ごった日記2000 11月1日〜10日


【11月2日(木)】
●久々に某社で打ち合わせ。いつもぎりぎりに来る牧野・田中組が珍しく先に着いていたと思ったら、牧野さんは自宅マンションの階段を転げ落ちて足を挫き、湿布を当てて足を引きずりやってきて、東京駅からタクシーを使ったのだとか。
 半年間、色々なことが進行していたことが分かるが、先も長そうだ。
●大勢で居酒屋へ行き、二次会まで。

【11月3日(金)】
●チェックアウトして三人で昼飯(ラーメン)を食って解散。二人は帰るが、ぼくはもう一晩泊まらねばならない。
 が、今晩の宿はなぜかどこもかしこも一杯で取れていない。まあ、出版社に頼めばどうにかなるだろう。
●飯田橋神楽坂の日本出版クラブ会館というところで、本格ミステリ作家クラブ旗揚げの諸々。二時に着いて賛助会員への説明会、総会、パーティ、二次会と深夜まで。
 パーティでは松尾由美さんに初めて会った。北方、大沢、宮部といった方々も応援に駆けつけてくれて大盛況。
●いくつかホテルを当たったもののどこも一杯で駄目だったのが、S英社に頼むと山の上が取れた。やはり用意してあるのだなあ。
●二次会はカラオケボックスのワンフロアだったのだが、ほとんど誰も歌わずお話を。
 鯨統一郎さんに会い、その無茶苦茶若い見た目に驚く。牧野さんと同い年だが、牧野さんよりさらに若く見えるのだ。
●誰も歌わない大部屋で探偵小説研究会の横井氏がいきなりかましたのが「風雲ライオン丸」(快傑ではない)。しかし誰も続く人はいない。次に再び横井氏が「東京ラプソディ」を入れると、どこからか飛んできてデュエットを始めたのが倉阪鬼一郎氏。冒険野郎というか何というか……。
●一旦解散してからカラオケ組だけ残ることになり、ぼちぼちと歌い始める。

【11月4日(土)】
●十二時を過ぎてから部屋を渡り歩きつつ歌いまくる。「ガストロンジャー」は2回目だったが、オリジナルを聴き直していないのでどの程度正確なのかは分からない。
 今野敏氏は相当歌い込んでいるらしい。宮部歌姫(「月光」素晴らしい! 録音すれば売れる!)と並んでプロ級。
 二時頃解散。いつもならもうちょっといるところだが、チェックインしていないのと、疲れ気味なのとで、一人でホテルへ。
●チェックアウトして渋谷へ。メディアファクトリーが出資しているという押井守監督の『Avalon』という映画を有栖川夫妻と一緒に観るため。「ダ・ヴィンチ」が手配してくれたのである。早めに待ち合わせてお茶しているうち、舞台挨拶にぎりぎり間に合うような時間になってしまった。何しろ休日の渋谷は無茶苦茶。あんな街には用事がなければ絶対行きたくないものだが、若者たちはあれが好きなのか。不思議。
●『Avalon』は、バーチャルリアリティゲームをテーマにした映画だが、全編ポーランドロケ、ポーランド俳優、もちろんポーランド語という異色作(字幕は英語と日本語両方だったが、あれは国際映画祭用だからか)。
 ゲームは「ウィザードリイ」の世界観(戦闘そのものはミリタリーなのだが)でできあがっていて、「前衛」「後衛」とか「シーフ」「メイジ」に「マカニト」「バディ」といった言葉が散りばめられている。どう考えてもあのフィールド、ルールで前衛後衛の意味があるとは思えないのだがまあお遊びみたいなものか。
 冒頭のCGはさすがに気合いが入っており、わざわざポーランドまで行って探した「実写版・草薙素子」はなかなかかっこいい。フルオーケストラの音楽もグー。
 しかし、絵的にはともかく、どうしても設定に納得行かず、最後まで見ても疑問は解消されないし、単純明快なカタルシスともほど遠い。
 いくつかの謎があるので、それらを解き明かすと何か真相が出てくるのだろうか?
●映画が終わったのが6時前だったので、有栖川さんたちとはお別れ。とっとと京都に戻る。
●新幹線の中でジョゼフ・フィンダー『バーニング・ツリー』(新潮文庫)を読了。
 帯に「すべてを覆す茫然の結末!」と書いてあって気になったのだが、「まさかこんな話じゃないだろうな」と思ったら、その通りでした。途中までは面白かったんだがなあ。

【11月6日(月)】
●e−NOVELSのリニューアル日。無事に済むのかと心配したが、何とか終わった。ブラウザのせいでまだ色々あったりもするがとりあえず安心。

【11月7日(火)】
●アップルからようやくCubeに関して連絡が入るが、向こうの言い分は「こちらでは症状は認められません。ハードの問題ではないと思うので送り返します」というものだった。
 うちの電磁波のせいだとでもいうのだろうか。

【11月9日(木)】
小林泰三『奇憶』(祥伝社400円文庫)。
 企画としてはなかなかいいのではないかという気がする。これで400円でなく300円なら諸手をあげて歓迎するところ。
 内容はいかにも小林さんらしいSF。酒を飲んでバイトに初日から行けなくなるあたりの描写はしつこくて真に迫っている。
西澤保彦『なつこ、孤島に囚われ』(祥伝社400円文庫)。
 「小説推理」でも実名小説を書いているが、こちらが先らしい。
 実名小説であることの意味があるのかないのか、これだけでは不明。きっと「両性具有迷宮」も読めば分かるのではないかと期待しているのだが……。
●Cube、戻ってくるが、相変わらず同じ症状。一体どうしろと?

【11月10日(金)】
倉阪鬼一郎『文字禍の館』(祥伝社400円文庫)。
 この形態、後をひくかもしれない。
 あらすじから『言霊』みたいな話かと思っていたらちょっと違った。田中啓文氏も書いていたが、確かに笑える。『言霊』より笑える。


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