◎市長(桝本頼兼君)
宇都宮壮一議員の御質問にお答え致します。
まず平成13年度の地方財政対策として講じられた臨時財政対策債についてでございます。平成13年度の地方財政は、多額の財源不足が見込まれる厳しい状況にございまして、これまでは主として交付税特別会計の借入金によって財源不足を補てんしてきたところでございますが、この借入金も38兆円もの多額に上ることから、また国と地方、更には各自治体の責任分担関係の明確化を図るため、各自治体が臨時財政対策債を発行することにより対応することとされたものでございます。御指摘のとおり臨時財政対策債は、地方交付税に代わる財源措置であり、その元金、利子共に全額が後年度地方交付税に算入され、すべての指定都市がその活用を図ることと致しているところでございます。この背景には、国、地方を通じる厳しい財政状況と歳出に見合う税源が地方に十分に与えられていないという地方財政制度そのものが抱える問題があると認識致しております。京都市と致しましては、引き続き地方分権の推進に合わせた地方の自主財源の拡充強化、とりわけ大都市の実態に即応した税財政制度の確立に向け積極的に取り組んで参りたいと考えております。
次に、PFI手法による新庁舎の建設についてでございます。PFI手法につきましては、国において既に法的な整備が進められております。そして例えば東京都水道局の浄水場発電施設、更には神奈川県立保健医務福祉大学などにおきまして同手法の導入事例が見受けられております。京都市におきましても昨年7月から検討に着手したところでございますが、そのモデルケースの一つとして来年度新庁舎の整備につきましても具体的な検討を行って参りたいと考えております。今後、宇都宮先生御指摘の様々な問題点があるのは私どもも承知しておりますので、従来手法とPFI手法のコスト比較、民間とのリスク分担の在り方、財政への影響等、これら多岐にわたる様々な問題、課題について慎重に検討を進め、PFI手法導入の可否について結論を得たいと考えております。
次に、市政改革についてでございます。新たな市政改革におきましては、職員の減員や経費削減などの厳しい身を削る内部努力を行う一方で、市民サービスの効率的で安定的な提供を行うという非常に困難な課題に挑む攻めの改革を目指しているところでございます。こうした重い使命を持ってこの度の京都新世紀市政改革大綱を策定し、明確な理念、ビジョンをお示ししたところでございます。これに基づきまして、今年度、全国的にも先駆的な取組として市民と行政の役割分担評価を開発、試行したところでございます。更に効率、効果両面から施策、事務事業を評価する京都市版行政評価システムを京都市が独自に開発致しましたので、その早期完成を目指して参りたいと考えております。また職員が知恵と工夫を発揮しプラス思考で市民サービスの質的改善を目指すプラスアクション21の取組なども推進して参りたいと考えております。このように新たな市政改革は、21世紀を見据えて、市民の皆さんに真に必要な政策を安定的に提供するためのものであり、今後とも改革に必要なことは貪欲に採り入れて参りたいと考えております。
国民健康保険制度の抜本改革についてでございますが、国民健康保険は、公的医療保険制度においてすべての国民が等しく良質な医療を受けるため大きな役割を果たして参りました。しかしながら、他の医療保険制度と比べ財政基盤が脆弱であることから、近年の経済状況を反映し財政赤字は拡大を続けており、医療費増加への対応が大きな課題となって参っております。このため国においては平成14年度実施に向けまして医療報酬体系や高齢者医療制度の見直しなど医療保険制度の抜本改革が検討されているところでございます。本市の国保財政も100億円を超える累積赤字が見込まれ大変厳しい財政状況の下ではございますが、一般会計から過去最高となる31億円を増額し、その結果、今までにない総額135億円に上る巨額の繰入れを行うなど最大限の努力を行っているところでございます。しかし、京都市の努力にも限界があり、医療費の増加に実効ある措置を早急に講ずるなど制度そのものを抜本的に改めるべき時期に参ったと私は認識致しております。京都市と致しましては、医療保険制度の抜本改革が平成14年度国の責任において確実に実現され、そして構造的な改革がなされることを強く求めて参りたいと考えております。
次に、国民健康保険運営協議会の公開につきましては、既に議事録を公開しているところでございますが、更に市民とのパートナーシップの下で事業を推進するとともに、国保運営について被保険者と市民の皆様の一層の御理解をいただくためにも運営協議会を原則的には公開の方向で、今後運営協議会委員の皆様方にお諮りし検討を進めて参りたいと考えております。
