金満里様
先日、あなたの本「生きることのはじまり」を読んで、衝撃を受けて、あなたの率いる劇団「態変」の公演「壷中一萬年祭2001」を千秋楽の日に観せて頂きました。観終わって扇町公園を歩きながら、友人と交わした会話です。
「何だか、五体満足な者って、暑苦しいね」「うん、うん!」
不自由な身体の、それでも動く部分を精一杯動かして演じるさま、そして舞台から観客を見る演者たちの視線は、どちらが「健全」でどちらが「観る者」なのかを分からなくさせるものでした。俳句や短歌が制約の中でより芸術的であるように、演者たちの身体の制約が動きのひとつひとつを純化させている。そして、それは演劇空間だけの話ではなくて、「生きる」ということそのものにも通じていると強く感じました。
あなたたちが、あの演劇空間の中で私たちに見せて下さった、大いなる「自己肯定」を深く心に刻んで、私は障害を持つ娘との距離を、同時に障害を持たぬ姉娘との距離を探ってゆきたいと願っています。
ますますの御活躍を。
2001.3.27
島崎明子
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