HISTORY OF GOTHIC ARCHITECTURE

ゴシック建築
-
時代:12c後半頃-15c末頃
場所:北フランスで始まり、イギリス、ドイツでさらに発展。本質的に北欧のもの。
特徴:中世において建築は芸術の殿堂であり、キリスト教会は文化の中心であった。
造形:構造が持つ造形性とアクロバット的表現。象徴性、光、神。ステンドグラス。
一言:精神と構造が結びつき、神と光の希求が劇的な空間を生む。
- ギリシア、ローマ建築のもう一方の近代以前の建築の源流であるロマネスク、ゴシック建築は活版印刷術、ギルド、スコラ哲学等のキーワードを背景とする時代の中で、当時文化の中心であったキリスト教と密接に結びついて成立発展します。構造技術の進歩によって分厚い石壁からそれ自体が発光しているかのようなステンドグラスに換わり、ゴシックの大聖堂は石に化したスコラ哲学とか凍れる音楽とか言われるような、思想と芸術が一体となった劇的な内部空間を創造していきました。
そして、構造と意匠が一体となったデザインという意味では現代では<ハイテク>と呼ばれる現代建築スタイルとの共通性が見られます。
京都にあるゴシック建築
純然たるゴシック建築ではありませんが、京都に現存するゴシック建築の特色が見れる建築を挙げておきます。同志社チャペルの尖塔アーチや壁を支える控え壁(バットレスと言います)がゴシックスタイルの特色です。
- 同志社チャペル(京都市上京区今出川通烏丸東入ル)
1886年:設計/D・C・グリーン
- 同志社クラーク記念館(京都市上京区今出川通烏丸東入ル)
1893年:設計/R・ゼール
ゴシック建築の代表作品
サン・ドニ:Basilique, Saint-Denis; France, Saint-Denis; 1136頃-44(内陣)
修道院付属教会堂。最初のゴシック建築とされる。修道院長シュジェールが構想したこの教会堂の中にキリスト教世界と建築空間が劇的に結びついた世界の始まりがありました。
パリ大聖堂
: Cathedral Paris; France, Paris; 1163-1250頃
ノートルダム大聖堂として知られるフランス初期ゴシックの傑作。水平線の抑制が効いて女性的な感じがします。
建築家丹下健三氏による東京都庁庁舎ビルはこのノートルダム大聖堂からの強いの影響を指摘されたことは記憶に新しいところです。同じくパリにあるポンピドゥー・センターは、その構造や設備配管等をそのまま見せることによって新しい表現を獲得したことはゴシック様式になぞらえて評判になりました。
ラン大聖堂
: Cathedrale Notre-Dame de Laon; France, Laon; about 1160-1235
パリ郊外北東約130kmのランにあるノートルダム教会堂でパリ大聖堂と並ぶ初期ゴシックの双壁。
立体的変化のあるファサードと多塔がかもしだす独特の外観をもっている。
ブールジュ大聖堂
: Cathedrale Saint-Etienne de Bourges; France, Bourges; about 1195-1255
正確にはブールジュのサン・テチエンヌ大聖堂という。シャルトル大聖堂と並ぶ盛期ゴシックの最初の大聖堂。
5廊式の特異な外観と内部空間を持っている。
シャルトル大聖堂
: Cathedral, Chartres; France, Chartres; 1194-1250頃
西正面はロマネスクの面影を残している。ステンドグラスは<シャルトルの青>と言われ、非常に美しい。
アミアン大聖堂
: Cathedral, Amiens; France, Amiens; 1220-1410頃
フランス盛期ゴシックの最大規模の傑作。1849年から、ゴシック・リバイバル時にヴィオレ・ル・デュクにより西正面の改装が行われた。
ランス大聖堂
: Cathedral, Reims; France, Reims; 1211-13c末
まさにゴシックの古典であり、ゴシックの女王と称されるレイヨナン式の傑作である。正面はパリ大聖堂の水平・垂直区分の手法と、初期ゴシック建築の代表作と言われるラン大聖堂の彫塑的な構成を組み合わせた。
サント・シャペル
: Sainte-Chapelle de Paris; France, Paris; 1241/42-48
パリの中心、シテ島の王宮に聖ルイIX世によってつくられた付属教会堂で、レイヨナンス式の代表作品。
ボーヴェのサン・ピエール大聖堂
