作品1 「路地のある集合住宅」  長谷川 桂子

  プレゼンテーション

   全体計画: 敷地周囲に町家が残っているので、町並み景観を考慮した。集合住宅敷地内に路地をつくり、路地裏の近所付き合いができるようなコミュニケーションが持てるようにした。道路の交差点と敷地が接するところはオープンカフェや緑地広場を設けることによって、近隣の人たちも楽しめるようにした。

  配置
 平面計画:住戸プランはA・C・Dがメゾネットタイプ、Bがフラットタイプ。人の動きを考慮してメゾネット型を多く設けている。全てのプランで南にリビングルーム、北に寝室を配している。路地に面する部屋には、目隠しのため格子を設けている。

平面


  断面

 立面計画: 建物の表情を表通りに面した部分と路地に面する部分とで変化をつけ、表ては道路からの目線を考えて周囲の町家のひさしと高さをあわせている。また、塀は豪奢な竹塀を用い,ところどころに植栽用のくぼみを設けて単調にならないようにした。路地に面する部分は庇を高くして、縦方向を強調した格子で内部空間を構成している。

講評:メゾネットタイプ、フラットタイプ混合の3階建て集合住宅。各棟を分節化し、ライトウェルをとるなどの手法により、居室 に2箇所以上の窓を確保して良好な採光・通風条件を確保している。敷地内に設けた「路地」から各戸へアプローチをとる計画のため、南側の椹木町通り側は外部に対して閉じた配置計画になっているが、スケールや使用材料の面で町並みへの調和を図っている。敷地南西隅に設けたオープンカフェは近隣コミュニティーとの接点として有効に働きをそうであるが、敷地内を東西に貫く路地が集合住宅のご近所付合いの場として機能するためには、もう少し何かの仕掛けが必要なのではないかと思われる。