転車の即時撤去を行ってきたところであります。その後、北大路都市開発株式会社が放置自転車対策として平成5年以降、順次商業施設の利用者や地下鉄利用者を対象と致しまして自転車等駐車場を整備してきたところであります。現在収容台数は自転車984台、バイク258台でありまして収容能力には十分に余裕があるものと考えております。その利用につきましても地下鉄の始発終着時間にも対応しているなど利用環境が整備されているにもかかわらず御指摘のように周辺に自転車が放置されている状況であります。したがいまして、今後も引き続き土木事務所による早朝の啓発活動や放置自転車の即時撤去をより一層強化致しまして自転車駐車場の利用促進と自転車の利用者のマナーの向上に向けて取り組んで参りたいと考えております。

 次に、市内の自転車等駐車場の整備につきましては、緊急性が高く用地確保が可能となったターミナル周辺や鉄道新駅の設置などの事業に合わせまして順次整備を致してきておるところでございます。今後は、現在策定を急いでおります京都市自転車総合計画に基づきまして、総合的な施策を市民、鉄道事業者なども含めましてパートナーシップによって進めて参りたいと考えております。以上でございます。

●副議長(山口幸秀君)●矢作教育長。

 〔矢作教育長登壇〕

●教育長(矢作勝美君)●学校における和装文化の教育についてでありますが、御指摘のとおり伝統産業の活性化のため、また子供たちに我が国の伝統文化の良さを伝え次代に引き継ぐうえでも非常に重要であると考えております。本市では、子供たちが我が国を代表する和装文化である西陣織や友禅染などを学ぶことを通して着物のすばらしさを理解し親しめるよう取組を進めております。小学校では、本市が独自に作成しております着物と京都の伝統産業を掲載した副読本、私たちの伝統産業を活用し、暮らしの中に生きる西陣織、京友禅などの学習を進めるとともに、京都伝統産業ふれあい館、西陣織会館、京都友禅文化会館の見学や地域の職人の方々の協力を得た手織体験活動などを進めております。中学校では、和装の歴史や和装関連産業についての学習に取り組んでおり、烏丸中学校では専門家の協力を得て着物の着付けを体験し、生徒自身の企画立案による着物ショーを実施するなどの取組を進めております。高等学校では、銅駝美術工芸高等学校に設置しておりますテキスタイルアート科、デザイン科では和装生地のデザインの実習、また学科改編により本年度新たに洛陽工業高等学校に設置しました京都伝統産業科では訪問着、浴衣等の和装に関する染織技術の習得を進めております。教育委員会と致しましては、西陣織工業組合と産業観光局が共同で実施されております子供の浴衣の着付けなどを体験するきものスキンシップサークル事業の活用など和装文化をはじめとする伝統文化教育の推進に向けて今後とも各学校が創意工夫を生かした特色ある取組を進めて参ります。

 次に、子供たちの問題行動への対応についてでありますが、現在、戦後第4の問題行動のピークを迎え、全国的に凶悪化、低年齢化が危惧されている下で、本市においても子供たちの健全育成と問題行動の未然防止に向けた心の居場所づくりは最重要課題でございます。そのため本市では、校長を中心とした組織的な生徒指導体制を確立するとともに教職員が一人一人の子供の心に耳を傾け、子供の立場に立った生徒理解を深めつつ、情熱を持って子供と向き合い、子供たち自身が自己実現を図るための指導力の向上に努めて参りました。また、すべての中学校区に設置されております地域生徒指導連絡協議会を中心に学校、家庭、地域が一体となって子供の健全育成に努めますとともに、府警本部の協力を得て薬物乱用防止教室を各学校で開催するなど関係機関との連携も進めております。問題行動の背景には、物質的には恵まれた大人社会のひずみの中で自分の存在感や将来への希望を見出せないままに苦悩する子供の姿が隠されております。私たち大人には、そうした状況を認識しつつ子供たちが善悪を判断し自らの感情をコントロールする力を培うための指導力や悪に対する毅然たる姿勢が求められております。御提案の市民ボランティアの活用につきましては、これまでから各学校においてPTAやスポーツ活動、少年補導等の場で地域の方々が子供たちに直接触れ合う機会を持っていただいております。中でも豊富な人生経験に裏付けられた大人自身の苦労話や失敗談を、決して武勇伝や美談としてでなく貴重な体験として語っていただくことは子供たちに対しても説得力があり、将来に向けて生きた教訓となると確信しております。今後とも御提案の趣旨を踏まえ、学校と地域が一体となって子供たちを信じ、愛情と情熱を持ってはぐくんでいけるよう全力をもって取り組んで参ります。以上でございます。

