京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2005年8月号 掲載)
おしゃぶりのススメ?

佐藤友美子

 我が家の長女は去年の5月に心カテ、6月に心臓の3つの穴をふさぐ根治手術を終え(生後3ヶ月)、ほっとしたのもつかの間、肺高血圧が70から30〜40までしか下がらず、在宅酸素を主治医に勧められ最初は3ヶ月の赤ちゃんに24時間チューブなんて・・・とためらいましたが、夫婦で話し合い受け入れることにしました。

 先生は子供は(チューブに)すぐ慣れるから大丈夫ですよと言うが、親のほうがなかなか受け入れられませんでした。ダウン症を受け入れるのにも大変なのにチューブ付の娘をも受け入れることは私にとっては本当に容易ではありませんでした。まだ最初のうちは手足の動きも鈍いのである程度おとなしくつけていましたが、10ヶ月頃になるとさすがに自分で外したりするようになり、着けては外すの私と娘とのいたちごっこが始まりました。

 それから半年位は真面目に?着けていたのですが、冬になり娘が風邪をひきだして、こじらせ喘息になった頃から「あれ?おかしいな?」と思いだしました。24時間酸素しているはずなのになんで喘息になんの?と。

 それから図書館で本を漁りまくり、東大の西原克成先生が書かれた本に出会いました。(赤ちゃんの生命のきまり、西原博士のかしこい赤ちゃんの育て方)そこには乳幼児の「鼻呼吸」の重要性について語られていました。はじめは「鼻呼吸?」と思われそうですが、現代の健常児はもちろんダウン症の子は特に鼻呼吸をしていない子が多いことに気づかされました。そして口呼吸をすることにより、免疫力が弱まり、呼吸疾患、アレルギー、喘息、歯並びの悪さ、脳の発達の妨げ、そしてポカンと開いた口等・・・。その本は健常児に向けて書かれた本ですが、その口呼吸の弊害があまりにダウン症の特徴?とされている所と重なるところが多いことに驚かされました。そしてその先生がおっしゃっている改善方法が<おしゃぶり>だったのです。

 おしゃぶりは「歯並びが・・・」とか「言葉が遅く・・・」とかまことしやかに言われていますが、医学的にみると全く逆だそうです。 口呼吸している子は出っ歯、反っ歯になり口の運動が少ないことで脳の発達も遅くなります。

 そして何より娘に関してはおしゃぶりを与えたとたん、次の日には喘息の発作がなくなったのです。チューブをしている時は寝ている間に口に指をあててみると、めっちゃ口で息をしていました。チューブで余計に口呼吸が促進されていたのです。

 おしゃぶりをすると酸素は吸えませんが、しっかり鼻で呼吸します。
そんなこんなで私は半年たってから酸素チューブからおしゃぶりに治療法を勝手に変えました。もちろん主治医には内緒です。でもエコー検査の度に肺高血圧が改善されていくのを見るにつれ、この子にとっては酸素療法よりもおしゃぶりのほうがよかったかなと思っていました。

 そしてなによりおしゃぶりによって、口を閉じ舌を出さなくなりました! これは大きな一歩です。このことは酸素療法いかんに関わらずおすすめしたいです。おしゃぶりはアメリカやヨーロッパでは普通に4〜5歳までは親が与えるそうです。日本では見た目を気にして与えない方が多いと聞きますが・・・。とても掻い摘んで書きましたが、本も是非読んでいただきたいです。たった数百円のおしゃぶりがダウンちゃんの発達の大きな柱となればちょっとすごいかもしれません。もちろん最初はめっちゃ嫌がり舌で押し出しますが、寝ている間から始めればいつの間にか大好きになります。娘に関してはNUKはだめで、ピジョンの4〜5ヶ月用がやさしくてよかったみたいです。(ピジョンの7〜8ヶ月用の裏に西原先生の紹介があります)ぜひぜひあげてください!

 そして娘は今年5月に心カテを受け無事肺高血圧症も完治しとっても元気になりました!


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