【あ行】
綾辻行人(あやつじ・ゆきと)(注:「つじ」の字は点が二個)写真
京大推理小説研究会出身作家第一号。デビューは86年『十角館の殺人』(講談社ノベルス)。我孫子武丸、法月綸太郎が入学したとき五回生で、色んな意味で影響を与え合った(よい影響だったと信じたい)。最新作は『眼球綺譚』(集英社)。
有栖川有栖(ありすがわ・ありす)
デビューは89年『月光ゲーム』(東京創元社)。同志社大学推理小説研究会出身。かつては書店員と二足のわらじを履いていたが、94年退職。専業となる。そのくせ最近あんまりパーティに顔出さないのは何故? 最新長編は、『幻想運河』(双葉社)。
井上夢人(いのうえ・ゆめひと)写真
乱歩賞作家「岡嶋二人」の一人。南夕子がいなくなった後一人で頑張る北斗みたいなものか。ソロとしてのデビュー作は92年『ダレカガナカニイル…』(新潮ミステリー倶楽部)。オウムみたいな教団は出てくるわ、「ポア」という言葉も出てくるわ、今読むとかえって面白いかも。岡嶋二人の結成、解散を辿るノンフィクション『おかしな二人』(講談社)も話題に。最新長編は『メドゥサ、鏡をごらん』(双葉社)。
歌野晶午(うたの・しょうご)
88年『長い家の殺人』(講談社ノベルス)でデビュー。デビューの経緯は同書の島田荘司氏による推薦文をご覧下さい。合計五作の本を発表するも、書けなくなり、断筆。しかしミステリへの想い断ちがたく、95年『ROMMY』(講談社ノベルス)で復活。氏の音楽好きが窺われるいい本である。
宇山秀雄(うやま・ひでお)
講談社文芸第三部長。かつては『虚無への供物』を文庫にし、『十角館の殺人』を世に送り出した編集者。その後に続く講談社ノベルスの新人のほとんどは彼が手がけている。お世話になりました。でも今は偉くなったので直接は誰も担当していません。ちょっと寂しそうかも。奥さんはスキーが上手。
太田忠司(おおた・ただし)
星新一主宰のショートショートコンテストで優秀作に選ばれ、90年『僕の殺人』(講談社ノベルス)で長編デビュー。かつて「新本格」と呼ばれた人の中で、実は一番堅実に作品を発表し続けている人。最近はアクティブとは言い難いが、ニフティサーブの推理小説フォーラムで会える。最新作は『3LDK要塞 山崎家』(幻冬舎ノベルズ)。
大森望(おおもり・のぞみ)写真
SF翻訳・評論・映画評・ゲーム評・ポルノ評と何でもこなすマルチライター。しかし彼が新潮の元編集者であることを知る人は……結構多いかも。締め切りの数も多いが、遊びも半端じゃない。おまけに巨大な量のホームページと日記。大森望二人いる説はもちろん、三人説、クローン増殖説、ドルーピー説ジェイソン説と、諸説入り乱れているが真偽のほどは定かでない。ほんとのところ、どうなんですか?>大森さん
岡嶋二人(おかじま・ふたり)
82年、『焦茶色のパステル』で第28回乱歩賞を射止め、デビュー。しかしてその実体は、井上泉と徳山諄一という二人の合作だった。しかしデビュー以後、友情のバロメーターが下がったのか二人は変身不能になり、89年『クラインの壷』(新潮ミステリー倶楽部)を最後に姿を消した。ぼくたちはあなたのことを忘れない。ありがとう、バロム1!(違うだろ)
小野不由美
デビューは88年講談社ティーンズハートの『バースデイ・イブは眠れない』。その後「悪霊」シリーズで人気を博した後、『月の影 影の海』(講談社ホワイトハート)に始まる十二国のシリーズと完全大人向けに書いた『東亰異聞』(新潮社)でそのマーケットを大きく広げ、高い評価を受けた。噂によるとご主人はあまり仕事をしない人らしい。
【か行】