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●9月定例市会代表質疑要旨●

  民主・都みらい市会議員団   砂川祐司議員

●副議長(山口幸秀君)
 次に、●市政一般について砂川祐司君に発言を許します。砂川君。

 〔砂川祐司議員登壇(拍手)〕

●砂川祐司君●私は、本年4月に執行されました市会議員選挙におきまして伏見区から選出をいただきました新人議員の砂川祐司でございます。私の常なるモットーは、前例がないからやってみようでございます。市会に新しい血脈をと燃えておるところでございます。民主・都みらい市会議員団を代表致しまして市長並びに本市関係理事者に対して市政全般にわたる課題につきまして質問致しますので、明快なる御答弁をいただきたいと存じます。

 さて私は、過日チェインズバーズのローマ帝国の没落を読みました。世界を席巻したあのローマが滅んでいったのは、盛時、盛んなるときより衰時、衰退に向かうときにおいて悪徳、不正、浪費、奢侈、美食の中で個、個人が公をないがしろにし、その時代に新しい宗教と異民族が最後の一撃を加えた結果であるとのことであります。誠に今の時代と重なっております。146万人のリーダーたる市長は、このローマの興亡にいかに胸をはせなさるでしょうか。翻って、常に歴史に学ぼうとする姿勢を持って我が愛する京都を見ますとき、私どもは前向きに自己改革、自己研鑽をしていかねばならないことを痛感致します。個、個人と公、おおやけがバランスを持って常に精進しなければならないことを私なりに深く学びました。

 今日、各国、各都市は、遅ればせながら各種の構造改革に本気で取り組み出しました。まだ勝負は付いておりません。うかうかしておりますと、愛する我々の京都市はローマ帝国の没落のようにいつの間にか負け組、負け都市になることは確実でございます。そうならないために、変えなければならないものを変えていく勇気と決断力を持って市政の絶えざる改革、変革をしていただくよう市長には強い決意を持っていただきたい。また先人が創り上げてくださったすばらしい京都の伝統と美風、そして先駆的に挑戦しようとする姿勢等を衰退させることなく守り高めていくよう精進していただきますよう要望しておきます。

 まず第1の質問は伏見のことでございます。
 人口28万8,000人を擁し、京都市民の5分の1を擁する大きな区でございます。歴史からいっても、かつて昭和6年、今から68年前に当時の伏見市とその周辺町村が京都市と対等合併したといういきさつもありまして、決してその存在は小さくないはずでございます。この長き68年間を振り返りますとき、京都市は、その後の伏見区をどのように扱ってきたでしょうか。本来、この合併は伏見区とその周辺町村にとりましても、より発展し市民として確実により良い幸せが得られるとの思いを込め合併されたものでございす。またプライドも残しつつ合併されました。しかし残念ながら、至る所でその反対が見受けられます。その代表的な事柄は、行政区の位置付けがこの68年間にわたり常に最後であるという事実でございます。京都市の扱う書類や統計資料の各区の順番を見ておりますと、伏見区が常に最後尾になっております。もしそうでない例があったら見せてください。私は、単に文書上の話ではなく、いつの間にか伏見はいつも最後、後回し、それでいいんだということが京都市民の中に無意識のうちにはびこることを申し上げているわけでございます。 間もなく21世紀、もう500日を切りました。結論を申し上げますと、2001年より京都市の扱う書類や統計資料の各区の順番で伏見区を1番にしていただきたいことでございます。そして25年くらいの間隔で、次は例えば東の山科区であるとか西の西京区とか右京区から始めるとか順番にしていったら良いと思います。そういう作業はそんなに難しくなく予算も掛からないわけでございます。28万8,000人の区民は市長の答弁をかたずをのんで聞いております。

