●2月定例市会代表質問要旨●

  民主・都みらい市会議員団  宇都宮壮一議員

◆(宇都宮壮一君)

 皆さんおはようございます。右京区選出の宇都宮でございます。民主・都みらい議員団を代表致しまして平成13年度予算案並びに関連議案について質疑を行います。

 21世紀の新年を迎えて、はや2箇月が過ぎました。私たちは21世紀を生きる人間となったわけでございます。戦争と動乱に彩られた20世紀に比較して、21世紀は平和、人権、環境の世紀と言われておりますが、果たして21世紀がどんな世の中になるのでありましょうか。IT革命、国際化、高齢化が一層進むとも言われております。私自身は20代から40代まで大量生産、大量消費、経済の高度成長の黄金時代を過ごしてきた典型的な20世紀人間でありますが、情報分野を中心に技術革新が進んで便利な世の中になるのか、それとも環境破壊が進んで人類にとって大変住みにくい世の中になるのか、予想は大きく分かれております。私は、21世紀もこの世の中は天国でも地獄でもなく、その中間のれん獄でしかあり得ないと平凡に考えております。人間社会には絶えず問題が発生し、人々が英知を集めてその問題を一つ一つ解決していく。そういう歴史が続いていくのであります。
 21世紀の初頭に当たって京都市が抱える最大の問題は、言うまでもなく長引く不況を背景とした財政危機の問題であります。この度提案されました平成13年度一般会計予算案は、前年度比4.3パーセント減額、37年ぶりの大幅減額予算となっております。財源不足を補うために臨時財政対策債いわゆる赤字地方債の活用を図り、更に市庁舎整備基金から113億円の借入れを起こすという超やりくり予算であります。厳しい財政見通しに立って市債の発行額を800億円から550億円へと大幅に抑え込み、京都新世紀市政改革大綱に基づき、従来の行財政を徹底的に見直し無駄な歳出をカットするなどその姿勢については評価できる面もありますが、まず財政問題についてお尋ね致します。その第1は、臨時財政対策債活用に対する考え方であります。本予算案の歳入には、減税補てん債32億円のほかに臨時財政対策債73億円が含まれておりました。この対策債は、国の地方交付税特別会計の財源不足を補うため地方自治体に債券を発行させるもので、赤字国債の発行が国際ランクの低下など発行の限界に来ているため国に代わって地方自治体に赤字債券を発行させるいわゆる赤字地方債と言われるものであります。後年度において元利償還を交付税で措置すると言われていますが、その交付税がないので発行する債券でありますから、先の見通しは極めて危ないと言わなければなりません。国の苦し紛れの対策債でありますが、京都市も苦しい台所事情で手を出さざるを得ないこの対策債を活用するに当たっての本市の見解並びに他の指定都市の動向についてお答えいただきたいと存じます。

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 次に、一般会計への市庁舎整備基金からの借入れと市庁舎整備へのPFI手法の導入の関連について質問致します。本市の市庁舎、市役所は昭和初期の建物で、その外観はともかく職員の執務スペースが狭く、老朽化も進み、10年以上も前から建替え問題が論議され、検討委員会なども設置され検討が進められ、厳しい財政事情の中からようやく113億円余りが市庁舎整備基金として積み立てられて参りました。今年度の予算案を見て、ほぼその全額を借入れしなければ予算編成ができないというのですから正直びっくり致しましたが、一方、予算説明の中でPFI手法の導入について新庁舎等を対象に検討を進めると言われています。PFI手法というのはプライベート・ファイナンス・イニシアチブの略称で、イギリスで始められた行政分野に民間資本を導入する手法であります。昨年、私は市会欧州行政視察団の一員としてこのPFI手法について視察して参りました。ロンドン市内のPFIコンサルタント会社で説明を聞き、ロンドン郊外のなだらかな丘陵地で完成間際の中高一貫の公立中学校を視察して参りました。自然採光をふんだんに採り入れ、教室も廊下もゆったりし、体育館と講堂が別々にあるすばらしい学校でありましたが、これがすべて民間資本で建設され、維持管理も民間資本が行い、教育委員会は毎年契約に定められた使用料を支払うだけであります。契約期間は25年、物価の変動や人口の変動、建物の増改築など想定されるあらゆるリスクについてどちらが負担するか細かく契約で定められております。究極の民間活力導入であります。新庁舎について、この手法を導入すれば建設費の積立ては必要なくなり、いわば市役所が丸ごと貸ビルに入り毎年賃貸料を支払う形となるわけであります。我々日本人の常識の枠を超えた発想であり目からうろこが落ちる思いで帰ってきたわけでありますが、果たしてこのPFI手法が日本で定着するかどうか、二つの疑問が残りました。その一つは、フランスの啓蒙思想家ジャン・ジャック・ルソーの社会契約論に代表されるように、ヨーロッパは社会が契約で成り立っているという契約社会であります。一般市民の契約に対する信頼が日本やアジアに比べてはるかに高い社会であります。一方、日本は村落共同体社会、地縁、血縁、一家意識の強い村社会でありまして、難しい契約よりも人間関係で動いていく社会、契約に対する信頼感が希薄であることであります。もう一つは、我々の世代は、第2次世界大戦後の日本経済の壊滅状態が記憶に残っており、数十年にわたる経済の連続性や契約の有効性について根強い不安感があります。イギリスは敗戦の歴史がなく何百年という経済の連続性があり、長期契約に対する安心感も強いと言えます。このイギリスと日本の社会風土と歴史の違いを超えてPFI手法が日本で定着するかどうか、私は疑問を持って帰りました。特に京都市の本丸ともいうべき市庁舎の新築にPFI手法を導入することについて市民の理解が得られるかどうか不安を拭い切れないのであります。市庁舎整備基金から借入れを起こす一方でPFI手法で新庁舎建設を検討するという方向に踏み出されることについて市長の御見解をお伺い致します。

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 さて、このように厳しい財政事情、財源不足に対処するため本市は2月15日、京都新世紀市政改革大綱を策定し、この大綱に基づく事務事業の見直し等の具体的取組に新たに33項目を追加して発表致しました。これにより平成13年度約71億円の経費削減を見込むとのことであります。社会経済情勢の変化に対応して絶えず行政改革は行われなければなりません。本市においては平成7年度から平成の京づくり推進市政改革の取組以来、職員1,000名削減など数々の取組がなされて参りました。
 その後の市政改革でありますので内容につきましては一段とシビアなものとなっております。すなわち改革の理念として補完性の原理とNPM、ニュー・パブリック・マネジメント理論を導入し、自立した市民を基本に市民でやれない場合のみ行政が補完していくという考え方、また行政に民間企業の経営手法を導入していくという発想の転換を図り、IT革命、民間委託の拡大、スクラップ・アンド・ビルド、職員の能力アップなどの手法により平成17年度までに更に1,000名の職員を削減するというものであります。財源不足を補うために行政改革をやらざるを得ないという事情は分かりますが、行政改革は打ち出の小づちではありません。行政サービスの水準を維持しながら効率アップを図るとしておりますが、結局は行政守備範囲の縮小、サービス水準の低下を招くのではないかと心配致しております。
 限られた財源の中で最も効率的な行政サービスを提供する自治体を模索するという市政改革大綱を進めていこうとされる市長の決意を改めてお伺い致します。

