歯をちゃんとみがいているのに、どうして虫歯になるの?

 たいていの方は、一日に2〜3回歯を磨いておられます。なのに、どうして虫歯になってしまうのでしょう。答えは簡単です。うまく磨けていないのです。
 虫歯も歯槽膿漏も、原因は歯垢(プラーク)です。これを完全に除去していれば虫歯にはなりません。歯垢は歯と同じ様な色をしていますので、鏡で見てもほとんど見えません。プラークテスターという赤い染色液で染めてみると、よくわかります。時々、食べカスを歯垢と勘違いしている方がおられますが、これは大きな間違いです。歯垢は、食べカスを栄養にして、歯にべったりと粘着して生活しているバイ菌のかたまりです。これを、除去しなければなりません。上手な磨き方を歯医者さんにいる歯科衛生士さんから習いましょう。歯磨剤はつけなくてかまいません。朝は時間が足りないことが多いので、夕食後や寝る前に完璧なハミガキをする習慣をつけてくださいね。


1 奥歯の溝を磨く
 奥歯の噛み合わさる面の、深い溝を磨きましょう。10才ぐらいまでは、ここが最も虫歯になりやすいところです。歯に直角にハブラシをあて、前後にゴシゴシと磨きます。あまり大きく動かしすぎると歯の溝の中にブラシの毛先が入らないので、効果がありません。キャラメルなどの、歯に詰まった食べカスをとるのはもちろんのこと、歯垢も磨きとって下さい。
 左上、右上、右下、左下と、自分で磨く順番を決めておきましょう。ボーッと磨いている人は、よく、左上ばかりを磨いて、他を磨き忘れていることが多いです。

2 ハグキとのさかいめを磨く
 大人になるにつれて、歯とハグキのさかいめあたり(歯のねもと、歯頸部)に歯垢が付きやすくなります。ここに付いた歯垢は、虫歯の原因となるだけでなく、歯肉炎や歯槽膿漏などの歯周病の原因にもなりますので、上手に磨く必要があります。
 ハグキをマッサージするような気持ちで、やさしく細かく磨いて下さい。昔、ローリング法という回転磨きの方法がありましたが、この方法は難しい上、効率も悪いので最近は推奨されていません。ハグキにも毛先が触っているのを確認しながら前後にゴシゴシみがいて下さい。ただし、力はほとんど入れずに、5mm程度の細かい往復を、1本の歯につき10往復ずつ行うのがよい方法です。歯の表を左上、上の前歯、右上、右下、下の前歯、左下と磨いたら、次に歯の裏も同様に磨きます。結構難しく、時間もかかりますが、とっても大切なことですので、必ず行いましょう。そして、忘れてはならないのが、一番奥の歯の奥側の面です。えずきそうになりますが、ここも磨いて下さい。
 歯周病の予防あるいは治療のためには、ハブラシの毛先をハグキの方向へ45度傾けて、ハグキと歯との間に入り込んだ歯垢をかき出すような気持ちでやさしく磨いてください。このとき、やさしく磨いてもハグキが痛かったり、ハグキから血や膿が出たりすることがあります。このような場所は歯周炎にかかっているところですから、悪い血を出すような気持ちで充分にハブラシでマッサージして下さい。

3 歯と歯の間を磨く(デンタルフロスと歯間ブラシ)
 忘れがちなのは、歯と歯の間のハミガキです。歯と歯の間はけっこうピッタリとひっついていますので、ハブラシでは磨けません。デンタルフロス(糸のようなもの)を用いて歯垢をおとしてください。また、歯周病にかかっている人は、歯間ブラシを用いてハグキの歯垢も除去します。これらの使用法や、サイズの選択方法はとても難しいですから、歯医者さんへ行って習いましょう。
 つまようじやウォターピックでは、歯にはさまったネギなどを取ることはできても、歯垢を完全に除去することはできませんので不充分です。

 

 以上のようなハミガキをきっちりやっていても虫歯になるようなら、食生活に問題があるのかもしれませんね。次のような方は要注意ですよ。

 1 テレビを見ながらだらだらとお菓子をたべている。
     虫歯菌のために栄養を与え続けているようなものです。
     おやつは時間と場所を決めて短時間で食べ終えましょう。
     おやつの後に、牛乳やお茶を飲むだけでも、虫歯になりにくくなります。
 2 甘い食べ物がとにかく大好き。
     虫歯菌の大好物は砂糖です。
     果物や蜂蜜、そして最近の人工甘味料など、砂糖以外の甘みですと、
    虫歯にはなりにくいです。
 3 ミルクを飲みながら哺乳ビンを加えたまま寝る癖のある赤ちゃん。
     寝る前に歯を磨いてあげてください。
     乳酸菌の入った飲料を飲みながら眠るのが最もよくないようです。


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