ごった日記2001 8月1日〜10日


【8月1日(火)】
奥泉光『鳥類学者のファンタジア』(集英社)。
 ミステリ的な意匠がなく、最初からファンタジーであるせいか、心おきなく楽しめた。
 どうもこの人の描く女性の視点が好きだということが分かり、この作品の場合全編を通して一人の女性の視点ということもだれずに読めた原因のような気がする。『グランド・ミステリー』でもそうだったが、「女性に嫌われまくる憎めないおっさん」が出てくると楽しくてしょうがない。

【8月4日(土)】
●朝生は靖国。
 小泉はずっと「どうして批判があるのか分からない」などと言っていたが、本気かどうかずっと不思議だったのだが、西尾幹二を初めとする面々の言葉を聞いていてああやっぱりそうだったのかと腑に落ちる。
 国のために戦死した人々と、その戦死の責任を作り、自らは戦場に行かず、戦死したわけでもない人を一緒に祀って平気でいるというのは、恐らく東京裁判を認めてないんだろうなあとは思っていた。しかし東京裁判が戦勝国の一方的な断罪でありA級戦犯達には何の罪もなかったのだとしても、誰かに戦争を起こした責任はあるはずだし、その追及をしてこそ、A級戦犯の「汚名」をそそぎ戦死者の霊を慰めることになるのではないかと思うのが普通の神経だろう。ところがA級戦犯には戦争責任はないといいつつ、その「真の」責任のありかを追求されて西尾幹二曰く――「誰にもありません」。
 不幸な流れによって戦争してしまったと言いたいのだろうが、それなら歴史上のあらゆる戦争は「運が悪かった」で片づいてしまう。国民によって選ばれたヒトラーはもとより、残虐な犯罪者でさえもその生育環境などのせいにして責任を無効にできる発想だ。
 そのくせ日本はドイツとは違うのだと言い張るのだから始末に負えない。
 とにかく右翼の人々は論理でなく情念で話をするので、いかに言葉をつくそうとも議論がかみ合うはずもない。
 東京裁判の「判決は受諾したが裁判は認めていない」とか意味不明の発言もあり、「大日本帝国」が生まれ変わって今の日本があるのだとは連中は思ってもいないらしい。「明治以来百数十年の靖国の伝統」とか言うのもふざけた話。まさにそれは軍国主義と一体となった歴史で、他の信仰を踏みにじった上での百年だというのに。「国が靖国に祀ると約束した」のだから首相には参拝する義務があるという人もいるが、その約束した国はもうないんだから仕方がないじゃん。天皇制を残したりなんかするから、こういう勘違い野郎がいなくならないのだ。
 小泉は質問に答える際、「日本人は死んだらみんな仏になる」などと言っているがこれはやはり勘違いというよりわざとなんだろう。いくらなんでも靖国が祀っているのが神であって仏でないことを知らずに言っているはずはない。「英霊」はもちろん「戦死者」とも言わずに「戦没者」と言うのもまるで戦争で死んだ人をみんな慰霊するかのように思わせるために慎重に選ばれた言葉だ(ちなみに辞書を引いてみると「戦没」とは「戦場で死ぬこと。戦死、戦病死」とあったが、病死の場合靖国には祀られないはずなのでやはりこの語は不適当と言えるだろう)。
 誰のせいにせよ、日本は誤った道を進んだのだという反省、歴史認識が少しでもあったなら、命令に従って特攻した人よりも、国の方針に逆らって殺された人、獄死した人の方こそ讃えるべきだし、慰霊すべきだと思うはずじゃないかね? 上官の理不尽な命令に逆らって処刑された人は? 靖国にそういう人を祀ろうという動きは……ないんだろうなあ。
●相方がSMAPのコンサートで大阪へ行くため送っていく。
 帰る前にジョーシンに寄って、気になってたパリス・マッチというグループのアルバムを購入。真心ブラザーズの「ミニアルバム+DVD」という「真心セット」も。「橋の上で」は名曲。
田中啓文『鬼の探偵小説』(講談社ノベルス)。
 メフィスト掲載分はどれも読んでいるので、今回は書き下ろしの「犬の首」のみ読む。「おや?」って感じの結末で、次回への布石なのかと思ったが、本人に聞いたら全然そうではなかったらしい。

【8月5日(日)】
●新刊『人形はライブハウスで推理する』が出たので、他の京都メンバーと担当でお食事。皆家族同伴なので大阪から戻ったばかりの相方も一緒に。
 最初は「ボタン鍋」とか言っていたのだが、やっぱり暑いだろうと豆腐料理の店。コースなのだが豆腐は食べ放題なので腹一杯食う。

【8月7日(火)】
中村融・山岸真編『20世紀SF 2』(河出書房)。
 どうして「2」からかと言うと、まとめ買いしようとしたときにぱらぱら見ていたら「1」は乱丁本しかなかったので買えなかったのだった。
 中身は、さすがにディテールの端々に古さが覗くものの、アイデア的にはある意味頂点を極めているような感があり、ミステリの黄金時代を思わせるものがある。

【8月9日(木)】
●相方が東京に行くので、ついでにバッテリーのあがってしまったミニを点検のため市内へ持っていくことに。
 一旦バッテリーを繋いでエンジンをかけたものの、出るまで時間がかかった間に一瞬切ってみたらもうかからなかった。もう一度繋ごうとしたらどしゃ降りになり、一時退却。
 小やみになったのを見計らってまた繋いでかけ、何とか出発。
 先日見つけて買おうかどうしようか迷っていた64の「どうぶつの森」を買いに行ったらもうなかった。

【8月10日(金)】
●「シレンGB2」、「奈落の果て」を30Fクリアしたのでちょっと封印。


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