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 次に、介護保険制度について質問致します。
 数年にわたる国民的議論を経て昨年4月から介護保険制度が導入され、間もなく1年を迎えようとしております。50年に一度の制度の大改革であり、担当部局や介護サービス事業者の皆さんの御苦労は大変なものであったと思います。私たちも大きな混乱が起こるのではないかと予想致しておりましたが、比較的順調に導入が進んだと感じております。以前は高齢者介護で様々な相談を受けておりましたが、導入後は相談件数も減り、相談を受けましても介護保険制度の中でスムーズに解決できるようになったことを実感致しております。平成13年度は、介護保険制度導入2年目、年度後半からは1号被保険者の保険料も全額徴収となり、いよいよ制度本来の形になります。徴収する保険料に見合ったサービスの供給体制を整え、高齢者の方々の期待にこたえられるかどうか、まだまだ正念場は続くと考えられますが、制度導入2年目、保険者である行政の課題は何か、どこに重点を置いて行政を進めていかれるのか見解をお示し願いたいと存じます。
 介護保険制度の導入により、介護は家族介護とそれを補完するものとしての措置制度から社会的介護へと大きく変化致しました。家族の介護を受けられない気の毒な人を救うボランティアから社会的に認められたビジネスへと変化したわけであります。このこと自体は社会の進歩でありますが、高齢者とサービス提供者、いわゆるヘルパーさんたちとの間の心の交流、あるいは心の介護を持つゆとりがなくなったとの声も聞かれるのであります。本市におきましては、舩橋市長の時代から福祉の風土づくりの伝統があり、社会福祉協議会をはじめ老人福祉員、民生委員、民間ボランティアなど福祉ボランティアの厚い層がありますが、この人々の間で介護保険制度にどのように対応すればよいのかやや戸惑いの感じも見られます。先に述べました心の介護や情報の収集、伝達など福祉ボランティアの皆さんの活用で、この制度をより安らぎと潤いのあるものにすることが重要であり、介護保険制度の下で福祉ボランティアの役割をどう位置付けるか、行政と社会福祉協議会など関係者で整理、検討すべき時期ではないかと考えますが、併せて見解をお伺い致します。

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 次に、国民健康保険料の値上げ問題についてお尋ね致します。本市の国民健康保険事業特別会計は、平成12年度末見込みで103億円の累積赤字を抱え、平成13年度現行のままであれば累積赤字が149億円に膨らむとして一般会計からの繰入金を31億円増額するとともに、国民健康保険料を平均6.61パーセント値上げするとの提案であります。昨年9月議会で上下水道料金を改定し、下水道についてはその値上げがいよいよ今年4月から実施され、昨年から介護保険料の上乗せが始まっている健康保険料の値上げが続くとなると、厳しい不況の中で頑張っておられる市民の皆さんの生活実態を思うとき議会人としては誠に苦しいわけであります。そもそも国民健康保険会計の赤字の原因は、年々続く総医療費の増大であります。本市国保の場合、平成5年度から平成11年度まで6年間で22パーセント、年率およそ3.7パーセントの割合で医療費が伸びております。人間誰しも健康と長寿は最大の願いでありますから、医療の発達、高度化に反対するものではありません。経済の拡大期にはこの程度の医療費の伸びは吸収できますが、不況で経済が停滞している今の時期には被保険者や保険者である自治体に大きな重荷となってのし掛かってくるわけであります。果たしてどの程度の医療水準が適正なのか。事は人の命にかかわる問題であるだけに非常に難しい問題でありますけれども、総医療費は、医療機関の判断で医療サービスが決まる一方的な売手市場であります。私は、個人的には医者の良心を信じる者でありますが、世間には検査漬け、薬漬け、乱診乱療の言葉が横行しており、ひどい例では埼玉県の朝倉病院のようにホームレスの人を連れてきて、過剰医療で医療費を荒稼ぎしていたという報道もございました。そこでお尋ね致します。今日まで医療費の適正化対策が打ち出されてきましたが、現在レセプト審査など保険者としてどのような医療費の適正化対策に取り組んでおられますかお伺い致します。

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 先ほどの行政改革の話に関係しますが、今や一般会計から135億円を投入し、総額1,000億円を超えようとしている国民健康保険の大きな行政分野を聖域として行革の対象から外せるような時代ではないと思うわけであります。医師の資格を持った人材を含む審査チームを編成し被保険者の立場に立った医療審査を進めるべきだと思います。制度上の諸問題、国との関係はありますが、本市の考えをお聞かせください。  健康保険制度の中に、医療が患者にとって適正なものであるかどうかチェックするシステムが組み込まれていなければ被保険者は納得して健康保険料を払うことはできません。先に触れました介護保険制度と国民健康保険制度を比較しますと、介護保険では、保険者が介護保険事業計画を策定し保険料を介護保険運営協議会に諮って決めることができますが、国保では、国の基準により医療機関が決めた医療費を支払うだけで保険者としての裁量権がほとんどありません。介護保険制度と比べてみましても国保制度を抜本的に改める必要があると思いますが、御所見をお伺い致します。なお介護保険運営協議会が公開され、介護保険制度の信頼性を高める大きな役割を果たしておりますが、国民健康保険運営協議会もその審議を速やかに公開すべきだと思います。いかがでしょうかお尋ね致します。

 次に、本市の観光振興計画について質問致します。一昨年来、桝本市長は、本市活性化政策の柱として観光客誘致5,000万人構想を打ち出されました。長引く不況の中、本市経済を活性化するためには、観光産業は本市産業の中でも大きな比重を占めかつ裾野の広い分野であり、観光振興は本市経済の底上げを図るための分かりやすい政策であり、多くの市民の皆さんがこの政策に期待を寄せておられます。市長の5,000万人構想を実現するための方策として本年1月、京都市観光振興推進計画、おこしやすプラン21が発表されました。内容は五つの重点戦略の下に25の重点事業と119の具体的な事業が掲げられております。以前の観光振興計画に比べてより具体的であり、一つ一つの事業の効果は小さくとも、これらを着実に積み重ねていくことによって大きな成果が得られるのではないかと期待するところであります。そこでその内容にかかわって観光振興のポイントと思われる宣伝、交通、宿泊の3点について質問致します。
 第1は、宣伝の分野でありますが、重点事業の一つに、昨日の井上議員の質問にもありました映画、テレビ番組のロケーションを誘致、支援する組織、フィルムコミッションの設立が掲げられております。映画やテレビの映像を通じて京都の魅力が伝えられることは何よりも大きな宣伝効果があり、現に年間10本以上の京都ものドラマあるいはミステリーが放映され、それが京都観光を支える原動力の一つになっております。フィルムコミッションは、この映画、テレビのロケーション撮影を継続的に誘致し、ロケ撮影への協力活動を行うNPO、非営利組織であります。最近このフィルムコミッションは、都市活性化にとって費用対効果の効果が大きいとしてカナダのモントリオール、韓国の釜山が先進都市となり、日本でも各都市で設立が始められております。我が京都市は、太秦、下鴨に映画制作の伝統があり、5年前から京都映画祭を実行して若い映像ボランティアを結集しておりますので、これらを基盤にして速やかにフィルムコミッションを立ち上げるべきだと考えます。アクションシーンなど大規模なロケになりますと警察と消防の協力が不可欠であり、市長が先頭に立って旗振り役を務めることと、府市協調で京都府の全面協力が必要であると考えますが、フィルムコミッション設立の具体策についてお伺い致します。
 第2は、交通アクセスの問題であります。春秋の観光シーズンの特に日曜祭日、洛西の嵐山や東山山麓一帯は押し掛けるマイカー観光客で交通渋滞が発生、観光客もいらいらを募らせ、周辺住民も観光公害として不便を被ってきました。京都観光振興の大きな障害となっていたのであります。市長の5,000万人構想がきっかけとなってこの問題解決への機運が高まり振興計画の重点事業に採り上げられ、本予算案にも2,000万円の調査費が計上されましたことは大いに評価するところであります。担当部局も決まり13年度から嵐山地区を対象に動き始めるとのことでありますが、長年の懸案であったこの問題の解決は難題中の難題であります。関係行政機関はもとより、鉄道、バス事業者、観光関連業者、情報技術専門家、周辺地域住民代表等で対策協議会といった組織を作り英知を集めることが大切だと考えますが、この問題解決への現時点での取組方針をお聞かせください。
 第3は、宿泊施設の問題であります。京都観光のネックの一つは食事や宿泊費が高いという評判であります。市長の観光客5,000万人構想は、アジア地域を中心とする観光爆発を発想の基盤としており、開発途上国の人々はまだまだ低位な所得水準にあります。このような人々、また学生など若い人々を受け入れるためにはより安価な宿泊施設が必要であります。私も若いころ、もう40年も昔の話でありますが、ユースホステルや国民宿舎を利用して度々旅行した懐かしい思い出があります。伝統ある京料理や高級旅館、一流ホテルの値段を安くせよと言っているわけではありません。観光都市には所得階層に見合った多層的な受入施設やサービスが必要であります。若者や開発途上国の人々を受け入れる施設を充実すれば彼らはリピーターとなって帰ってくるのであります。宇多野ユースホステルの改築を急ぐとともに、JR二条駅前の宿泊施設を含む健康増進施設の建設など地元ホテル、旅館業界の理解を得ながらより安価な宿泊施設の増設を誘導すべきと考えますが、当局の見解をお伺い致します。

