「世界ダウン症の日」だった今月21日、ニューヨークの国連本部で、ダウン症の人たちの「働く権利」を考える国際会議が開かれました。 ここで、東日本大震災で被災した宮城県の男性が、仕事をすることの喜びなどについて演説し、大きな反響を呼びました。 国連での会議で演説したのは、宮城県石巻市出身の小林和樹さん(27才)です。 小林さんは、染色体異常が原因の先天性症候群、ダウン症のハンディキャップを克服し、地元の大学を卒業したあと、4年前から、仙台市にある洋菓子店に就職して菓子職人を目指していて、ダウン症の人たちの「働く権利」を考える会議のテーマに適任だとして招待されました。 英語での演説で、小林さんは「お菓子の計量や盛りつけを任されるようになるまでにはいろいろな苦労があった。でも、お客さんに『おいしい』と言ってもらえたときには本当にうれしい」と仕事の喜びを話しました。 また、震災による津波のために、石巻市の実家の二階に3日間閉じ込められた経験や、被災後、日本国内や世界各地から集まったボランティアに泥のかき出しを手伝ってもらったことを紹介し、「支援してくれた皆さんに本当にありがとうと言いたい」と感謝の意を示すと、会場からひときわ大きな拍手が沸き起こりました。 演説を無事終えたあと、小林さんは「今回の経験は宝物です。日本に帰ったら、たくさんの人たちに報告したい」と満面の笑顔で話していました。 (2013・3・26 NHK NEWS・WEBより 原文転載) |