フィルムコミッションの設立についてでございます。フィルムコミッションは、国際文化観光都市京都の世界への発信と観光の振興など都市活力の創造に大きく貢献するものでございます。その活動内容につきましては、撮影場所の提供、器材の調達、宿泊やボランティアのあっせん等の多分野にわたりきめ細かく対応することが求められます。このため宇都宮先生御指摘のとおり、設立に当たっては関係機関との連携が何よりも重要であります。しっかりと連携を図り十分な協議を進めていく必要がございます。京都が持つ美しい自然と歴史的な景観、京都に蓄積されている日本文化をはぐくんできた人材、更には技術、京都映画祭における経験等を生かした京都ならではのフィルムコミッションの設立に向けまして、私自身が先頭に立って積極的に取り組んで参る決意でございます。
次に、観光地における交通アクセスについてでございますが、観光客5,000万人構想を推進する本市におきましては、観光地における交通問題を解決することは観光客にとりましても周辺地区の市民の皆様にとりましても誠に重要な課題でございます。このため鉄道網や道路網などのハード整備を進めるとともに、今後は交通需要管理施策を組み合わせた総合的な観光地交通対策の取組が必要となっております。13年度は自動車における交通渋滞が著しい嵐山地区においてパークアンドライドも視野に入れ、鉄道やバスなどの公共交通の利用促進を図るための交通社会実験などを実施して参りたいと考えております。具体的には、観光シーズンにおける交通問題の実態調査を行うとともに、渋滞状況や観光地にアクセスする交通情報の提供、観光企画切符などを実施して参ります。またこの取組の実施に当たりましては、御指摘のとおり京都市観光地交通問題協議会の委員をはじめ広く関係者の御意見をお聴きする必要があるため、学識経験者、関係行政機関、交通事業者、観光関連事業者、地元の皆々様などで構成する検討委員会を設置し、それぞれの立場を超えた具体性のある積極的な御検討をお願いしたいと思っている次第でございます。
以下、副市長及び局長が御答弁申し上げます。
◎副市長(高木壽一君)
まず介護保険制度の運営についてお答え致します。
京都市におきましては、議員からお話がありましたように、保健や医療、福祉に携わる関係者の皆様の多大な御尽力によりまして介護サービスの利用実績も着実に増加するなど大変順調に運営できているものと考えております。今後の課題と致しましては、サービス基盤の整備と制度の安定的な運営のための取組強化はもとより、市民の皆様の制度に対する信頼をより一層高めるために利用者本位の取組を更に強めなければならないと考えております。このため平成13年度におきましては、京都市介護保険事業計画に基づく基盤整備を進めます一方、保険給付費に係る予算と致しまして前年度と比べて実質8.4パーセント多い539億円を確保するとともに、サービス評価事業あるいは介護相談員事業によるサービスの質の向上や介護支援専門員の支援にも取り組むことと致しております。こうした取組を着実に進めることによりまして、介護保険制度が市民の皆様の大きな期待にこたえていけるものとなりますように全力を尽くして参る決意でございます。
次に、福祉ボランティアについてのお尋ねでございますが、京都には市民の高い自治意識と進取の気風に培われました先駆的なボランティア活動が展開されてきた伝統がございまして、この誇るべき市民活動を社会福祉の分野において体系的に支援するために平成9年1月に全国に先駆けて京都市福祉ボランティア振興計画を策定致しまして、ボランティア活動のより一層の発展を図る取組を展開して参りました。介護保険制度実施後につきましても、健康すこやか学級や配食サービス助成事業の実施に当たりまして多くの福祉ボランティアに御協力をいただいております。とりわけ200を超える元学区を単位と致しました社会福祉協議会におきましては、住民主体という活動理念に基づいて高齢者暮らしの相談やひとり暮らし高齢者料理教室、暮らしの学習講座などきめ細かな地域密着型のボランティア活動に取り組んでいただいているところでございます。ボランティア国際年であります本年、全市域にわたる福祉ボランティア活動を総合的に支援する拠点施設としてボランティアセンターの建設に着手したところでございます。今後とも京都市社会福祉協議会をはじめとする関係団体と緊密な連携を図りながら福祉ボランティア活動の更なる発展のために支援を強めて参りたいと考えております。
市民参加のルールづくりについてお答え致します。今後の市政運営に当たりましては、これまで以上に市民の皆さんとの厚い信頼関係の下に市民参加を進めて参ることが必要でありますが、そのためには御指摘のように参加の仕組みづくり、ルールづくりが重要な課題でございます。現在市民参加推進懇話会において市民参加の基本理念の構築とその仕組みづくりにつきまして御議論いただいておりまして、今年度内には提言をいただきたいと考えております。この提言に基づきまして、本年秋ごろをめどにまず市民参加推進計画を策定致しまして、それに続きまして市民参加推進条例を制定して参りたいと考えております。市民参加推進条例では行政の在り方や市民の役割など基本的な理念と原則を定める一方、市民参加推進計画に基づきましてワークショップなど具体的な参加手法やその進め方を示したガイドプランを提示するなど京都にふさわしい市民参加のルールづくりを目指して参りたいと考えております。以上でございます。