笠井潔(かさい・きよし)写真
79年『バイバイ・エンジェル』(角川書店)でデビュー。本人曰く、「最強の中卒」。高校も大学も卒業はしてないということらしい。去年からスキーに凝り始め、「冬は仕事はしない」とさえ公言していたにもかかわらず、先のシーズンは連載を何本もかかえる有様。噂によれば来シーズンもなかなか暇にはできないようである。最新長編は『熾天使の夏』(講談社)。
加納朋子(かのう・ともこ)写真
92年『ななつのこ』(東京創元社)で第三回鮎川哲也賞を受賞してデビュー。噂によると箱入り娘らしい。「ほう、」とか言ったりして。短編「ガラスの麒麟」で日本推理作家協会賞短編賞を受賞。彼女が取るまでは綾辻氏が最年少だったのだが、一気に年齢を更新した(いくつかは書かない)。最新作は『いちばん初めにあった海』(角川書店)。
北村薫(きたむら・かおる)写真
89年『空飛ぶ馬』(東京創元社)でデビュー。当初は覆面作家だったが、『夜の蝉』(東京創元社)の日本推理作家協会賞受賞式で仕方なく(?)その正体を明かす。見ただけで「いいひと」だと分かるような人である。元高校教師。桜井幸子のような生徒と何かあったというような話は、聞いていない。男子校だし、あったら大変か。最新作は『覆面作家の夢の家』(角川書店)。
京極夏彦(きょうごく・なつひこ)写真
94年『姑獲鳥の夏』(講談社ノベルス)でデビュー。近年のミステリ・ルネッサンスが生んだ「最強のカード」(by竹本健治)と世間の評価も高い。テレビも見れば本も読む。なのにこのスピードで質を保ちながら原稿が書ける秘密は、睡眠時間三時間。あんたはナポレオンか。京大ミステリ研関係だと思っている人が多いようだが、彼は数少ない持ち込み派。力さえあれば、そして読んでくれる編集者に当たりさえすればそういうこともありうるということ。何故かいつも手袋をしている。『魍魎の匣』で第四十九回日本推理作家協会賞を授賞。最新作は『嗤う伊右衛門』(中央公論社)。
桐野夏生(きりの・なつお)
ジュニアノベルの作家だったらしいが、93年『顔に降りかかる雨』(講談社)で第39回江戸川乱歩賞を受賞してミステリ作家に転身。受賞パーティの折り、ぼくの隣に立っていた山口雅也氏の呟いた一言が忘れられない。「いい女じゃん」麻雀では最近ついていない様子。最新刊は『OUT』(講談社)。
小森健太朗(こもり・けんたろう)写真
94年『コミケ殺人事件』(出版芸術社)でデビュー。かつて乱歩賞最年少候補になったことがあり、その名は(別名だが)業界に轟いていた。最新作は『神の子の密室』(講談社ノベルス)。
【さ行】
斎藤肇(さいとう・はじめ)写真
星新一主宰のショートショートコンテストで優秀作を受賞。講談社の宇山氏にミステリ執筆を持ちかけられ、88年『思い通りにエンドマーク』(講談社ノベルス)で長編デビュー。ファンタジーの著作も多い。ニフティサーブで推理小説フォーラム「FSUIRI」のシスオペをつとめている。最新作は『新・魔法物語 竜形の少年』(講談社文庫)。
島田荘司(しまだ・そうじ)
81年『占星術殺人事件』(講談社)でデビュー。一部マニアに圧倒的支持を受けるも、御手洗ものは当初あまり売れなかったらしい。そういう時代ではなかったということか。後にカッパでトラベルミステリを書くようになり、ブレイク。その地歩を築く。綾辻行人に続く「新本格」作家の推薦人でもあり、今それなりに「本格」が商売になっているのはこの人のおかげと言って過言ではない。しかし最近の御手洗物、評論活動には首を傾げざるをえないことが多く、名付け子としては頭の痛いことである。最新作は『龍臥亭事件』(カッパノベルス)。