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 次に、京都市基本計画の3本柱の一つであります信頼とパートナーシップの市政、市民参加の問題について具体的な事例を挙げて質問致します。嵯峨大覚寺の奥に源を発し右京区西部を南下して梅津上野橋の下で桂川に合流する有栖川という河川があります。昭和30年代から流域の宅地開発が進み、かつては市内で一、二を争う水質悪化の魚のすまない河川で、ごみの投棄は後を絶たず、まちの谷、川は流れるという状態でありました。
 ところが右京区全域に下水道が普及し徐々に水質が改善され、10年ほど前から再び魚がすむようになり、現在では梅津北小学校の近くの後藤橋の上流には常時二、三十匹の大きな鯉が泳ぎ、鴨や白さぎも飛来するようになりました。休日など橋の上から鯉に餌をやる人々が訪れ、今度はその餌を狙って数十羽の鳩がやって参りまして近所は鳩公害で困っているほどであります。
 えらい詳しいではないかと思われますが、実は私の家は後藤橋のたもとにあって毎日のようにこの様子を見ているわけであります。この有栖川に河川改修の話が出て参りまして、2年前から有栖川を考える会というワークショップが本市河川課と流域6学区の住民代表でスタート致しました。河川改修の主たる目的は河床を下げて降雨時の流量を確保する治水対策でありますが、それだけでなく、住民が川に親しめるよう堤防に階段を付けたり、自然の川のように淵やせせらぎを造り動植物の生息する河川環境にし、最終的には蛍の飛び交う有栖川にしたいと会合を重ねております。会議だけでなく川に関心を持ってもらおうと清掃活動の呼び掛けを行い、昨年7月には小学校の生徒さんや地域住民の皆さん300名ほどが川に入って清掃活動を行いました。小学校では有栖川をテーマに環境教育が進められ、先日は地域住民も参加して有栖川サミットなる行事が開催されております。
 私は、この取組が市民と行政のパートナーシップ、市民参加の成功例となるよう期待を持って見守っておりますが、心配がないわけでもありません。行政サイドがいわゆるええとこ取りをして、反対運動を抑える防波堤に使ってはいけないのであります。そのためには、行政側は住民代表の意見、要望を真摯に受け止め可能な限り実現していただきたい。先に述べました蛍の飛び交う有栖川にする、自然豊かな河川にするという目標は実現可能でありますか。
 また北梅津学区には公園がありませんので、河川改修に併せて遊水機能を持った河川公園を造ってほしいという要望が出されておりますが実現は可能でありますか、当局の見解をお伺い致します。
 このようなワークショプ、市民と行政のパートナーシップによる公共事業の推進を円滑に進めるためには、対象事業の範囲や行政の姿勢、住民の役割などを明記した市民参加推進条例の制定など一定のルールづくりが必要であると考えますが、併せて見解をお伺い致します。

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 最後に防災対策に関連して質問致します。
 阪神・淡路大震災から6年が経過し、震災復興住宅での暮らしぶりが報道されておりますが、入居者の話などから元の地域コミュニティが崩れてしまって商売ができない、寂しいという思いが伝わって参ります。昨年秋には鳥取県西部大地震がありましたが、鳥取県知事の英断で一律300万円の住宅再建支援金が支給され注目を集めました。万一大地震が発生した場合、結局震災復興住宅の建設に多額の公費が必要になるわけですから、住宅再建支援金を支給した方が元の地域で元の生活が続けられてはるかに有効であります。しかし、住宅再建支援金は制度としてあるわけではなく、阪神・淡路大震災以降、国会において超党派の議員連盟が住宅再建支援法制定の運動を起こしておりますが、財源をどうするかで今一つ前へ進めない状態であります。
 先般、朝日新聞社が全国の知事、主要都市の市長にこの問題でアンケートを行い結果が発表されました。知事、市長の大半は、住宅再建支援法に賛成でありますが、財源負担の方法では意見が分かれております。知事の多くは、住宅所有者が掛金を出し合う共済方式に賛成、主要都市の市長は、公費負担でという意見と公費負担と共済方式の組合せでという意見に分かれております。財源問題で難しいのは、財政難もありますが住宅が個人の財産であり、個人の財産の保障、再建に公費を投入するのはおかしい。公費を投入すれば、住宅を持つ者と持たざる者の格差が拡大するとの意見であり、この意見は一面正しいからであります。
 私も長年自主防災会の役員をしておりますが、ある役員から、自分の家が崩れて再建の当てもないときに、果たして避難誘導や給食給水などの救援活動ができるであろうかと言われて、防災訓練がふと空しくなったことがあります。大地震は財源問題の解決を待ってはくれません。共済方式とは地震保険のことでありますが、地震保険法に基づく地震保険は、現在、加入率は15パーセント程度と聞いております。
 私個人の意見は、この地震保険に政府が一定の公費を投入して、保険料の引下げを図るなど加入しやすい条件を作り、地方自治体が啓発活動など加入促進を図る方法が最も現実的だと考え、関係する国会議員への働き掛けを始めたところでございますが、住宅再建支援についての担当副市長の御所見をお聞かせください。
 以上をもちまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

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◎市長(桝本頼兼君)

 宇都宮壮一議員の御質問にお答え致します。
 まず平成13年度の地方財政対策として講じられた臨時財政対策債についてでございます。平成13年度の地方財政は、多額の財源不足が見込まれる厳しい状況にございまして、これまでは主として交付税特別会計の借入金によって財源不足を補てんしてきたところでございますが、この借入金も38兆円もの多額に上ることから、また国と地方、更には各自治体の責任分担関係の明確化を図るため、各自治体が臨時財政対策債を発行することにより対応することとされたものでございます。御指摘のとおり臨時財政対策債は、地方交付税に代わる財源措置であり、その元金、利子共に全額が後年度地方交付税に算入され、すべての指定都市がその活用を図ることと致しているところでございます。この背景には、国、地方を通じる厳しい財政状況と歳出に見合う税源が地方に十分に与えられていないという地方財政制度そのものが抱える問題があると認識致しております。京都市と致しましては、引き続き地方分権の推進に合わせた地方の自主財源の拡充強化、とりわけ大都市の実態に即応した税財政制度の確立に向け積極的に取り組んで参りたいと考えております。

 次に、PFI手法による新庁舎の建設についてでございます。PFI手法につきましては、国において既に法的な整備が進められております。そして例えば東京都水道局の浄水場発電施設、更には神奈川県立保健医務福祉大学などにおきまして同手法の導入事例が見受けられております。京都市におきましても昨年7月から検討に着手したところでございますが、そのモデルケースの一つとして来年度新庁舎の整備につきましても具体的な検討を行って参りたいと考えております。今後、宇都宮先生御指摘の様々な問題点があるのは私どもも承知しておりますので、従来手法とPFI手法のコスト比較、民間とのリスク分担の在り方、財政への影響等、これら多岐にわたる様々な問題、課題について慎重に検討を進め、PFI手法導入の可否について結論を得たいと考えております。

