住宅作品2005より
2005年度の設計演習1の自由課題「住宅」より、清水太一君「日本の家」および寶川美紀君「家族を感じる家」の2つの作品を紹介します。
1 清水太一 「日本の家」
模型 北西より正面を望む
1F平面図
玄関、和室、居間が庭を囲む。招き入れられ廊下を抜け和室に通されると間戸からはその庭が見える。そういった招かれる側の目線からこの住宅設計は始まったというのが事実で、実際に住む側の立場からのスタートではなったが、客人をもてなすことのできる家は、その家人にとっても心地よい場所となるのではと考え、またそうなることのできる空間を設計することに勤めた。
2F 平面図
模型 北正面
間取りは玄関より東(左)を生活の空間として南北を通る廊下を中心に各室を配した。真ん中に廊下を通すことで家の内部まで光と風を取り込むこみ暗く湿気の溜まりがちな北側に明るさと風を送り込むことを意識した。そして朝は二階にある子供部屋から子供たちがやや朝日で照らされた庭に向かって降りてくる。そんなイメージも少し抱いていた。
模型 南庭側
外観、特に顔とも言える玄関側の北立面を考えるにあたって自分の中に思い浮かぶ日本家屋とは何か、それは雄大な合掌造りでも、奥に何かを秘めた京町家でもなく、田舎によくある入母屋作りの建物であることが立面を考えていくにつれてわかってきた。それに先生方のアドバイスと自分なりの感覚を搾り出してなんとか自分の表現できる限りの日本の家を描いてみた。
北立面図
この住宅設計課題を終えて、この家のメインコンセプトである和室・玄関・居間が囲む庭と、風と光を取り込むための廊下に関わっての階段。この二つの扱いの難しさを感じた。庭については庭そのものの難しさというものもあるが、庭と家との関係についても今後の大きな課題であると考える。階段は上下の階へのアプローチであることがその階の平面を分断しかねないこと、また立面にも大きく影響を与えることに気付けた。そして階段の持つ目線の上下の移動もこれから考えていかなければならないと思った。
模型 北側アプローチ
2 寶川 美紀 「家族を感じる家」
玄関まわり 中庭を見ながら家に入る
―――仲のいい家族が暮らす家――
朝、起きて挨拶を交わし、食卓から出かけていく。
夕方、ただいまの声が、夕食の準備がすすむ台所を通りぬける。
夜、リビングと家族の居室が、吹き抜けを通じてつながる。
そんな、家族の中にコミュニケーションが息づく家を作りたいという思いで
この家を計画しました。中に暮らす人の目線と動きをイメージし、特に動線計画に重点をおいています。
1階平面図
2階平面図
スキップフロアのキッチンの上の吹き抜けは家族を繋ぐ大切な要素であり、居間・テラスへの視線と二階への視線を確保。居間を通る階段は、中庭への視線がさえぎられないように中げたと板ですっきりとした仕様にします。離れ的に配した浴室と洗面も、動線はなるべく短く。居間の空間をさらに広げる、ベランダ下の空間を利用した約10.5畳分のウッドデッキ。あと小さなこだわりとして、トイレの足元には中庭のグリーンが見える窓を作りたい、というのがあり、なかばむりやりに進めてしまいました。中庭にせり出したトイレは先生方には大不評でしたが…。
2階廊下より階下のDKを望む
スキップフロアーの断面詳細図
パーススケッチ リビングからDKを望む
屋根伏せ・外観はおおかたの間取りを決めた上で考察を始めたのですが、浴室と玄関の位置関係から玄関前に広い下屋を作ることができました。はじめから外構を頭に入れて計画できていなかったと思うので、その点を次回以降に生かしたいと思っています。
アプローチ側から玄関部を望む