京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2009年4月号 掲載)
仮進級

島嵜実幸

 やったー、二年生になれたよーんまた頑張るぞー。お母さんと一緒に勉強したので一年生が終る事になりました。
これからも頑張るので応援よろしくお願いします。
 私は仮進級で二年生になりました。沖縄へ修学旅行に行けるようになり他の人と修学旅行に行って中学校で一緒の友達にお土産を買います。
二年になって修学旅行に行き他の事も色々とやります。
学年末テストで英語58点取りました。トップて言われました。いい点数取っています。
私はこの一年振り返って見て、駅でおにぎりや色々買っています。
入学してその時の金曜の朝バスの中で寝て、寝過して福知山まで行ってしまいそうになりました。
一年振り返ってみて今分った事は、みんなと楽しくさわいで遊びまくっています。勉強より遊ぶ方が楽しいです。


島崎明子

 少しわかりにくいので解説します。「2年生になれること書いて。この1年を振り返って、できるようになったこととかも書いて。駅でおにぎりも買えるようになったしな」という私の声かけで上の文を書きました。はじめの3行は「やったあーっていうカンジが出てへんやん」と私がクレームをつけたので、あとからつけ加えたものです。英語は能力別に2つのクラスに分けられていて、みゆきのいるクラスは6人くらいで、そこでトップやって先生が言ったとのこと、ちょっと信じられないのですが・・・。でもまあ、こんなに必死に勉強させた親は他にはいないとは思います。テスト終って、ほっとして、卓球だ、カラオケだ、映画だと、遊びまわっています。

 心配していましたが何とか無事に2年生になれるようです。2月、個人懇談の時に担任から、「よほどがんばらないと進級は・・・」と言われ、「知的障がいのある子を勉強ができないからと言って落とすのですか!」と言ってはみたものの、あまり反応もなかったので「ドーシタモノカ」と考えあぐねていましたが、仕方なしに「親子で精一杯がんばるから、御理解、御協力お願いします」と連絡帳で担任に伝えました。担任からは「私も悩んでいます」との返事。でも今まではテスト範囲も分らない教科がいくつもあったのですが、担任もがんばって、全教科のテスト範囲と「このプリントからも出ます」という所まで伝えて下さいました。

 そこからは結構過酷な「親子テスト勉強」の始まりでした。「2年生になって、沖縄へ修学旅行に行きたい」とずっと思っているので、「勉強しよか」と言うと「イヤ」とは言わないのですが「本当はイヤ」がもうからだじゅうから伝わってきます。いつもなら何度も声をかけてもやらないピアノの練習や、今までちっとも進まなかった編み物がテスト勉強中は勉強から逃げたい一心でどんなにはかどったか!やっとできるようになった編み物を、ひとりで勝手にやらせておいたら、いらない目をどんどんひろって、長いマフラーのはずが、どんどん末広がりになっていって・・・おかしかったです。

 四則計算も充分にはできない子に平方根を教え、日本語もやっとどうにかあやつっている子に英語の過去形を教えました。「頭がゴチャゴチャや」と言った時はかわいそうでしたが「30点ないと1の評価」ということなので、とにかく30点を目指しました。

 レベルの高くない学校なので英語や数学は私たちには決してむつかしいものではなく、テストに出そうな問題は前もって何度もプリントをさせてもらえるのですが、理科や生活産業(家庭科)は私自身「ナンノコッチャラ〜」なので困りました。

 いつも「あずみのプラン」を教えて下さってる響先生に数学と理科を、高校受験からずっと係わって下さってる武藤先生には国語と英語を一緒に勉強してもらったのも、とても有難かったです。親子2人でやっていると、どうしても煮詰まってきて、こちらもいっぱいいっぱいになって、みゆきに「知らんで、2年生になれへんでも・・・」みたいな、おどしのセリフを言ってしまったりするのです。

 全部で20単位(だいたい1教科2単位)のうち、12単位以上とらないと留年、12〜19単位なら仮進級ということで、みゆきは数学2単位(学年末テストでは、なんと40点とったのですが、今までのテストが悪かったのと、このごろはノートもとらない等、態度が悪かったとの評価)、被服3単位と生活産業2単位(これは被服検定4級、食物検定4級不合格の為1の評価)の計7単位を落とし、13単位認定ということで仮進級が決まったのでした。でも他にも30点にははるかに及ばない理科などもあったのですが2を下さっていました。

 仮進級でほんとにほっとしていますが、これからも毎回、こんなに勉強させるのかと思うと、ちょっとゾッとします。
 2年生になれるのは、私たちのがんばりだけでなく、1年生を3回もやってもあきらめないでずーっとがんばってきて、こんど4年生になる、あきちゃん親子が道をひらいて下さったおかげなのです。
 あきちゃんとみゆきはとても仲よしで、2人の関係も仲々面白いので、また、こんど書きます。

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