 次に、市政改革についてでございます。新たな市政改革におきましては、職員の減員や経費削減などの厳しい身を削る内部努力を行う一方で、市民サービスの効率的で安定的な提供を行うという非常に困難な課題に挑む攻めの改革を目指しているところでございます。こうした重い使命を持ってこの度の京都新世紀市政改革大綱を策定し、明確な理念、ビジョンをお示ししたところでございます。これに基づきまして、今年度、全国的にも先駆的な取組として市民と行政の役割分担評価を開発、試行したところでございます。更に効率、効果両面から施策、事務事業を評価する京都市版行政評価システムを京都市が独自に開発致しましたので、その早期完成を目指して参りたいと考えております。また職員が知恵と工夫を発揮しプラス思考で市民サービスの質的改善を目指すプラスアクション21の取組なども推進して参りたいと考えております。このように新たな市政改革は、21世紀を見据えて、市民の皆さんに真に必要な政策を安定的に提供するためのものであり、今後とも改革に必要なことは貪欲に採り入れて参りたいと考えております。

 国民健康保険制度の抜本改革についてでございますが、国民健康保険は、公的医療保険制度においてすべての国民が等しく良質な医療を受けるため大きな役割を果たして参りました。しかしながら、他の医療保険制度と比べ財政基盤が脆弱であることから、近年の経済状況を反映し財政赤字は拡大を続けており、医療費増加への対応が大きな課題となって参っております。このため国においては平成14年度実施に向けまして医療報酬体系や高齢者医療制度の見直しなど医療保険制度の抜本改革が検討されているところでございます。本市の国保財政も100億円を超える累積赤字が見込まれ大変厳しい財政状況の下ではございますが、一般会計から過去最高となる31億円を増額し、その結果、今までにない総額135億円に上る巨額の繰入れを行うなど最大限の努力を行っているところでございます。しかし、京都市の努力にも限界があり、医療費の増加に実効ある措置を早急に講ずるなど制度そのものを抜本的に改めるべき時期に参ったと私は認識致しております。京都市と致しましては、医療保険制度の抜本改革が平成14年度国の責任において確実に実現され、そして構造的な改革がなされることを強く求めて参りたいと考えております。

 次に、国民健康保険運営協議会の公開につきましては、既に議事録を公開しているところでございますが、更に市民とのパートナーシップの下で事業を推進するとともに、国保運営について被保険者と市民の皆様の一層の御理解をいただくためにも運営協議会を原則的には公開の方向で、今後運営協議会委員の皆様方にお諮りし検討を進めて参りたいと考えております。

 フィルムコミッションの設立についてでございます。フィルムコミッションは、国際文化観光都市京都の世界への発信と観光の振興など都市活力の創造に大きく貢献するものでございます。その活動内容につきましては、撮影場所の提供、器材の調達、宿泊やボランティアのあっせん等の多分野にわたりきめ細かく対応することが求められます。このため宇都宮先生御指摘のとおり、設立に当たっては関係機関との連携が何よりも重要であります。しっかりと連携を図り十分な協議を進めていく必要がございます。京都が持つ美しい自然と歴史的な景観、京都に蓄積されている日本文化をはぐくんできた人材、更には技術、京都映画祭における経験等を生かした京都ならではのフィルムコミッションの設立に向けまして、私自身が先頭に立って積極的に取り組んで参る決意でございます。

 次に、観光地における交通アクセスについてでございますが、観光客5,000万人構想を推進する本市におきましては、観光地における交通問題を解決することは観光客にとりましても周辺地区の市民の皆様にとりましても誠に重要な課題でございます。このため鉄道網や道路網などのハード整備を進めるとともに、今後は交通需要管理施策を組み合わせた総合的な観光地交通対策の取組が必要となっております。13年度は自動車における交通渋滞が著しい嵐山地区においてパークアンドライドも視野に入れ、鉄道やバスなどの公共交通の利用促進を図るための交通社会実験などを実施して参りたいと考えております。具体的には、観光シーズンにおける交通問題の実態調査を行うとともに、渋滞状況や観光地にアクセスする交通情報の提供、観光企画切符などを実施して参ります。またこの取組の実施に当たりましては、御指摘のとおり京都市観光地交通問題協議会の委員をはじめ広く関係者の御意見をお聴きする必要があるため、学識経験者、関係行政機関、交通事業者、観光関連事業者、地元の皆々様などで構成する検討委員会を設置し、それぞれの立場を超えた具体性のある積極的な御検討をお願いしたいと思っている次第でございます。

 以下、副市長及び局長が御答弁申し上げます。

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◎副市長(高木壽一君)

 まず介護保険制度の運営についてお答え致します。
 京都市におきましては、議員からお話がありましたように、保健や医療、福祉に携わる関係者の皆様の多大な御尽力によりまして介護サービスの利用実績も着実に増加するなど大変順調に運営できているものと考えております。今後の課題と致しましては、サービス基盤の整備と制度の安定的な運営のための取組強化はもとより、市民の皆様の制度に対する信頼をより一層高めるために利用者本位の取組を更に強めなければならないと考えております。このため平成13年度におきましては、京都市介護保険事業計画に基づく基盤整備を進めます一方、保険給付費に係る予算と致しまして前年度と比べて実質8.4パーセント多い539億円を確保するとともに、サービス評価事業あるいは介護相談員事業によるサービスの質の向上や介護支援専門員の支援にも取り組むことと致しております。こうした取組を着実に進めることによりまして、介護保険制度が市民の皆様の大きな期待にこたえていけるものとなりますように全力を尽くして参る決意でございます。
 次に、福祉ボランティアについてのお尋ねでございますが、京都には市民の高い自治意識と進取の気風に培われました先駆的なボランティア活動が展開されてきた伝統がございまして、この誇るべき市民活動を社会福祉の分野において体系的に支援するために平成9年1月に全国に先駆けて京都市福祉ボランティア振興計画を策定致しまして、ボランティア活動のより一層の発展を図る取組を展開して参りました。介護保険制度実施後につきましても、健康すこやか学級や配食サービス助成事業の実施に当たりまして多くの福祉ボランティアに御協力をいただいております。とりわけ200を超える元学区を単位と致しました社会福祉協議会におきましては、住民主体という活動理念に基づいて高齢者暮らしの相談やひとり暮らし高齢者料理教室、暮らしの学習講座などきめ細かな地域密着型のボランティア活動に取り組んでいただいているところでございます。ボランティア国際年であります本年、全市域にわたる福祉ボランティア活動を総合的に支援する拠点施設としてボランティアセンターの建設に着手したところでございます。今後とも京都市社会福祉協議会をはじめとする関係団体と緊密な連携を図りながら福祉ボランティア活動の更なる発展のために支援を強めて参りたいと考えております。
 市民参加のルールづくりについてお答え致します。今後の市政運営に当たりましては、これまで以上に市民の皆さんとの厚い信頼関係の下に市民参加を進めて参ることが必要でありますが、そのためには御指摘のように参加の仕組みづくり、ルールづくりが重要な課題でございます。現在市民参加推進懇話会において市民参加の基本理念の構築とその仕組みづくりにつきまして御議論いただいておりまして、今年度内には提言をいただきたいと考えております。この提言に基づきまして、本年秋ごろをめどにまず市民参加推進計画を策定致しまして、それに続きまして市民参加推進条例を制定して参りたいと考えております。市民参加推進条例では行政の在り方や市民の役割など基本的な理念と原則を定める一方、市民参加推進計画に基づきましてワークショップなど具体的な参加手法やその進め方を示したガイドプランを提示するなど京都にふさわしい市民参加のルールづくりを目指して参りたいと考えております。以上でございます。

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◎副市長(河内隆君)

 被災者の住宅再建支援についてのお尋ねにお答え致します。
 阪神・淡路大震災後の震災復興を総括し検証するために実施されました神戸市民へのアンケート結果によりますと、生活再建には何よりも住まいと人のつながりの2項目が大切であったと報告されております。このことからも分かりますように、被災市民の暮らしの再建、ひいては都市の復興のためには住宅の早期再建と地域コミュニティの再生を図ることが極めて重要であると考えております。住宅は単体としては個人資産ですが、広域にわたって倒壊した場合には地域社会の復興と深く結び付くものであるだけに、阪神・淡路大震災以後、住宅再建を図る仕組みとして新たな被災者住宅再建共済制度の創設や議員御指摘の地震保険制度の充実など様々な議論が活発に出されてきております。本市と致しましても、木造住宅の多い本市の状況も踏まえるとき実効性のある全国的、総合的な住宅再建支援システムが必要であると考え、国に対しても制度の創設を要望して参っております。もとより財政負担や具体的な制度設計、事務処理の在り方など多くの課題がありますが、今後も国や国会、全国自治体の動向も踏まえつつ、先生方の御意見も聴かせていただきながら住宅再建の仕組みの充実が早期に実現されるよう取り組んで参りたいと考えております。以上でございます。