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 次に、大岩街道周辺の産業廃棄物処理問題でございます。
 私が住まいしております伏見北部深草地域の東部の大岩街道周辺地域には多数の産業廃棄物処理業者が営業致しております。私は常々現地を実地に検証しておりますが、市街化調整区域内にもかかわらず数十棟の建物が林立し、大型ダンプカーで運ばれてきた廃木材等を大型の焼却炉で焼却処分している様子は一種異様な光景でございます。付近住民の方々から、京都市が現地に設けている監視小屋の職員が不在の休日、早朝などは黒煙が立ち上り、悪臭と煤の発生が顕著に見られ生活環境の破壊が進んでいるとの強い訴えがありますが、重機を使い焼却炉に廃木材を大量に焼却処分している状態を見れば、付近住民の方々の訴えを全面的に肯定せざるを得ません。市は既に3年にわたって関係全局による職員の監視体制を強化した結果、違法な野焼きは終焉しており、その効果は現れております。しかしながら、残念なことに9月4日の各社新聞朝刊の報道によりますと、京都市が市内に設置している廃棄物焼却施設の15施設を対象に排ガス中のダイオキシン濃度の調査を実施したところ、1施設については大幅に基準値を超えていたとのことであります。直ちに改善並びに使用停止命令を出され対策本部も設置されたそうでございますが、住民の方々がこのような問題から一刻も早く解放されますように根本的な解決に向けて適切な対策をお採りいただきたいと思います。

 ところで過日、大岩街道周辺地域の将来計画がまとめられたところでございますが、私は基本的には、京都市として産業廃棄物の処理問題などをどのようにしていくかについての方針を定めることが最も肝要なことと思います。更に、いわゆる産業廃棄物の排出者は、その処理について全く知らないことになっておりますが、排出者の責任がそろそろ問われるベき時代に来ているのではないかと考えます。京都市は過日、空き缶、空き瓶については資源として再利用するため、横大路福祉工場に引き続いて京都市南部リサイクルセンターの竣工を見たところでございますが、古材、廃木材等専ら産業廃棄物の処理業者が行っている焼却、燃やすという処理方法に頼っており、地球環境の保全、地球温暖化防止を進めなければならないという立場から、焼却処分ではなく資材、資源として再利用する方策を真剣に考えなければならない時に来ているのではないでしょうか。このことにつきまして副市長よりよろしく御答弁をお願い申し上げます。

