京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2000年4月号 掲載)
地域の親の会のあり方

高平福治   

 数年前から親の会のあり方を考える事が時々あります。それは今のトライアングルのあり方がどうかということなのですが、それは言い方をかえれば地域の会と全国組織の会の役割はどうあるべきかと言ったものです。

 会の原動力は、基本的には会員のニーズなのですが、それは、身近な自分の子供を育てる問題と政治や医療、療育制度など社会的な問題に関するものとに分けられると思います。そして地域の会の会員が持つ主なニーズはあくまでも自分の子供に関することだと思うのです。 それから会の活動が広範になり、組織化されていけばいくほど、一人ひとりの顔が見えなくなってくる傾向があるのではないでしょうか。 でも近所のA君、同年齢のB子ちゃん、彼、彼女の生活が感じられるのが地域の会の良さであり、大事なことなのではないでしょうか。他方、社会の動きに関することも非常に大事な事ですが、それらのバランスはどうなのか検討してみる必要は十分あると思います。

 それに外部から見た我々の会の位置付けの問題もあります。京都在住の会員が大半とはいえ、毎回350部の会報を全国に発信していますし、インターネットでホームページの公開もしています。つまり「全国組織の会」的な側面を持っているといえます。もはや数十家族の単なる地域の会ではないのです。そのあたりをわきまえて活動をしているかです。

 前号の会報回収という件は会の位置付け(内部、外部から見た)に関する認識の違いが露呈したものではないかと思います。私は問題が定義されるまで記事を読んでいなかったのですが、その後の経緯などを聞いて、3年ほど前にインターネットに情報を公開するにあたって記事の取り扱いについて議論をしたことを思い出しました。意味合いは少し違いますが、個人のプライバシーの保護をどうするか、内容の吟味は誰がどうするのかなど、かなり議論をしたときのことが生かされていなかったようで残念です。

 地域の仲良し会の性格とある意味で全国に情報を発信する組織という二つの顔があること、それらを明確に意識して運営してきたのか、仲間うち意識に伴う甘さがなかったか、会にかかわる者は私も含め自戒すべきと考えます。

 トライアングルをどのような会にすべきか、各自が考え、活動に参加することで、前向きないい会にしていきたいものです。


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