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◎産業観光局長(西口光博君)

 宿泊施設の問題についてお答え致します。
 観光を巡ります都市間競争が激しくなります中で年間入洛観光客5,000万人を達成するためには宿泊受入機能の充実を図っていく必要がございます。これまでから旅館やホテル業界におかれましては、各種サービスの向上に取り組んでいただいているところではありますが、議員御指摘のとおり価格をはじめ観光客の色々なニーズに対応する宿泊施設の提供は大変重要であると認識しております。JR二条駅前の健康増進施設につきましては、現在関係者の間におきまして協議を進めていただいているところでございます。また宇多野ユースホステルにつきましては、青少年の健全育成や国際交流を目的とする宿泊施設と致しまして大きな役割を果たして参りましたが、建築後41年が経過しておりまして老朽化が進んでいることから、早期改築を行いまして一層その役割を発揮できるものにして参ります。以上でございます。

◎保健福祉局長(井尻浩義君)

 医療費の適正化対策についてお答え致します。
 御指摘のとおり医療費適正化対策は、国民健康保険財政の健全化のためには不可欠の取組であると認識しております。これまでから積極的に取り組んできたところでございます。特に本市におきましては、昭和63年度以降、国保運営安定化計画を毎年策定致しまして国保だよりの発行、医療費通知の送付、1日人間ドックの実施など健康づくり事業をはじめとして保健、医療、福祉全般にわたる様々な取組を展開して参りました。
 またレセプトの審査につきましては、他の政令指定都市では類を見ない独自の組織として保健福祉局に社会部審査課を設け、医療事務に精通した者や内科、外科、歯科などの複数の診療科目の専任の医師を配置致しましてレセプト全件についての事務審査のみならず医師によります専門的な審査も行うなどきめ細かな点検を実施しており、この結果、平成11年度において約6億5,000万円の財政効果を挙げたところであります。今後ともレセプト審査体制の充実強化に努めますとともに、被保険者の健康づくり施策の積極的な展開を図り、本市国保財政の健全化と被保険者と市民の皆様の負担軽減に向け更なる努力を重ねて参ります。以上でございます。

◎建設局長(野嶋久暉君)

 有栖川の改修と公園の整備についてお答え致します。
 本市と致しましては、有栖川の改修につきまして平成11年11月に流域6学区の地元の皆様や学校関係者にも参画いただきまして有栖川を考える会を発足しまして、治水対策だけでなく自然豊かな川づくりについて鋭意検討を進めて参りました。
 今年度は人、まち、自然、歴史を織り成す有栖川を整備テーマと致しまして治水、防災、自然環境、水辺景観などの整備目標を策定したところでございます。本市では、今後具体的な河川の整備内容につきまして有栖川を考える会で引き続き検討し、市民と行政のパートナーシップに基づきまして議員御指摘のとおり、蛍が飛び交う自然豊かな河川の実現に向けてしっかりと取り組んで参りたいと考えております。また公園の整備につきましても水と緑のネットワークづくりを目指し、有栖川と連携した親水性のある公園整備に向け用地の確保等課題はございますけれども、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。

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●2月定例市会代表質問要旨●

  民主・都みらい市会議員団   小川ひろき議員

◆(小川ひろき君)

 私は、北区より選出いただいております小川ひろきでございます。
 宇都宮先輩に引き続き民主・都みらい京都市会議員団を代表致しまして、平成13年度予算に関連して市長並びに関係理事者に質疑をさせていただきます。昨日に続き8番目の質問でございますので重なる部分があるかとは思いますがよろしくお願い致します。

 さて我が国の経済状況は、依然として低迷を続けており、本市におきましても一部IT関連企業の市民税法人分の増収があったものの、楽観できる要素はなく厳しい中での予算編成をされました。そんな中にあって特に福祉、教育、観光に重点を置かれ、我が民主・都みらい京都市会議員団の予算に対する要望に対しまして、できる限り採り入れていただきましたことに対しまして高く評価をさせていただきたいと思います。
 まず教育問題に関して質問させていただきます。
 最近、少年による凶悪犯罪が新聞やテレビで連日報道され大きな社会問題になっています。以前に比べ少年犯罪の検挙数は減少しているとお聞き致しておりますが、問題は犯罪の内容です。年々凶悪になり、その動機については、やんちゃしていた私でさえ理解できるものではありません。理解に苦しむような凶悪な事件は少年犯罪に限らず、若くして親となった大人たちが我が子を殺してしまうという事件まで新聞などで報道されております。1980年代初頭、校内暴力、荒れる卒業式、陰湿ないじめ、自殺など教育現場からの悲痛な叫びにやっと大人たちが気付いたころ、自由を都合良く解釈する子供たちが増えています。自由とは、そもそもそれ自体には意味がなく、規制があってこそ自由に意味があるのであって、そしてその規制は道徳によってのみ可能であると思います。
 自由を都合良く解釈し利用しているのは少年たちに限ったことではありません。例を挙げますとマスメディアなどはその最たるものと言えるでしょう。うその情報がはん濫していますし、更にマスメディアは余りにも巨大化し、政治や行政などあらゆる分野で大きな影響力を持つに至りました。行きすぎではないかと感じておられる方もきっとたくさんおられると思います。現代社会の中において一体何が正しいことで何が悪いことなのかすら分からなくしていると言っても過言ではありません。自由権一つ見ても不道徳が蔓延しておりますし、昔と違い情報がはん濫している今日においては、少年たちでさえ少年法で守られているからと計算して罪を犯す者までいるようです。法律において規制することに重点を置きますと、合法であれば何をしても良いということになり、次代を担う思いやりのあるたくましい子供たちを育てることが困難になることは間違いありません。
 本来我が国は、道徳の徳をもって正しいことを判断して参りました。世界中どこへ行っても誇れる価値観であると思います。しかし、現在、損得の得をもって判断するような価値観がまるで大波が押し寄せるように我が国をのみ込もうとしております。私たちの先人たちが長い歴史の中で大事に後世に伝えてきた道徳を私たちはしっかりと受け継ぎ後世に伝えていかなければなりません。更にIT革命などによって情報が今以上に急激に増加致します。はん濫する情報を正しく見極めるための必要不可欠なものであると信じて疑いません。道徳教育によってすべてを解決できるものではありませんが、人間の行為に対して規制し、そしてその規範を示すものが道徳であるなら正に家庭教育そのものであって、昔であれば家庭、学校、地域などでごくごく自然に道徳教育が行われていたと思われます。そのように考えますと、本来道徳とは人が当然持っていなければならないものであります。そこで教育長にお尋ね致します。道徳教育についてどのようなお考えを持っておられるかお聞かせください。また本年度予算において心の教育推進や生き方探究・チャレンジ体験推進事業など児童生徒の健全育成に向けてどのようなお考えをもって取り組まれるのかお聞かせください。