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 伏見について3番目の質問をさせていただきます。
 エコロジーセンターの建設と交通アクセスの整備についてでございます。本市は、深草にあります青少年科学センターの敷地内に平成14年4月の竣工を目指して環境学習・エコロジーセンターの建設計画を発表されました。これはCOP3の開催都市として地球規模の環境問題を学び実践するため、環境やごみ問題に関する生涯学習の場として誠に時宜を得た計画であると考えます。エコロジーセンターは公共交通機関である京阪電車の藤森駅より5分程度の位置にありバスも運行しております。できる限り徒歩で来館していただくようにしていただきたいと思っております。子供たちも学校より集団で来てくれると思います。しかしながら、現状では駅から歩行者が安全に徒歩来館するための十分な道路が整備されておりませんし、地元の皆さんも常に不安と不便を感じていらっしゃいます。是非ともセンター完成までに安全に来館でき、また住民のためにも十分な道路整備をお願い致します。このことにつきましては増田副市長より御答弁をいただきますようお願い申し上げます。
 次に、環境問題、車のアイドリング防止対策について質問致します。
 私は、しばしばJR京都駅を利用致します。南の八条口駅舎のバス駐車場付近には朝夕、大型観光バスが数台、時には数十台止まっております。その駅舎の壁に畳3分の1ほどの大きな看板が数枚張ってございます。排気ガスで真っ黒でございます。看板は、駅長さんがアイドリング防止を呼び掛けるものでございます。何と情けない悲しい風景でしょうか。時に私自身が客待ちしているバスの運転手さんとガイドさんに注意を呼び掛けるのですが、かえってそれはそれは恐ろしい顔をされ、そのうえ無視されることがしばしばでございます。しかしながら、その中で徹底してアイドリングをしないバス会社がございます。本社が京都でなく奈良にあるバス会社でございます。社を挙げて一丸となって地球の温暖化防止のための具体策を実行しているそうでございます。この結果、奈良県知事から表彰されました。やろうと思えばできるわけでございます。

 1年と9箇月前、地球温暖化防止京都会議で国際的な取決めとなった京都議定書が採択され、我が国においては温室効果ガスの総排出量を2008年から2010年までの期間に1990年レベルから6パーセント削減することを決めたわけでございます。削減するには色々な方法がありまして、アイドリングストップもその一つであると考えます。私は、何も信号ごとに車のキーを切ってストップせよと言っているわけではございません。誰も乗っていない自動車をアイドリングストップせずに公の道や駐車場、敷地内に駐車してほしくないのでございます。このことに関しまして、外国では例えばスウェーデン、デンマークでは市内で3分以上不必要なアイドリングを禁止、アイルランドではアイドリング状態で車を離れてはならないし、ドイツではアイドリング放置の禁止、スイスでは信号、踏切において3台目からはエンジン停止という規制を設けております。我が国でも隣の兵庫県では10万円罰則規定を設けておりますし、トラック業界とかバス業界も大いに協力し成功しております。そこで本市においては、地球温暖化防止会議より今日まで、アイドリング防止につきましていかに取り組んできたか。また今後、市長がトラック業界や観光バス業界に向かって頭を下げて協力のお願いに行くとか、アイドリング防止に熱心な会社や団体を表彰する制度を設けるなどの考えはないのか、市長並びに小森環境局長の御答弁をお願い致します。

 いよいよ介護保険制度が半年後に迫って参りました。これは高齢者介護が個人や家族のみならず、今や社会全体の問題であるという認識が定着し始めたことを意味します。来年4月からスタートする介護保険制度について検討する際、私どもは1995年1月にスタートしたドイツの介護保険、そしてドイツがそれに学んだと言われるオランダの介護保険の歴史を通じてその失敗例、成功例に学ぶ必要があると思います。ドイツでは制度導入時に一時的に混乱がありましたが、現在は国民がすっかり慣れて落ち着いております。それは保険給付が現物だけでなく現金でも受けられる、またその混合型も選択できるからでございます。そのドイツは、介護保険制度導入に際しまして現金給付をしなかった先輩のオランダが要介護者や要介護者を抱える家族が介護を介護保険制度へ乗り換えようとして未整備状態が続いており用意ができていないにもかかわらず、すべての施設や在宅サービスに殺到し、パニックが起こり対応ができなくなり、コスト爆発の現象を引き起こし財政的にも負担を強いられた辛い経験をオランダは学びました。ドイツは、そのオランダの失敗から学んだものです。そのオランダも近年、現金でも現物でもまたその混合でも良いということになりました。さてオランダが出発時このような厳しい経験を一時的に体験しましたが、現物給付だけで進む我が国の保険制度。京都市においては市長が保険者になるわけですが、在宅にしろ施設にしろ、給付体制は準備万端相整ったでしょうか。もしオランダのように一時に利用者が殺到したときにその対応は大丈夫でしょうか、私は心配しております。市長の御答弁をお願い致します。