新保博久(しんぽ・ひろひさ)写真
ワセダ・ミステリ・クラブ出身の書評家。本人は特に本格が好きなわけではないと言い張るが、少なくとも他のほとんどのミステリ書評家より本格に理解がある。かつて「マジカル頭脳パワー」の一コーナー「マジカルミステリー劇場」に徳山諄一氏、不肖我孫子などと一緒にブレーンとして参加していた。同じメンバーでTBSで「頭脳警察」というのも二回ほどやった。料理が得意。
菅浩江(すが・ひろえ)
今はなき「SF宝石」で高校在学中に短編デビュー。長編デビューは89年『ゆらぎの森のシエラ』。見た目はファンタジーでも心根はSFという作品が多い。オルガンを弾き日本舞踊を踊る京女はなんと菅原道真の末裔。最新作はなんとミステリで、『鬼女の都』(祥伝社)。
【た行】
竹本健治(たけもと・けんじ)写真
若干23才で大作『匣の中の失楽』を書き上げ、故中井英夫を通じて幻影城からデビュー。現在は講談社ノベルス版が一番手に入りやすいか。本当になりたかった職業は「碁打ち」だという竹本氏はなぎら健壱似。写真で確認だ。最新作は『闇に用いる力学 赤気編』(光文社)
遅塚久美子(ちづか・くみこ)写真
集英社の小説誌「小説めばる」……じゃなくて「小説すばる」の編集者。北村薫の「覆面作家」シリーズに出てくる「小説わるつ」の歌って踊れる編集者「静美奈子」のモデルではないかと噂されている。
戸川安宣(とがわ・やすのぶ)写真の右側
東京創元社編集長。偉い人なのだが、実年齢より遥かに若く見えたり、結局ただのミステリ好きらしいのでちっとも偉そうな感じがしない。結構失礼なことを言ったこともあるかも。立教ミステリ研OB。後輩には澤木喬、若竹七海などがおり、おかげで社員でもないのにパーティなどではパシリとして使われる彼女たちを見ることができる。
【な行】
夏来健次(なつき・けんじ)
翻訳家。守備範囲は幻想文学らしいが、最近はミステリを読んだり、変な本の解説を書いたりもしている(ぼくも『人形はこたつで推理する』の解説を書いていただいた)。協会賞のパーティに出たいがため推理作家協会に入った奇特な人。竹本健治とは「幻影城」仲間。
二階堂黎人(にかいどう・れいと)写真
90年、第一回鮎川哲也賞で『吸血の家』(92年立風書房で刊行)が佳作となるも、諸般の事情により出版が遅れる。その間、講談社の宇山氏より執筆を依頼され、92年『地獄の奇術師』でデビュー。その作風は重厚で、「新本格」などというよりも、正に「本格」。ぼくの見るところ、黄金時代の再現を目指す、唯一無二の「本格推理」作家である。ご母堂の経営する神田の雀荘「旭」では不定期にミステリ作家麻雀大会が催され……ていたのだが、96年春、惜しまれながら店じまいした。最新長編は『奇跡島の不思議』(角川書店)
西澤保彦(にしざわ・やすひこ)写真
95年、『解体諸因』(講談社ノベルス)でデビュー。近い時期にデビューした京極夏彦に隠れてしまった感があるが、一年ちょっとで四冊というその執筆スピードは並みではない。その秘密は「一日五枚書かないと奥さんにビールを飲ませてもらえないから」だそうな。奇抜なSF的設定の生かされた『七回死んだ男』の評判が高く、協会賞候補にも選ばれる。最新作は『複製症候群』(講談社ノベルス)。
貫井徳郎(ぬくい・とくろう)
93年、『慟哭』が第4回鮎川哲也賞の佳作に選ばれ、デビュー。ここだけの話だが(って世界中か?)受賞作より評価する人は多い。一説にはこの本の仕掛けが審査委員の固い頭では理解できなかったとも言われているが、真実は不明。鮎哲賞応募時点で「作家になる」と公言し勤めをやめたという強者。最新長編は『修羅の終わり』(講談社)。ちなみにスキーの腕前はプロ級である(笑)。