: Cathedrale Saint-Pierre de Beauvais; France, beauvais; 1247-72
パリの北約60km。イル・ド・フランスと呼ばれる地方にある、内陣と袖廊のみしか完成しなかった未完の広大な大聖堂。
1500-48年に両袖廊が、1558-69年に交差部の大塔が建設されたが、大塔は151mもの高さで、1573年に崩壊、以後再建されることはなかった。
サンタ・クローチェ聖堂
: Santa Croce, S. Croce, Firenze, Italy; 1294-1442; by Arnolfo di Cambio
フィレンツェにあるフランチェスコ派修道会最大のゴシック聖堂。長さ138m、幅39m。
回廊中庭にフィリッポ・ブルネレスキによるルネッサンス期の名建築の一つ、パッツィ家礼拝堂が隣接して建っている。
シエナ大聖堂
:duomo di siena; siena, italy; late 12c-1382
シエナは中世の自由都市として特殊な絹織物工業の技術をもって栄え、都市の中心部に市庁舎とカンポ広場が三つの自治区の共通の場所として設けられた。
シエナ大聖堂は典型的なイタリア・ゴシック建築であり、全体は大理石で化粧されている。
ミラノ大聖堂
: Duomo, Milano; Italy, Milano; 1386-1577, west front 1616-1813
イタリアの最大にして最高の後期ゴシック建築。至る所で尖塔状のモチーフが用いられている。
・他のサイトにある画像データ:
- <http://www.paris.org.:80/Monuments/NDame/>
- <gopher://gopher.lib.virginia.edu/I9/dic/images/westfall/six/sixW17.jpg>
パラッツォ・ドゥカーレ
: Palazzo Ducale; Italy, Venezia; 14c-15c(JPEG image 1373x939pixels):
サン・マルコ広場と運河に面する、後期ゴシックからルネッサンスへの過渡的様式(ヴェネチアン・ゴシック)の幻想的な作品です。
・参考資料:
- 西洋建築史図集 三訂版;日本建築学会編;彰国社;1981/12/10(三訂版);(1953/06/10(初版))
- 世界美術大全集9 ゴシック1;飯田喜四郎、黒江光彦責任編集;小学館;1995/02/10
- 世界美術大全集10 ゴシック2;佐々木英也、富永良子責任編集;小学館;1994/10/20
- 体系世界の美術12 ゴシック美術;堀米庸三責任編集;学習研究社;1974/09/15
- 世界の建築5 ゴシック;飯田喜四郎責任編集;学習研究社;1982/06/17
- 西欧の芸術2 ゴシック;アンリ・フォション;神沢栄三、加藤邦男、長谷川太郎、高田勇訳;鹿島出版会;1972/05/30
- 図説世界建築史8 ゴシック建築;ルイ・グロデッキ;前川道郎+黒岩俊介訳;本の友社;1997/01/10
- ゴシック建築の基本的特質;フィリードリッヒ・シュレーゲル;鳥田家弘;私版(鳥田先生退官記念翻訳著書出版);1977/04/21
- ゴシックの大聖堂;O.フォン・ジムソン;前川道郎訳;みすず書房;1985/06/20
- ゴシックの芸術 ---大聖堂の形と空間;ハンス・ヤンツェン;前川道郎訳;中央公論美術出版;1999/06/01
- ゴシック建築とスコラ学;アーウィン・パノフスキー;前川道郎訳;平凡社;1987/08/25
- 世界の聖域15 シャルトルの大聖堂;柳宗玄、馬杉宗大;講談社;1980/05/20
- 建築行脚9 凍れる音楽 シャルトル大聖堂;磯崎新、篠山紀信、前川道郎;六耀社;1983
- ゴシックと建築空間;前川道郎;ナカニシヤ出版;1978/01/20
- ゴシックということ;前川道郎;学芸出版社;1992/01/25
- 聖なる空間をめぐる フランス中世の聖堂;前川道郎;学芸出版社;1998/07/25
- History of World Architecture Gothck Architcture;Louis Grodecki;Electa/Rizzoli;1978 (original 1976)
- French Gothic Architecture of the Twelfth and Thirteenth Centuries;Jean Bony;1985

HISTORY OF WESTERN ARCHITECTUREに戻る

増田建築研究所のホームページに戻る