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 次に、介護保険制度下における市内にある特別養護老人ホームの存続についてでございます。
 国民、市民の福祉の増進のためあらゆる施策を講じることは憲法にも定められているとおり国及び自治体の責任でございます。この原則の下、本市においても様々な福祉施策が行われて参りましたが、事特別養護老人ホームの設置運営につきましては、本市においてはすべて社会福祉法人に頼ってきた経緯があります。このことは決して私は間違いだったとは思っておりません。むしろ良い評価が与えられると思っております。ほかの自治体での例では、公立公営の施設の経営に困難さがあり苦慮していることも見聞きしておる中、今日まで民間の社会福祉法人は、施設の創設より始まり日々の運営に至るまで大変御苦労をいただいております。本市ではこの数年、やっと市の土地を提供し建物を市が建てるという例が見受けられるというものの、この数十年間は法人に土地を確保させ、建築に対して補助金が交付されるといえども、何千何億という現金を用意させ、そのうえ施設が提供される処遇やサービス内容については、市よりそれはそれは厳しい監査を通じて運営指導が図られてきました。大切な納税者からの補助金を受けるということは、当然それだけの責務を果たしていかねばならないことであり指導監査は当たり前のことでございます。その結果、施設運営には往々にして民間の良さでございます独自性や創造性の芽を摘まれることになりました。そのうえ職員の配置数や待遇については国の基準に基づく一定の厳しいルールを設けるなどして法人の行動に網をかぶせてきたという事実を知っております。

 この度の介護保険では、特別養護老人ホームにとって施設の存亡にかかわる大きな課題を数多く抱えていると聞いております。特に古い施設、50人入所の小規模の施設、職員人件費率の高い施設等においてはより深刻な状況がございます。介護という最も大切な地味な仕事に営々といそしんでこられた市内のこのような施設に対して、無理なリストラをすることなく新たな経営環境に移行できるよう一定期間の支援策が必要ではないでしょうか。施設が回っていけなくなり経営や運営を投げ出すようになっては、要介護者をはじめとして市長並びに市民の最も悲しむところでありましょう。井尻保健福祉局長に御答弁をお願い致します。

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 次に、教育問題について質問致します。
 21世紀を担う子供たちの教育は極めて重要でありますが、今日我が国ではこの子育てに困難な種々の問題を抱えております。例えば育児ノイローゼ、幼児虐待等の問題がにぎやかに報道されております。こうした状況の下、安心して子供を産み育てられる家庭、地域と行政が一体となった子育て支援の取組が強く求められております。この時期、市長の公約に基づき全国でも例のない幼稚園と保育所、国立、公立、私立の垣根を越えて子育てに悩んでおられるお父さん、お母さんを支援する子育て支援総合センターこどもみらい館の建設が進められていることは市民の願いにこたえるものでございます。子育て支援は行政だけでできるものではありません。市民レベルの支えと協力が誠必要でございます。この度、こどもみらい館で子育て支援ボランティアを募集されたところ、当初の予想をはるかに超えて多くの方が応募されたと伺っております。多くの市民の方が子育て支援に関心をお持ちになり参加していただくことは市民と行政のパートナーシップにもつながることであり、本当に心強いことであります。こうした地道な継続を通じて地域での子育て支援へと広がるものと期待するものであります。そこで、まずこどもみらい館の運営にどのような形で市民参加を考えておられるのか、また運営の基本方針について市長より、また工事の進捗及び開館時期については教育長よりお答えいただきたいと思います。 最後になりますが、精神障害者福祉について質問致します。もう10年ぐらい前になるでしょうか、東京で全国精神障害者家族会連合会主催の全国大会がございました。そのときアメリカの精神障害者の団体の会長で、元米国大統領カー夕ーさんの御夫人が基調演説をなさいました。今もそのことが私の心の中に強く残っております。いわく、その国の国民の優しさや思いやりのレベルを見ようと思えば、精神障害者に対して国民がどれほど理解と協力をしているかを見ればすぐ分かる。