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 次に、成人式についてお尋ねしたいと思います。
 ここ数年、成人式での若者の傍若無人ぶりが話題になり、とりわけ今年の成人式の騒動では、高松市で式辞を述べる市長に向けてクラッカーを鳴らした新成人が威力業務妨害で逮捕されるなどエスカレートしている感が致します。こうした中で、一部ではありますが自治体が主催して成人式を行う必要はないと予算にも盛り込まない所まで出てきました。私は、京都の議員としてとんでもないと意見を異にするものであります。報道された成人式でも、ほとんどの新成人は大人として踏み出そうとする大いなる志を持って参加しておられます。ごく一部の新成人の振る舞いを見て式をやめてしまうという議論になるのは余りにも乱暴で短絡的ではないでしょうか。一昨年の9月市会の代表質問においても申し上げましたが、私は、私自身が小中学校時代にやんちゃしていたとき、愛情と情熱を持って本気で叱ってくださった先生方や地域の方々がたくさんおられ大変感謝していることを申し上げました。成人式の報道を見て、私は、彼らはこれまで本気で叱ってくれる大人に不幸にも巡り会えなかったのではないかという思いが致しました。こうした成人式の状況をはじめ、昨今の少年犯罪の問題や若者の規範意識の低下などの一因には、こうした若者たちの状況に対し我々大人が道徳ではなく損得で子供たちと接してはいないか。愛情と情熱を持って分かるまでとことん悪いことは悪いこととはっきり教えてきただろうか。こうした視点を持って今後の成人式の在り方も考えていく必要があると思います。
 成人式は、新成人がこれまでの人生を振り返ると同時に、この日を機会にしっかりと大人としての責任と義務についての自覚を胸に刻み込み、それぞれの人生を歩み始め、また我々は新たに大人の仲間入りを果たした彼らを祝福し励ます意義深いものであります。他都市では、こうした意義が薄れ式典は形だけになり単なる同窓会的なイベントになってしまっているという批判もあるのは事実ですが、京都市では、終了後一部の若者による問題行動があったとはいえ、式典ではこうした意義を十分に踏まえ、これまでから内容の充実に取り組み、今年は参加者も増え整然と厳粛に式典が行われたと聞いております。成人式をただその日だけの一過性のイベントにとどめることなく、新成人の思い出に残る人生のけじめの日にふさわしい一層意義探い式典となるよう来年度に向けてよりよい対策を今こそ考えるべきだと思います。特に京都は着物のまちであり、和装業界の振興、更には京都経済の活性化という観点から、成人の日は茶髪の若者から顔黒のお嬢様までほとんどの若者が着物を着てくれるという業界にとっても京都にとっても大変大切な行事であります。それを取りやめるなんて言葉さえこの京都には不必要ですし、それゆえにこの成人式をもっともっと京都においてのすばらしい行事にするため、企画段階から当日の運営まで、新成人をはじめ幅広い分野の市民の代表にかかわっていただくなど、成人式の在り方を見直し一層有意義なものにしていくためどうしていけばよいのかを市民と共に考えていくべきだと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。

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 次に、先ほども申しましたように京都は着物のまちであり、成人の日はほとんどの若者が着物を着てくれる大切な行事であります。成人式において初めて着物を着たという若者も大変多いとお聞きしました。着物を着た感想を聴きますと、格好いいとか、また着てみたいという感想が大変多いことに驚くと同時に心の奥から喜びがこみ上げ、涙をこらえるのが大変でございました。
 本市の地場産業である和装業界も低迷を続け大変な状況であります。しかし、先ほどの若者たちの感想にもありましたように、着物をまた着たいと思っていることに一筋の明るい光を見た思いが致します。要するに時代の急激な変化と共に、ごくごく日常の中に自然にあったであろう着物にかかわる時間や機会が少なくなっていることに大きな問題があるのではないでしょうか。そう考えますと、着物を着てのイベントなどを増やすのも当然必要ではありますが、その前にごく日常の中に自然と着物が採り入れられる環境を作っておく必要があると思います。本市においても様々な形で取り組まれていることは承知致しておりますが、一昨年の9月市会において着物の着付けを市内の小中学校において継続的に学校教育の場に採り入れていただけないかと提案させていただきました。ここで私が強調したいのは継続的にということであります。
 地方分権が進む中で、京都市は京都市の個性を強調していかなければなりません。市長がいつもおっしゃっておられるように、京都は日本人の心のふるさとであります。伝統産業振興対策において着物着用機会づくりや伝統産業技術の後継者育成など積極的に和装振興に力を入れておられますが、着物の着付けを義務教育の場に採り入れることにより、京都で生まれ育った若者たちは茶髪であれ顔黒であれ着物を自分で当然のように着られるようになります。
 道徳教育についても申しましたが、本来当然のようにあったものが時代の急激な変化の中で失われたりしていることが余りにも多いと思います。着物と道徳を一緒に考えるつもりはありませんが、あらゆる分野でなくしてはならないものが本当にたくさんあると思います。私たちは今一度立ち止まり、なくしてはならないものを見極め、先人たちから受け継いだものを未来を担う子供たちに引き継がなくてはなりません。そこで教育長にお尋ね致します。着物の着付けの義務教育への導入についての前向きな御意見をお聞かせください。

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 次に、放置自転車対策について何点かお尋ね致します。
 先日、新聞に目を通しておりますと一つの小さな記事に心を打たれました。その内客を御説明しますと、駅前の放置自転車が多く通路も確保できない状態にあるために、64歳のボランティアの男性が毎朝駅前の放置自転車を一台一台整理して通路を作っておられるというものでした。駅前の放置自転車問題につきましては、昨年京都市自転車総合計画を作成され前向きに取り組まれていることとは思います。しかしながら、放置自転車のために通路が細くなり車いすが通れなかったり、自転車の転倒によってけがをしたりとまだまだそのような状況が現実的には残っています。この記事の男性のように乱雑に止められた放置自転車を整理するということだけでも快適な駅前づくりに大きく貢献しますが、行政の仕事としては駅前の自転車を整理するだけでは放置自転車問題の抜本的な解決にはなりません。やはり駅前の自転車がすべて収容できる自転車駐車場の建設ということになるでしょう。しかし、駅前の用地問題や予算的な問題も含めて、その実現にはかなりの時間を要します。そのような中で、64歳の男性が自転車を整理されているように少しでも使いやすく、少しでも美しくという気持ちが行政にも必要ではないでしょうか。
 少しでも使いやすくという観点から考えますと、現在無料の自転車駐車場は決して使いやすいものとは言えないでしょう。朝早く自転車を止めた人が夕方に自転車を取り出すことができないこともしばしばあるようです。無人で無料の自転車駐車場となると、自転車が順々に押し込まれていき、最後には積み上げられていることもあります。自転車撤去から逃れるためだけに道路から少しでもその中に入れておけばよいというような心情が利用者の中にあることは否定できません。結果的に使いにくい自転車駐車場となり放置自転車も減らないことになります。このことは、放置自転車をなくして住みよいまちづくりをという本来の目的とは裏腹に、使いにくい自転車駐車場を作ってしまっていることを示しています。ただ自転車駐車場を整備するだけでなく、やはり利用者の方に快適に使っていただかなければ意味がありません。そのためには受益者負担という形で無料の自転車駐車場を有料化し、それによって快適な自転車駐車場づくりを行うのがよいのではと考えます。無料の自転車駐車場を有料化することで、自転車駐車場事業において黒字報告をすることができれば、結果的に市民の皆様からお預かりしている大切な税金を使わずに、かつ快適な自転車駐車場づくりが可能です。現在ある無料自転車駐車場の有料化についてはどのようにお考えでしょうか。
 また有料化については、その料金設定についても実際に運営管理が可能な価格の設定が必要ではないでしょうか。自動車の駐車場と同様に地価や駅からの距離に基づく弾力的な価格設定が必要であり、また管理方法についても、現在管理委託されている京都市駐車場公社だけでなく同業他社の参入があっても当然ですし、公社1社による管理のために柔軟性の欠如や経営努力の低下があるのではないでしょうか。民間事業者の参入の促進をするためには、現在の条例に基づく一律の料金設定が自転車駐車場整備の遅れや民間事業者参入の障壁になっており、条例改正が必要であると思いますがどのようにお考えでしょうか、併せて副市長にお尋ね致します。
 更に使いやすさという点で考えると、現在多数設置されている2段ラックについても、高齢者、女性、お子さんには使うことができないうえに、2段ラックでけがをしたというようなお話もお聞きします。収容台数確保のために2段ラックの存在は必要不可欠であったと思いますが、今後も自転車駐車場整備を続けるに当たって、使えない、使いにくいという声のあるものを導入し続けるよりも、もう少し使い勝手のよい誰でも利用することのできるラックを検討していくことが使いやすい自転車駐車場づくりにおいて大切ではないでしょうか。ただ数字の上での収容台数を追い掛けるだけでは使いやすい自転車駐車場というのは実現しないでしょうし、やはり実際に利用されている方が老若男女を問わず安全に気持ちよく使っていただくことが大切ではないでしょうか。先般決定されました商業施設などの駐輪場付置義務については、住みよいまちづくりを進める中で駅前の放置自転車対策と同様に重要な問題です。実際に使うことができないような駐輪場をただ造るだけでは、商業施設の周辺に自転車があふれ、通行の妨げとなったり景観を損なったりしている現在の問題点を解決することはできません。現在、歩道や周辺に駐輪している人たちがきちんとその駐輪場に止めることができるような駐輪場を付置しなければ、今回付置を義務付けた意味がありません。このような意味を考えたうえで、付置義務については実際にどのような指導を行っていかれるのか、建設局長にお答えいただきたいと思います。

