京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(1998年4月号 掲載)
父親の見た有香の 

中学生時代(みんなと一緒がいい)

高平福治   

 娘が中学へ通い出して1年が経ちました。この間、父親として一番印象に残った事柄について書いておきたいと思います。

 ことの始まりは1学期の中頃、学校から 勉強の内、特に苦手な数学について、育成学級へ通級をさせてはどうか という話でした。学習に関する特別の配慮については小学校入学時からお願いしてきましたが、小学校での6年間は何もなかったものですから意外といった思いと共に親として心の準備もないに近い状態で学校側との話合いとなりました。

 娘の数学のレベルは育成学級に在籍している子達より かなり下であり(日曜参観などで何回か授業を見せてもらっている)親の意向からすれば原算数と言うようなものから、もう一度始めてもらいたいと言うものでした。ただ現在の育成学級の体制からすれば、それは 残念ながら、とても実現する内容ではありません。結局 明確な方向性を見出せぬまま、それでも数学で退屈な時間を過ごしているより育成で楽しい時間を過ごせたらと、とりあえず娘の考えを聞いてみることにしました。

 娘の答は明快で「みんなと一緒がいい」というものでした。「難しいけど先生 答 教えてくれる」「Aちゃん、Bちゃん、友達いっぱい いる」「勉強 頑張る」・・娘の 精一杯 反論をしてくる姿に「しまった」との思いを隠せませんでした。

 考えてみれば2才で保育園に入れたときから 兄や弟と同じように、ごく普通に育ていこう と思って そうしてきました。勉強ができなくても学校でいっぱい友達が出来て楽しい時間が少しでも多くなれば良い と思ってきた。そこに通級という思いもよらぬ話がきて、具体的な内容を詰められないまま乗ってしまった親の場当たり的対応に対する娘の反撃なのでしょう。

 子供の教育に関し、学校に特別の配慮をお願いしているものの、現実の体制下において学習面での具体的な提案は なかなか出来ない状況にある事を痛感した出来事でした。最終的には本人の意向を大切にしたく、当面この話は見送りとさせてもらいました。

 4月、新学年になりクラスも変わり また新しい出会いが生まれることでしょう。この1年自己主張をするようになった娘、目を細めながら見ていくこととなりそうです。


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