しかし、西洋にもまさに「動的」であるバロック様式の建物があり、歩くにつれ劇的に変化する空間がモチーフになっています。
ただ、バロック様式の建物は人工的につくられた「動」を表現しているのに対し、法隆寺五重塔の「動」は樹木のような自然の「動」を表現しているように見えます。自然界にない「動的」なるゆえにバロック様式の建物は劇的に見えるのでしょうか。
この和辻哲郎氏が述べる動的な美しさとはまた別に、天竜寺の枯山水庭園に代表される庭の石組みなどにも「動き」は顕著に見られ、歩くにつれその姿形や奥行きをかえるだけではなく、一カ所にたたずんで眺めていても石の方から動き出すような感じさえします。
私見では、和辻哲郎氏の言う五重塔の動的美しさや、バロック様式の建物はダイナミックな「動」を表現しているのに対し、石組みの「動」は「動」そのものではなく、まさにその石の生命であるかのような奥行きがうち震えるような動的な「靜」であるように思えます。
[No.1]金堂・塔・講堂・中門 [No.2]法隆寺伝法堂・鐘楼
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撮影:平松省二
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