京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2013年4月号 掲載)
「成人期ダウン症患者さん健診」について

京都府立医科大学神経内科 徳田隆彦

 トライアングルの会員の皆様、こんにちは。私は京都府立医科大学神経内科の准教授(併任)をしております徳田隆彦です。今回は、誌面をお借りいたしまして、私たちが始めました「成人期ダウン症者健診」について御説明したいと思います。

 ダウン症は、乳幼児期の先天性疾患等がある為、主に小児科のドクターが診療に当たってきました。近年では医療技術の進歩によってダウン症の方の平均寿命は伸び、ダウン症の方に対して、成人期の問題への対応が必要になってきています。しかし、成人期の患者さんの受け皿となる医療機関が明確ではないのが現状です。

 私は、認知症の診療と研究を専門にしており、前任地の信州大学附属病院在籍時に約50人の成人ダウン症患の方の定期的な診察と頭部CTを行い、認知機能障害を早期に検出するという仕事をしていました。ただその当時は認知症の徴候を早期に発見してもお薬がありませんでした。現在では、根本治療薬ではないのですが、症状を緩和するお薬がありますので、このような認知症健診はより重要なものになっていると考えています。また、思春期以後の成人期ダウン症の方の受け皿となる医療体制は現状ではかなり不十分ですので、我々神経内科医が専門ではない症状が出現した場合でも、我々が窓口になって大学の専門医に紹介することも可能になると思います。

 以上のような経緯と考えから、私と同僚の神経内科医3名で、本年の1月26日にトライアングルの会のダウン症の方(7人の方)を対象に、第1回の「成人期ダウン症者健診」を京都府立医科大学神経内科の外来で開催させていただきました。そのうちの2人の方はその後も神経内科外来で相談をお受けしています。 このような健診を今後も、トライアングルの会員(思春期以後の方)で御希望のある方を対象にして実施し、御参加いただいた方は定期的(2年に1回程度)あるいは御希望時に診察をさせていただこうと考えております。御希望あるいは御興味のある患者さんと御家族の方は我々の健診にエントリーしていただければ幸いです。

<徳田隆彦のプロフィール>
1960年京都市中京区生まれ、医学博士。
1984年信州大学医学部卒業
1993年東京都精神医学総合研究所・客員研究員
  (アルツハイマー病研究のため: 1995年3月まで)
1997年New York大学・学位取得後研究員
  (アルツハイマー病研究: 1999年3月まで)
2002年信州大学医学部附属加齢適応研究センター・専任助教授
  (第三内科併任助教授)
2005年京都府立医科大学大学院医学研究科神経内科学・講師
2011年同・分子脳病態解析学(経内科学併任)・准教授
(現在に至る)



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