ごった日記2001 9月1日〜10日


【9月1日(土)】
宮部みゆき『R.P.G.』(集英社文庫)。
 なぜ文庫書き下ろしなのかということをあとがきで、「帯に短し襷に長し」と書いているのだが、普通これは「長編」だと思う長さではないのだろうか。長大なものを書くと感覚が変わるのかもしれない。
 読んでみるとやっぱり、本格の人がせいぜい百枚くらいで書けば面白いものになったかもなあという感じ。「ネット上の疑似家族」という面白そうな発想も、ミステリ方面での活かし方はされていないのが残念。

【9月2日(日)】
中村融・山岸真編『20世紀SF 1』(河出文庫)。
 古臭いのがほとんどだが、「現実創造」にはびっくり。まるでイーガンみたい。

【9月4日(火)】
二階堂黎人・森英俊編『密室殺人コレクション』(原書房)。
 期待のロジャーズは、なるほど『赤い右手』の作者らしい作品。あんまり面白いとは思わないが。全体的に、確かに密室は出てくるものの、そのトリックには重点がないものがほとんどでちょっと肩すかし。

【9月5日(水)】
藤岡真『ゲッベルスの贈り物』(東京創元社)。
 『六色金神殺人事件』がそれなりに話題になったせいで、一作目が文庫化されたようだ。てっきり徳間文庫だと思って探していたのだが、角川だったとは。
 やはり『六色〜』と比較すると小粒な感じは否めない。殺し屋にまつわる引っかけは、あまりに無理がある上に、効果も感じられない。「ゲッベルスの贈り物」の正体はちょっと面白い。

【9月8日(土)】
高田崇史『試験に出るパズル』(講談社ノベルス)。
 パズルにひかれてつい一気に読んでしまったが、どれも水増し感は否めない。キャラの弱い人だけに、こういう方向性は間違いとしか思えない。


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