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 次に、隣市である神戸市は先の阪神・淡路大震災によって産業界が壊滅的な打撃を受けました。5年を経過した今もなお震災前の8割程度しか復興していない状況です。こうした中、神戸市では既存産業の高度化、新規産業創造、ベンチャービジネスの育成、企業誘致を柱とした産業復興計画がなされてきました。
 しかしながら、長引く不況下で日本経済そのものが低迷している今日ではすべてがうまく運んでいるとは言えない状況であります。そこで考え出されたのが神戸医療産業都市構想です。我が国の医療関連産業は、1996年時点で約38兆円の規模があり、高齢化や医学の進歩により本世紀には大きな成長が見込まれている分野の一つです。平成9年に閣議決定された経済構造の変革と創造のための行動計画によれば、医療関連産業は福祉産業を含めれば2010年には91兆円と予測されています。21世紀に市場、雇用規模が最も大きくなる成長産業であり日本の基幹産業になる可能性も含んでいます。
 医療産業都市構想は、この急成長が期待される産業の中核に神戸市がなろうとしています。神戸医療産業都市構想は、平成10年9月に公表され同年10月には同構想懇談会が設置され、平成11年5月には神戸市長が世界都市会議に出席し、広く世界の企業に対して医療産業都市構想への参画と神戸への進出を自ら呼び掛け、世界のハイテク医療機器メーカーのトップ企業であるGEメディカルのイメルト社長と直接懇談し同構想ヘの協力を要請されました。同年7月には、再度渡米し米国企業78社に対して構想への参画と神戸への進出を呼び掛けられました。同時に国内においても積極的に運動され、関西の国立大学やその研究機関、地域の医療機関、医療関連の民間企業などに参画の呼び掛けを行われました。その結果、GEメディカルシステムをはじめとして国内民間企業数百社、京都大学やその他の国立病院とその関連研究機関、旧厚生省をはじめとする国の機関などが参画を表明致しました。現在そうそうたるメンバーによって神戸医療産業都市構想が進行しています。平成17年の神戸空港開港をめどに主要機能と施設が立ち上がる計画です。ある経済研究機関の試算によると同構想の経済効果は年間40兆円とも言われております。
 神戸市の神戸医療産業都市のお話を致して参りましたが、私が申し上げたいのは、産、官、学が見事に結集され、諸外国をも巻き込んだ本構想がいかにして実現の運びとなり得たのかということです。私が聴取し調査したところによりますと、神戸市の取組方、同市のリーダーシップが成功の大きな要因であることが分かりました。神戸市長を先頭に行政を司る方々の努力と英断のたまものであり、神戸を何とかしたいとの一念を貫いた結果であると確信致しました。市長自らが海外に赴き、プレゼンテーションを行い、大学、研究機関や企業に理解と参画を求め、国内では国に対して国家事業として取り組むよう働き掛け、数百に及ぶ企業並びに国立大学や学術研究機関、諸団体を同構想に参画させることに成功致しました。最初は1人の人間の発案であったと聞いております。その発案を採り上げ、研究し実現のめどを立て得たことに私は大変驚いております。
 私は何も京都市の努力が足りないとか、神戸市より劣っているとか申し上げているのではありません。地方自治体でもその気になればできる。そのよき前例であり可能性を示唆するものではないかと申し上げているのです。一地方都市がこのようなビッグプロジェクトを立ち上げ、日本経済の地図を塗り替えようと努力している姿を目の当たりにしますと、京都市会議員として深く考えざるを得ません。大阪でも有望なバイオ分野のベンチャーを産、官、学で支援する動きが活発になっています。その成果は神戸医療産業都市の先端医療と結ばれることにもなっています。大学と産業界の壁や省庁の縦割り行政の弊害を克服し、地域を越えた連携がなされようとしているのです。関西で起こっているこの流れを京都市ではどのようにとらえられているのでしょうか。市長の考えをお聞かせください。

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 行政には独自の政策と隣県、隣市と連携した行政が必要であることは御承知のとおりです。特に経済におきましては、その性格上ある一定の地域を考えた政策、施策が効果を発揮することはあり得ません。なぜヨーロッバが統合しなければならなかったかを見れば明らかです。京都市には京都市にふさわしい独創的な政策が立案、遂行される。その一方で他県、他市と連携し、新しい経済システム、産業構造の創出に努力する必要があるのではないでしょうか。旧態依然とした考えを脱ぎ捨て、21世紀の地方自治体の在り方を考え直すべきです。過去の延長線上に未来があるのではありません。未来へ続く道は我々が新たに線を描くのです。今日ほど行政のリーダーシップが求められているときはありません。新たな価値を創造することが市長以下行政を司る者の使命であると思います。京都市としてこのような独創的な政策や計画はお持ちでしょうか。京都市基本構想と新基本計画も策定され、観光客5,000万人構想を打ち出されたところですが、京都市民147万人のリーダーである市長に大いなる夢を語っていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

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◎市長(桝本頼兼君)

 小川ひろき議員の御質問にお答え致します。
 まず成人式についてでございます。御指摘のとおり他都市では新成人による様々なトラブルが発生し、一部でその存廃すら問題になっている状況もありますが、おっしゃるとおり京都市におきましては毎年厳粛かつ整然とした式典が執り行われております。こうした京都の伝統を引き継ぎ成人の日を新成人にとってより一層意義深いものとするため、京都市では新成人やこれまでからも大変な御協力をいただいておりました青年団体、更には様々なボランティアの方々、伝統文化の関係者など多くの分野の市民の方々に新たに御参画いただきまして、仮称でございますが成人の日をみんなで祝う推進委員会を発足したいと考えております。この委員会では、新成人が自らの責任や社会的役割を自覚するとともに、新成人の門出を社会全体で祝い励ますという成人の日の趣旨を踏まえ、小川先生御指摘の和装産業をはじめとする京都経済の活性化や伝統的な日本文化の振興に資することも含めまして幅広い観点から協議していただく予定であり、そこでの議論を生かし、創意工夫を凝らした市民みんなで祝う京都市らしい成人の日の在り方を全国に発信して参りたいと考えております。
 次に、新しい経済システムと産業構造の創出についてお答え致します。新世紀を迎え、かつてない大きな歴史的転換期に直面している中、私は、世界の中で光り輝く21世紀の京都を築いていくために、ものづくりの伝統を生かし、産業経済に活気あるまちをつくっていくことが何よりも重要であるとの認識の下、京都市基本計画において本市の経済政策として京都独自の新たな産業連関都市の構築をお示ししたところでございます。これは大企業や中小企業、また伝統産業から先端技術産業、更には観光産業まで様々な産業が対立的でなく相互に関連を持って一体的に発展する地域経済を目指すものであります。その推進に当たりましては、産,学の自由で進取の気風や匠の技と高い付加価値等を併せ持ったものづくりの文化など京都が持つ優れた都市特性を今まで以上に遺憾なく発揮することが必要であり、地域に蓄積された豊富な産業資源を最大限に生かし、産、官、学のネットワークと広域的な連携を一層強化していくことが不可欠でございます。
 私は、これまで全国の中小企業支援事業のモデルとなりました先駆的な京都市の取組でありますベンチャー企業目利き委員会の設立や高度技術研究所を核とした地域プラットフォームにおける小中学校でのアントレプレナー教育から高校、大学インターンシップ、京都起業家学校に至るまでの全国に例を見ない起業家育成システムの構築に加えまして、個性ある49もの大学がそれぞれの大学の枠を越えて参画し、産学連携に大きな役割を果たしている大学コンソーシアム京都や京都デジタルアーカイブ研究センターにおける独創的な取組の展開など他都市に全く例のない厚みのある産、学、公の連携事業を実施して参りました。更に21世紀の都市活力を担う南部地域におきましては、京阪神や関西圏との広域的な広がりも視野に入れまして創造のまちづくりに取り組んできたところであり、今後も高度集積地区を中心にして新たな都市機能の集積、流動を推進して参りたいと考えております。また産、学、公連携の先導的な役割を果たしている京都リサーチパーク地区に加え、京都大学の工学系大学院が移転する桂キャンパス地区にも新たな拠点が芽生えつつございます。こうした拠点間の有機的な連携を基盤として新産業分野の育成方策を盛り込んだ21世紀産業振興ビジョンを策定し、京都から新しい息吹に満ちた産業の担い手が次々と生まれ育つような活力みなぎるまちを実現して参りたいと考えております。

