機種解説
■デザインの変遷
オリジナルのP90が、どうにも握りにくいデザインなので、
ここをどうにかできないか?と考えたのがP90_ADを企画した発端です。
立体を起こす前に、P90の側面図の上に、グリグリとラフスケッチを
重ねていきます。
まず、寝すぎているグリップを普通の角度に起こします。
これをそのままピストルグリップにすると、ヒネリの力が加わった際に、
グリップの根本部分にに応力が集中して、ここでもげてしまう。
なので、グリップ尾部を不自然にならないラインで機関部〜ストックに繋げて
強度を稼ぎます。
サイトレシーバー周りも助長なデザインなので、なるべくコンパクトに
まとめます。
グリップを起こした分、全高が高くなりますから、伏せ撃ちに不利にならないよう、 ダットサイトの位置を下げる方向で。
ダットサイトの位置を下げるのに合わせ、ストック上部をえぐって
頬付け位置も下げるように調整。
ストック上部をえぐると、バッテリーの収納スペースに干渉するので、
バッテリーはメカボックス下部に移動(当初はフォアグリップに収めるつもりでしたが、
フォアグリップが太くなりすぎるので断念)
などなどを考えつつ、ざっくりまとめてみたのがコレ。
これを叩き台として、モデリングしていきました。
■排莢箱
P90はグリップと機関部の間のにある開口部から、真下に排莢します。
野外ならまだしも、コンクリ床の室内で、自分の足元に空薬莢を撒き散らすのは、
すっ転ぶ原因となりかねません。
なので、P90には専用の布製カートキャッチャーがあるのですが、、、
「合理的だけど、やっつけ仕事すぎだろ!ヽ('A`)ノ」というデザイン。
ということで、真面目に考証して、排莢箱として本体に組み込んでみました。
内蔵する関係上、ここを大きくしすぎると取り回しに難が出るので、1マガジン分の
空薬莢が入るか入らないか、ぐらいの大きさに設定してあります。
両側の穴で空薬莢がどのぐらい溜まったかを確認、一番上の穴まできたら
捨てどきです。支障のない場所、タイミングを見計らい、バットプレート下の
ロックを押すと、排莢箱がパカっと開くので、後ろに空薬莢を一気に捨てる、
って運用を想定しています。
あ、穴のマイナスモールドは、空薬莢が飛び出ないための桟ですよ。
電動ガンでは空薬莢は出ないので、ここをバッテリー収納スペースとします。
穴からはバッテリーを(付け忘れてないか)確認できます。
■ガンカメラ
セブロMN-23には、「セフティオフと同時にビデオカメラが作動、
被射界を記録する〜」という設定がありまして、これを読んだ20年ほど前から、
実際に作動するガンカメラを装備したいなーと考えていたんですよ。
時代が進み、カメラが小型化されてきたので、調べてみると、GoProの新型が
P90の幅にピッタリサイズってのを発見。これは装備せねば!!
合わせてみると、サイトレシーバーの前スペースに、高さ的にも収まります。
ただ、この位置だと実銃ではマズルフラッシュで、射撃の瞬間に画面が
白飛びします。…まあ、実銃じゃなくて電動ガンだからいいか〜。
GoProは上面の録画/停止ボタンだけで操作できますから、
上面に操作用の開口部を設けてあります。USB端子での充電や、
マイクロSDカードの交換は側面のハッチを開けて行うので、
それ用に側面にも開口部があり、GoProを本体から外すことなく、
大抵の操作は行えます。
サバゲで使う前提ですから、BB弾の直撃を受けて、GoProのレンズ部が
破損する可能性があります。ポリカーボネートの保護層を前に入れることも
考えましたが、そうすると前面に配置されたマイクを塞ぐことになる。
レンズ交換キットが販売されてますから、破損した際はこれで交換して
いただくってことで、ひとつ…m(_ _)m
■FRP成型と完成品販売
P90はロックを押せば、サイトレシーバーを分離できます。P90_ADもこれを踏襲しますが、
大きな問題がひとつ。↑でも書いてますが、このレイアウトではグリップ部分が
強度的なネックになります。
特に、グリップだけを差し替えると、継ぎ目に応力が集中して、根本で折れる!
それを防ぐには、捻った際の応力が分散するように、レシーバー全体を一体成型で作る
しかありません。
レシーバーをキャストの一体成型で作る際には、力がかかる部分はコッソリと
内側の厚みを増やしたり、リブを入れたりして強度を確保します。
が、P90ではグリップの根本の後ろはホップアップ調整用の窓がある上に、
トリガーバーが通っているので、内側に厚みを増やす余裕がない。
つまり、キャストでレシーバーを作ることがほぼ不可能(T_T)。
そこでフレームパーツ全体を、薄くても強度が得られるFRPで作ることになるのですが、
FRPキットを組むことは一般ユーザーでは無理なんですよ。
FRPは硬すぎてカッターでは歯が立たないので、切断には電動工具のディスクサンダーを
使うぐらいだし。
仕方ないので、キット販売は諦めて、完成品で販売することに。
組み立て塗装には手間と時間がかかるから、数が作れないので、生産数限定のオークションでの
販売〜という流れ。
前例がないから、販売数が読めないので、外注のリスクは負えず、、、全工程(企画、デザイン、
モデリング、[中略]、組み立て塗装、販売事務)を、たなか一人でこなしています。
なんという家内制手工業ヽ('A`)ノ
外部リンク
ascii.jp「FN P90をリファインした14丁しかないエアガンがカッコ良すぎ」
電撃ホビーウェブ「全部で14丁のみ!大日本技研オリジナルデザインのエアガン「P90_AD」が発売!」
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