◎副市長(河内隆君)
被災者の住宅再建支援についてのお尋ねにお答え致します。
阪神・淡路大震災後の震災復興を総括し検証するために実施されました神戸市民へのアンケート結果によりますと、生活再建には何よりも住まいと人のつながりの2項目が大切であったと報告されております。このことからも分かりますように、被災市民の暮らしの再建、ひいては都市の復興のためには住宅の早期再建と地域コミュニティの再生を図ることが極めて重要であると考えております。住宅は単体としては個人資産ですが、広域にわたって倒壊した場合には地域社会の復興と深く結び付くものであるだけに、阪神・淡路大震災以後、住宅再建を図る仕組みとして新たな被災者住宅再建共済制度の創設や議員御指摘の地震保険制度の充実など様々な議論が活発に出されてきております。本市と致しましても、木造住宅の多い本市の状況も踏まえるとき実効性のある全国的、総合的な住宅再建支援システムが必要であると考え、国に対しても制度の創設を要望して参っております。もとより財政負担や具体的な制度設計、事務処理の在り方など多くの課題がありますが、今後も国や国会、全国自治体の動向も踏まえつつ、先生方の御意見も聴かせていただきながら住宅再建の仕組みの充実が早期に実現されるよう取り組んで参りたいと考えております。以上でございます。
◎産業観光局長(西口光博君)
宿泊施設の問題についてお答え致します。
観光を巡ります都市間競争が激しくなります中で年間入洛観光客5,000万人を達成するためには宿泊受入機能の充実を図っていく必要がございます。これまでから旅館やホテル業界におかれましては、各種サービスの向上に取り組んでいただいているところではありますが、議員御指摘のとおり価格をはじめ観光客の色々なニーズに対応する宿泊施設の提供は大変重要であると認識しております。JR二条駅前の健康増進施設につきましては、現在関係者の間におきまして協議を進めていただいているところでございます。また宇多野ユースホステルにつきましては、青少年の健全育成や国際交流を目的とする宿泊施設と致しまして大きな役割を果たして参りましたが、建築後41年が経過しておりまして老朽化が進んでいることから、早期改築を行いまして一層その役割を発揮できるものにして参ります。以上でございます。
◎保健福祉局長(井尻浩義君)
医療費の適正化対策についてお答え致します。
御指摘のとおり医療費適正化対策は、国民健康保険財政の健全化のためには不可欠の取組であると認識しております。これまでから積極的に取り組んできたところでございます。特に本市におきましては、昭和63年度以降、国保運営安定化計画を毎年策定致しまして国保だよりの発行、医療費通知の送付、1日人間ドックの実施など健康づくり事業をはじめとして保健、医療、福祉全般にわたる様々な取組を展開して参りました。
またレセプトの審査につきましては、他の政令指定都市では類を見ない独自の組織として保健福祉局に社会部審査課を設け、医療事務に精通した者や内科、外科、歯科などの複数の診療科目の専任の医師を配置致しましてレセプト全件についての事務審査のみならず医師によります専門的な審査も行うなどきめ細かな点検を実施しており、この結果、平成11年度において約6億5,000万円の財政効果を挙げたところであります。今後ともレセプト審査体制の充実強化に努めますとともに、被保険者の健康づくり施策の積極的な展開を図り、本市国保財政の健全化と被保険者と市民の皆様の負担軽減に向け更なる努力を重ねて参ります。以上でございます。
◎建設局長(野嶋久暉君)
有栖川の改修と公園の整備についてお答え致します。
本市と致しましては、有栖川の改修につきまして平成11年11月に流域6学区の地元の皆様や学校関係者にも参画いただきまして有栖川を考える会を発足しまして、治水対策だけでなく自然豊かな川づくりについて鋭意検討を進めて参りました。
今年度は人、まち、自然、歴史を織り成す有栖川を整備テーマと致しまして治水、防災、自然環境、水辺景観などの整備目標を策定したところでございます。本市では、今後具体的な河川の整備内容につきまして有栖川を考える会で引き続き検討し、市民と行政のパートナーシップに基づきまして議員御指摘のとおり、蛍が飛び交う自然豊かな河川の実現に向けてしっかりと取り組んで参りたいと考えております。また公園の整備につきましても水と緑のネットワークづくりを目指し、有栖川と連携した親水性のある公園整備に向け用地の確保等課題はございますけれども、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。