 ところで悲しい事実がございます。今年の8月17日の読売新聞夕刊の記事でございます。事実でないことを祈ります。読ませていただきます。
 大阪市内に初めて出来た精神障害者地域生活支援センターの周辺に反対ののぼりが約200本も立ち、開所後2箇月たっても正常な運営ができない異常事態になっている。市側から十分な説明がないまま開所したことが紛争の火種。地元の社会福祉協議会の役員や民生委員が反対運動の中心となっており、施設側は反対運動が偏見や差別意識をあおっているとして啓発活動を進めるよう市長に対する要望書を提出、感情的な対立は深まるばかりだ。

 こうした話を聞かれて市長は悲しい思いを抱かれたことでしょう。私自身も本当に涙が出る悲しみの極みでございます。

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 さて、本市においては精神保健福祉に関する施策の一層の充実、市民の心の健康の保持増進を図ることを目的とした京都市こころのふれあいプランが策定されました。このプランの期間は平成11年度から13年度までの3年間であります。その中に各施策として、施設の数、入所、利用者定員等具体的な数値目標がございますが、目標達成に向けた現在の取組状況はどのようになっているでしょうか。井尻保健福祉局長にお答えいただきたいと思います。

 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律は、その第3条に国民の義務を定め、国民は、精神的健康の保持及び増進に努めるとともに精神障害者に対する理解を深め、及び精神障害者等がその障害を克服して社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加をしようとする努力に対し協力するよう努めなければならないとあります。しかし立派な法律と国民が守るべき第3条があるにもかかわらず、私は危惧を抱いております。私の危惧が取り越し苦労であればいいんですが、それは数値目標達成の前に、先ほどお聞きいただいた例にあるような問題でございます。精神障害者の社会復帰施設を建設しようとするならば、まず地元が反対する例が大阪のみならず全国で見受けられます。今私は、あふれる涙を堪えてしゃべっているわけでございます。悲しみの極みでございます。

 しかし良くできたもので、最終的には紆余曲折の末、誠の理、天の理が応援されて開設されることになります。もし本市においてそのような理不尽な事例が出た場合、市長の強いリーダーシップが不可欠でございます。どうしてもやるんだという強い意志があって初めて担当職員や社会福祉法人の皆様が頑張れるわけでございます。21世紀は心の時代でございます。市長の強い御決意をお聞かせ願いたいと存じます。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴大変ありがとうございました。(拍手)

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●副議長(山口幸秀君)●桝本市長。

 〔桝本市長登壇〕

●市長(桝本頼兼君)●砂川祐司議員の御質問にお答え致します。

 賢者は歴史から学ぶと言われております。私もそうでありたいと願っております。さて、本市における行政区の順序についてのお尋ねでございます。現行の京都市区及び区役所設置条例における行政区の順序につきましては、明治12年の区制施行により上京区、下京区が設置されて以来、分区や編入など歴史的な経過をたどる中で地理的要素も加味しながら長い年月を経て定着してきたものでございます。したがいまして統計資料につきましては、行政区の順序によって作成しているところでございますけれども、例えば京都まつりのパレードなどにつきましては行政区の順序を毎年繰り上げる工夫などしながら実施している場合もたくさんございます。御指摘の点につきましては、今後の研究課題とさせていただきたいと考えております。なお伏見区を中心とする京都市南部は、創造的なまちづくり、開発を目指す京都市の21世紀にとって大切な大切な行政区でございます。今後ともしっかりとしたまちづくりを行って参る決意でございます。よろしくお願い申し上げます。

