【9月24日(月)】
●舞城王太郎『暗闇の中で子供』(講談社ノベルス)。
……ムムム。何じゃこりゃ。
冒頭から矛盾した記述があったり、ホラーとしても荒唐無稽な見立て殺人の犯人とか(昔あんな映画があったなあ)、話が滅茶苦茶なのはまあおいといても、前作のような疾走感がないので最初から最後までノレない。三郎の性格のせいか? 悪い感触はしないのだけれど、何が起きてもウソっぽくて、何だか退屈。
結局前作が面白かったのは奈津川家の物語が壮絶だったからで、それをもう一度繰り返されてもなあという感じ。
【9月25日(火)】
●先日来、毎日放送の「ちちんぷいぷい」という番組の中で、妙に面白いCMを続けて見た。「マサイの戦士」のCMである。関西と徳島のみの販売らしいのでそもそもこの飲み物もCMも知らない方も多いだろうが、ぼくが見たのは実は普通に流れているCMではない。おそらくその作りから見て毎日放送が勝手に(?)作ったものではないかと思うのだが、他にもバージョンがあるのかどうか、インターネットで何か情報がないかと思って検索してみたが一向に見当たらない。こんな夕方の番組を見てるのは主婦ばかりなのかもしれない。とりあえずぼくが見たCMの概要(いいかげん)を記しておく。
<コピー室編>
二人の太った中年サラリーマンが会話している。
「運動せなあかんのは分かってるんやけど、太ってると動くのしんどいからじっとしてるやろ。ますます太るやろ。ますます動かんようになるやろ。ますます太るやろ。これが恐怖のデブスパイラルちゅう奴や」
(あと「マサイの戦士」がいかに健康かという話がしばらく続いたような気がする)
<自宅編>
夫婦の会話。
「マサイの戦士は健康らしいで。この発酵乳を毎日飲んでるから健康なんや」(と「マサイの戦士」を夫に見せる妻)
「そやかてなー、マサイの戦士はストレスがないやろ。ストレスなかったら健康になるわ」
「何言うてんのあんた。上司に怒られるのんとライオンに食われそうになるのんと、どっちがストレス大きいと思てんの」
「……ああ、そういうたらそやなあ」
「満員電車でお尻押し込まれるのんと、サイにお尻突かれるのとどっちがストレス大きいと思てんの」
「そやなあ」
「そやろ」
大体お分かりいただけただろうか。あー、もう一回見たい。
【9月26日(水)】
●「ブラックジャック3」を途中から見始めたらこれが強烈で無茶苦茶面白い。堤幸彦っぽいなあと思ったら案の定そう。
病院の医者役の、顔も知らない俳優の演技がまさに怪演で抱腹絶倒。あれは一体誰? 名のある舞台役者ではなかろうか。
その後に登場した森本レオのドクターキリコにも爆笑。よくもまあこんな配役を考えたものだ。
前作も見てえ!
【9月28日(金)】
●上京。まずアスキーに出向いて会議。問題山積。
●六時から鮎川哲也賞だったのだが、道路が混んでて三〇分ほど遅れる。が、まだ挨拶が続いていたので問題なし。
●二次会は例によってタゴールだったのだが、人数が多すぎて一杯溢れていたようだ。もう少し余裕のある会場にしないとね。
【9月29日(土)】
●きっと誰かカラオケに行ってるはずなのに、とうろうろしたあげく、やはりカーニバルで歌っている一行を発見。柴田さん野間さん西澤さんなどなど。絶対入ってると思った真心ブラザーズ「橋の上で」はなく、とりあえず「流れ星」を入れてみたら結構覚えてたので少し不満も解消。
●ホテルに戻って眠り、昼過ぎチェックアウト。最近いつも食べる手打ちうどんを食ってソフマップなどをうろうろしていると、井上夢人さんとばったり。同じようにソフマップにいたらしい。とりあえずお茶を飲むことに。
●井上さんと別れ、電車に乗って喜国邸に向かう。泊めてもらって明日は、超まずいと評判の「山○うどん」というチェーン店の味を確かめに行くというイベントがあるのだった。
●喜国邸でくりまるとかのこをいじったり、本棚を見たりしているうちに麻耶雄嵩夫婦も到着。昨晩のパーティで声をかけ、一緒に泊めてもらうことになったのだ。とりあえず今晩は「おいしいもの」を食べることにしておしゃれなファミレ風イタリアン。結局ご馳走になってしまう。
【9月30日(日)】
●ほぼ全員が喋りまくりで延々朝まで話す。喜国さんも少し仮眠したもののまたすぐ起きて犬の散歩。
結局十一時になった時点で、とりあえずこのまま「○田うどん」に行った方がいいのではということになり、全員で乗り込む。
とにかく超まずいのに埼玉などに一杯展開しているという謎のチェーン店。アンチグルメ小説の構想があるからということもあるのだが、単純にどれほどまずいのか知りたい、という興味がまず大きい。
……で、みんなで確認してみた結果は、「確かにまずいが食えなくはない」。言い方を変えると、「食えるけどやっぱりまずい」。というレベル。たぬきうどん250円というのは立ち食いレベルの値段だが、立ち食いでももうちょっとうまい店があるのは事実で、安いからこれでもいいとは思えない。しかし食えなくはない。
●その後再び喜国邸に戻って雑談している折り、ふと喜国さんが漏らした「小平下水道館」という施設に興味を引かれ、「いつか」というつもりで「行きたいなー」と言ったところ、早速開館時間、休館日などを調べてくれる喜国さん。
これまた下水道小説の構想があるぼくはまあいいとして、麻耶夫婦も由香さんもつきあってみんなで赴くことに。
正式名称は「小平市ふれあい下水道館」。地上二階、地下五階の建物をワンフロアずつ展示を見て下りてゆくと、最後には地下二十五メートルのところを通っている本物の下水道の中に入れるという施設。何と無料だ。展示はいまいち物足りないが、とにかく下水道の中を見られるのだから一見の価値あり。
●その後、麻耶夫婦と三人で京都に戻る。