京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2011年4月号 掲載)
ぼくの家族は まんまる・はっぴ〜 No.6

長岐明日香

 みなさん、こんにちは。
まだまだ風は冷たいけれど、春を感じる季節になりました。我が家ではゆうかが小学校を卒業し、大きな変化の時を迎えようとしています。4月からどんな生活が待っているのかわかりませんが、3人の子どもたちが、それぞれ良いスタートを切り、楽しい学校生活を送ってくれるといいなぁと願っています。1年間、我が家のあれこれを読んでくださったみなさん、ありがとうございました。「ぼくの家族はまんまる・はっぴ〜」最終回です!

☆初めてのおつかい

 家から200m程先に小さなスーパーがあり、時々買い忘れたものをゆうかやあさとに買ってきてもらうことがある。はるとはいつも、その様子を見て自分も行きたいと言っていたが、ゆうかと2人でというのはあっても、1人では行かせたことがなかった。ある日、母が「誰かもやしを買ってきてほしい」と言ったところ、はるとが「はーい」と手を挙げた。いつもなら1人ではアカンと言いそうな母が、なんだかこの日は行かせてあげたい気がしたし、行けそうな気もした。『もやし2つ』と書いたメモを手に持たせ、財布には、値段が高い方のもやしや予定外のお菓子を手にした時のことを考え、500円玉を1つ入れて家から送り出した。ちょっと、いや、かなり 母ドキドキ。でも、それほど時間かからず、はるとは「もやし買ってきた〜!!」と声を弾ませ、家の中にとびこむように帰ってきた。袋をのぞくとちゃーんともやし2つ。「1人でお買い物に行けた!」よっぽど嬉しかったんやろうなぁ・・本当にいい笑顔♪ 心配性の母だけど、思い切って背中を押してあげたら、1人でできることがもっといっぱいあるんだろうなぁって思ったよ。

☆家族っていいね。

 何年ぶりかわからないくらい久しぶりに母、インフルエンザで熱を出しダウン。ちょうど主人が台湾へ出発した日ということで、子どもたちはそれぞれ頑張らねばと思ってくれたようだ。ゆうかは学校から帰ると、まるで主婦のような手際の良さで、台所の洗い物を片付けてくれたり、洗濯物を干したりたたんだりしてくれた。もちろん、弟たちの面倒も見てくれる。はるととあさとは、まずは自分のやるべきことを言われなくてもやってくれた。片付け、宿題、ピアノの練習・・いつもは母に言われてやることも、さっさっさ〜。(これが何よりありがたい。)雨戸を閉めたり、お風呂洗いも2人がやってくれたね。主人も予定より1日早く帰国して、休みの日の夕食を作ってくれた。久々の高熱は辛いものがあったけど、嬉しいびっくりの連続で、家族のありがたさを心から感じた母だった。

☆もうすぐ、5年生!

 あっという間の1年で、4年生終了。朝の「学校いやや〜」がほとんどなく、自分で気持ちを切り替えて玄関を出られるようになったのは大きな成長。他にもできるようになったことがいっぱい。支援学級での国語、算数だけでなく、音楽のリコーダーや総合学習のグループ活動、理科・社会の実験や体験など4の1でもいろいろ挑戦して頑張ったね。家では、食器洗いやナプキンのアイロンがけなど「はるちゃん、お願い。」って頼めることがたくさん増えた。補聴器を両耳とも自分でつけられるようになったこともはるとの自信になった。はるとの成長を母は嬉しく思う。一方、いよいよ高学年ということで、ますます気になる課題も実はある。トイレの問題。はるとは自発的にトイレに行くことができない。大きい方はたいてい知らせてくれたり、自分でトイレに向かうことができるのだが、おしっこは声かけが必要である。学校ではトイレに行く時間を決めて先生が声をかけてくれる。家でも、帰宅時や食事前、家を出る前などに声をかける。タイミング良く声をかけると1日中大丈夫なのだが、タイミングが合わなかったり声かけを忘れると、ちょっと失敗・・ってことになる。1人でトイレに行けるといいな〜と心から願うけど、こればかりは焦っても仕方がないね。(と言い聞かせている母 )さてさて、どんな5年生になるのかな?

☆卒業、おめでとう。そして、ありがとう。

 ゆうかが卒業の日を迎えた。はるとは生まれてからずっとゆうかに守られていたような気がする。ゆうかが1年生の時、毎朝泣いて登校していたゆうかのことを気にしてくれていた近所のダウン症の男の子が、ゆうかの頬にチューをしたことがあった。まだまだ未熟だった母は遠慮もあって、男の子には軽く注意するだけで、ゆうかに「○○君はハルと同じダウン症。心配してくれたんやろうし、わかってあげて」と言ってしまった。するとゆうかは小さな肩を大きく震わせて「ダウン症かもしれへんけど、ハルは○○君とは違う!ハルはハルや!!」と怒った。母はガツンと頭を殴られたような気がした。はるとが普通学級に入学した時3年生だったゆうかが、『ハルは皆と一緒に普通学級にいたいのに、学校が支援学級に行くように言って 普通学級から追い出そうとするのはおかしいと思う!』と作文に書き、校長先生を驚かせたこともある。もの静かなゆうかが、時々はるとのことでこうやって怒ることがあったね。ゆうかがいつもはるとに優しくしてくれたから、ゆうかの周りの子たちも はるとに優しかったよ。ありがとう。 中学校入学を前に不安をいっぱい抱えているゆうかを、今度は家族みんなで応援するよ!


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