 次に、アイドリング防止の推進につきましては、自動車公害対策を総合的かつ計画的に推進するために国の関係機関、関係地方公共団体及び京都府トラック協会や京都府バス協会などの関係業界団体の協力を得て取組を進めて参っております。これまで地球温暖化防止のために業界団体と共にエコドライブやアイドリングストップなどのキャンペーンを行って参りましたが、引き続きましてこうした活動を強化して参りたいと思っております。御提案の表彰制度などにつきましては、関係業界団体とも協議しながら積極的に検討して参りたいと考えております。 次に、介護保険の準備体制についてのお尋ねでございますが、私は、市長就任以来この4年間で1,039億円を超える予算を投入し高齢者保健福祉計画の目標達成に向けて最大限の努力を重ねて参りました。その結果、ほぼ計画目標を達成できる見込みとなり、介護保険制度の導入時におきましては、在宅、施設両サービスとも、更には市民の介護ニーズなどに対しまして、おおむねこたえることができるものと考えております。私は、市民の皆様が安心して暮らしていただける長寿社会を実現するために、新たに策定いたします介護保険事業計画に基づき制度施行後も着実に基盤整備を進めて参る所存でございます。御指摘のいわゆる現金給付制度につきましては、国会におきましても随分熱心な議論が交わされましたが、私は将来的には非常に大きな重大な課題になるのではないかと認識している次第でございます。

 子育て支援総合センターこどもみらい館についてでございますが、当面する重要課題である少子化に歯止めを掛け、市民が安心して楽しく子育てができるようあらゆる相談に応じ、きめ細かな情報を発信する子育て支援の中核施設にして参りたいと考えております。御指摘のように子育て支援は行政だけでできるものではなく、市民の皆さんとのパートナーシップや市民相互の支え合いがあってこそ初めてその効果を上げるものでございます。こどもみらい館では構想策定、施設内容、名称募集に至るまで市民参加の下に進めて参っておりまして、この度の子育て支援ボランティアの募集にも定員の3倍を超える応募をいただき本当に感激しているところでございます。こうした市民の皆さんの熱意を大切にし、今後とも市民参加による運営を基本にして参りたいと考えております。

 次に、精神障害者施設の建設についてのお尋ねでございます。私は、人権文化の息づくまちづくりに向け完全参加と平等を目指したノーマライゼーションの理念を実現するため、すべての市民の皆様が認め合い支え合いながら暮らせる京都のまちづくりに全力を挙げて取り組んでいるところでございます。とりわけ精神に障害のある市民の皆様の社会復帰を進めるに当たりましては、精神障害に関する理解を深める市民参加型の啓発を積極的に展開するとともに施設を設置していくことが不可欠であると考えております。今後とも精神障害に対する誤解や偏見を取り払い心のバリアフリーを目指して施設整備をはじめとする精神保健福祉施策の推進に取り組んで参る所存でございます。

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 以下、副市長、教育長及び局長が御答弁申し上げます。

●副議長(山口幸秀君)●薦田副市長。

 〔薦田副市長登壇〕

●副市長(薦田守弘君)●産業廃棄物の中の木材の再利用についてでございます。京都市では今年の6月に21世紀に向けた資源の循環あるいは市民の生活環境の保全に配慮した産業廃棄物の処理体制を作っていくために京都市産業廃棄物処理指導計画を策定致しました。この計画では産業廃棄物の発生の抑制、それから減量化、再資源化の推進といったことを基本施策の一つとして位置付け致しますとともに、重点的な取組として建設木くずの再資源化の促進を掲げております。また京都市では平成10年度から廃木材の再資源化モデル事業を継続して実施致しております。こうした取組をしながら、一方、国の方では建設系の廃棄物の再資源化対策に関する法律制定の動きがございます。こういう国の法律制定の動きも見極めながら廃木材の再資源化の推進に取り組んで参りたいと考えております。以上でございます。