 以下、河内副市長、教育長及び局長が御答弁申し上げます。

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◎副市長(河内隆君)

 まず無料自転車駐車場の有料化についてのお尋ねにお答え致します。
 無料自転車駐車場は、主に昭和50年代に設置されたものであり、現在本市に関連するもので21箇所ございます。近年この無料自転車駐車場の中には、自転車が乱雑に置かれるなどの結果、自転車があふれ使いにくくなっている所が現に出てきております。そこで議員御指摘のとおりJR西大路駅や阪急桂駅東口におきましては、周囲の皆様にとってもっと使いやすい自転車駐車場となるよう改善を図り、有料の自転車駐車場へと転換する取組を進めてきたところでございます。本市と致しましては、昨年3月に策定しました京都市自転車総合計画に基づき適切な管理を行い、安全で利用しやすい自転車駐車場を整備するため施設改修ができる箇所から有料の駐車場へと転換を図って参りたいと考えております。
 次に、民間事業者の参入の促進を図るための自転車駐車場料金の改定についてお答え致します。現在条例に基づいて徴収しております自転車駐車場の料金は、行政サービスの対価としての手数料であるため、地価や駅からの距離に基づく弾力的な価格設定は難しく、料金の性格上一律に設定しているものでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり柔軟性を持って自転車駐車場の整備を促進していくことは行政の重要な役割であると認識しております。今後、民間の持つ様々な力や専門性を活用する観点から、他都市における先進的な整備事例を参考にしつつ民間事業者が参入しやすいような条件整備を検討して参りたいと考えております。
 また併せまして鉄道駅周辺においては鉄道事業者による自転車駐車場整備の協力を積極的に働き掛けるとともに、集客施設等については京都市自転車等放置防止条例に基づき付置義務駐車場の確保を図っていくなど市民の皆様にとって少しでも使いやすい自転車駐車場の整備促進に努めて参ります。以上でございます。

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◎建設局長(野嶋久暉君)

 集客施設におきます自転車駐車場の付置義務の指導につきましてお答え申し上げます。
 自転車駐車場の付置義務につきましては、平成12年3月に策定致しました自転車総合計画に基づきまして、対象施設の拡大を図るために同年6月に自転車等放置防止条例を改正致しまして12月1日から施行したところでございます。その指導に当たりましてですが、施設計画の事前相談の段階から関係部局と連携を図りまして条例による付置義務台数の確保はもとより、指導基準を定めまして駐車スペースの区画や原動機付自転車のスペースを確保することに努めております。更に案内看板の設置を指導し、建物完成時にはこれらのことが守られているかどうか現地で確認検査を行っております。
 今後につきましても議員御指摘のように、単に収容台数を確保するだけでなく誰もが安心で使いやすい自転車駐車場となるよう指導に努め、周辺に自転車を放置されない住みよいまちづくりについて取り組んで参りたいと考えております。以上でございます

◎消防局長(原田一郎君) 

 防災訓練についてのお尋ねでございますけれども,阪神・淡路大震災以後,本市では自助,共助,公助の役割分担と連携,協働という地域防災計画の基本理念に基づき,市民,事業所,地域が参加する初動対応,自衛隊,警察,消防等の連携活動,災害対策本部の運用などの訓練について年々充実を図って参りました。
 本年の総合防災訓練では,上京区内の83箇所で今までにない訓練を実施し,住民を主体に防災機関が連携する今後の方向性を確認したところです。今後とも全市や区の総合防災訓練では市民と防災機関を両輪に,より実践的な訓練を目指して参ります。また地域の自主性を育てるという視点を持って各自主防災会での訓練の一層の充実に取り組み,地域の防災力の充実に努めて参ります。更に災害対策本部運用訓練につきましては,当初の参集訓練から次の段階として勤務時間内での地震発災に対応する図上訓練に取り組んで参っております。
 今後も目標を持って着実に内容の充実を図り,災害に迅速,的確に対応できる体制づくりを進めて参ります。以上でございます。

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●2月定例市会委員報告要旨●

  民主・都みらい市会議員団   小林あきろう議員

◆建設消防委員長(小林あきろう君)

 本委員会に付託されました議第41号京都市建築基準条例の制定について、ほか1件につきまして、審査の過程において論議されました主な事項とその結果を御報告申し上げます。

 当委員会と致しましては、3月1日の本会議において付託を受け、3月16日に都市計画局及び建設局の理事者の出席を求めて説明を聴取するとともに質疑を行った次第であります。
 まず議第41号京都市建築基準条例の制定について、理事者から平成12年4月1日から建築許可、建築確認等の建築基準法に基づく事務が自治事務化されたことに伴い現在京都府の条例の適用を受けている3項目について新たに本市独自の条例を制定しようとするものである。その項目の第1は、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を付加すること。第2は、不特定多数の人が利用する大規模建築物等の敷地の接する道路の幅員、道路に接する長さなど敷地又は建築物と道路との関係において避難又は通行の安全の目的を十分に達するために必要な制限を付加すること。第3は、中高層の建築物によって発生する日影が一定の時間を超えないよう時間の指定を行うことである。以上の3項目については、基本的には現在の京都府の条例を基に本市の実情に合った建築規制を行うため必要な改正を加えたものであるとの説明がありました。これに対し都心部における職住共存のまちづくりを進めるための取組の充実、事務所ビルにテナントとして入居している学習塾に対し非常用の照明設置など安全上の指導の実施などについて論議が交わされ御意見がありました。
 次に、議第44号京都市ラクト健康・文化館条例の一部を改正する条例の制定について、理事者から京都市ラクト健康・文化館について更なる利用者の利便性の向上等を図るため、昨年来試行してきた取組の結果を踏まえ、プール、スタジオ、スポーツジム施設の土曜日の受付終了時間を現行の午後6時から午後9時に、また閉館時間を現行の午後7時から午後10時にそれぞれ延長するとともに、休館日である第1、第3水曜日を開館日とするため条例の一部を改正するものであるとの説明がありました。これに対しラクト健康・文化館の経営改善の見通し、更なる利用者の利便性向上の取組、債務超過している山科駅前再開発株式会社の収支悪化の原因とその対策などについて論議が交わされ御意見がありました。
 概略以上のような審査の後、更に各会派において御検討いただき、その結果を昨日の委員会で御発表願いましたところ次のとおりでありました。すなわち自民党、共産党、民主・都みらい、公明党の各議員団は、いずれも原案に賛成するとのことでありました。
 そこで本案について直ちに表決を採りましたところ、ただ今お手元に配付してあります委員会報告書のとおり、全会一致をもっていずれも原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。  以上であります。これをもちまして委員長報告を終わります。(拍手)

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