法月綸太郎(のりづき・りんたろう)写真
88年『密閉教室』(講談社ノベルス)でデビュー。京大ミステリ研出身。就職したばかりだった銀行を結局その年に退社(退行?)、専業作家への道を歩み始める。最近は書けない書けないとぼやくのが趣味と化しつつあるが、他には取り柄がないんだから仕事しろよ。最新作は、短編集だが『パズル崩壊』(集英社)。
【は行】
東野圭吾(ひがしの・けいご)
85年、第31回江戸川乱歩賞を『放課後』で授賞。オーソドックス(風?)な本格からSFタッチのサスペンス、ギャグ小説までこなす才人。世間の人がどう見ているのかは知らないが、相当「へそまがり」な人だというのは法月綸太郎とぼくとの間では一致した意見。『どちらかが彼女を殺した』(講談社ノベルス)を見ればそのことがよく分かる。
最新作は『名探偵の呪縛』(講談社文庫)。
【ま行】
麻耶雄嵩(まや・ゆたか)写真
91年『翼ある闇ーメルカトル鮎最後の事件』(講談社)でデビュー。京大ミステリ研出身。その問題作で罵詈雑言と絶賛を同時に浴びた彼は、93年『夏と冬の奏鳴曲(ソナタ)』(講談社ノベルス)を発表、その理解不能さの余り非難の声さえも封じ込め、一部の熱狂的なファンを得てすでにしてカルトと化す。彼を見た女性の多くは「美青年」だと言うが、ぼくにはその感覚はようわかりまへん。写真を載せたので自分で判断してください。最新長編は『あいにくの雨で』(講談社ノベルス)。
宮部みゆき(みやべ・みゆき)写真
89年『パーフェクト・ブルー』(東京創元社)で長編デビュー。それ以前にオール読物推理小説新人賞を取っており、その後も『魔術はささやく』で日本サスペンス大賞、『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『火車』で山本周五郎賞など、様々な賞を総なめ。高村薫「女王」と競い合うエンタテインメント界の「姫」あるいは「歌姫」と呼ばれる。演歌からマドンナまで、こなせない歌はないという噂も。この一年、悪い遊びを覚えたせいか、昔ほど本が出ていないような気が。……なんせ3DOまで買うんだもんなあ。
森博嗣(
もり・ひろし)写真
95年『すべてがFになる』(講談社ノベルス)で第一回メフィスト笑……じゃなくてメフィスト賞を受賞してデビュー。ホームページを見れば分かってしまうが、某国立大学の先生でもある。二足のわらじを履きながらの恐るべき執筆速度には頭が下がります。
最新長編は『封印再度』(講談社ノベルス)。
【や行】
山口雅也(やまぐち・まさや)写真
89年『生ける屍の死』(東京創元社)でデビュー。ワセダミステリクラブ出身。学生時代より「ミステリマガジン」などでコラムを担当、マニアックな知識で我々若い読者を喜ばせてくれていた。音楽にも造詣が深く、音楽評論などでも活躍していたらしい。『日本殺人事件』(角川書店)で日本推理作家協会賞を受賞。氏、曰く「クイーンは正妻、カーは愛人」。見かけによらずスキーもやればスキューバもやる湘南ボーイ。最新作は『續・日本殺人事件』(角川書店)。
【わ行】
若竹七海(わかたけ・ななみ)
91年『ぼくのミステリな日常』(東京創元社)でデビュー。立教大ミステリ研出身。香港マニアだと思っていたが、『マレー半島すちゃらか紀行』(新潮社)を見ると、旅行マニアらしいと分かる(アジアマニアかも)。最新作は『船上にて』(出版芸術社)。
(未完成。日記とかに書きそうな人を取りあえず並べただけなので、人名もどんどん増えます。’97.7.31) メニューへ