●副議長(山口幸秀君)●増田副市長。

 〔増田副市長登壇〕

●副市長(増田優一君)●環境学習・エコロジーセンターへの交通アクセスの整備についてお答え致します。当センターは、御承知いただいているとおり地球温暖化防止京都会議を記念して市民、事業者と本市がパートナーシップの下に身近なごみ問題から地球環境問題まで幅広い視点に立った環境意識の定着を図り、更に具体的な実践活動を誘導する拠点として平成14年度開所に向け鋭意取り組んでいるところでございます。京阪藤森駅からの交通アクセスにつきましては、先生の御指摘のとおり建設予定地周辺の歩行者の動線、特に師団街道の名神南側の変則交差点における交通処理が大きな課題であると認識致しております。したがいまして、今後地域住民の方々や来館者の皆様が安心して通行できるよう案内標識の設置でありますとか、あるいは魅力的な歩行者空間の在り方、交通の流れ等に関しまして総合的に調査検討致しまして当センターへの交通アクセスの改善を図って参りたいと考えております。以上でございます。

●副議長(山口幸秀君)●小森環境局長。

 〔小森環境局長登壇〕

●環境局長(小森浩君)●アイドリング防止の取組についてでありますが、地球温暖化防止京都会議から今日まで、関係業界団体にも協力を求めまして観光駐車場や京都駅の駐車場におきましてステッカー、ちらしなどにより啓発活動を展開しております。また市民しんぶんによる周知、職場研修におけるエコドライブ研修などを実施して参ったところでございます。更に交通局におきましてはアイドリングストップバスを導入していただいております。地球温暖化対策として低公害車普及促進と共にアイドリングストップの普及が重要と考えておりますので、今後とも積極的に取り組んでいきたいと考えておりますのでよろしくお願い致します。以上でございます。

●副議長(山口幸秀君)●井尻保健福祉局長。

 〔井尻保健福祉局長登壇〕

●保健福祉局長(井尻浩義君)●介護保険制度導入当初におきます特別養護老人ホームの支援策についてでございますけれども、介護保険制度下での施設は、介護報酬と本人利用料によって運営されることが基本でございます。本市では、これまで施設利用者の処遇向上のため施設に対して助成を実施してきたところでございますが、介護保険制度の下で施設が健全な運営を行うことができるよう国に対しまして要望しているところでございます。今後介護保険導入時の施設の支援策につきまして、他都市の動向等も踏まえながらその必要性を含めて検討を進めて参りたいと考えております。

 次に、こころのふれあいプランの進行状況についてでございますが、社会復帰施設等の整備や在宅福祉サービスにつきましては、精神保健福祉施策の一層の充実と計画的な推進を図るため具体的な数値目標を掲げ取組を進めているところでございます。今年度におきましてはプラン初年度の取組と致しまして、ふれあい交流サロンを1箇所新設、グループホームを2箇所増設、こころの健康支援パートナーを120名養成、その他に共同作業所の増設、こころのふれあいネットワークの構築などの事業を展開して参っております。今後とも精神に障害のある市民の自立と社会参加の促進を図るために、市民の皆様の御理解と御協力を得ながら計画に掲げました数値目標の達成に向け着実に取組を進めて参ります。以上でございます。

●副議長(山口幸秀君)●矢作教育長。

 〔矢作教育長登壇〕

●教育長(矢作勝美君)●京都市子育て支援総合センターこどもみらい館の工事の進捗状況についてでございますが、昨年6月の着工以降、関係者の方々の御協力を得て順調に進捗してきております。現在建物の外装工事をほぼ完了致しまして各階の内装工事を進めており、来月から建物周辺の整備に着手するなど予定より早く竣工する運びになっております。このため開館時期につきましては、当初来年1月を予定しておりましたが、開館を待ち望んでおられる市民の方々や保育、幼児教育関係者の方々の御期待にこたえて竣工後速やかに開設準備を整え、本年12月23日に開館したいと考えております。以上でございます。

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