京都ダウン症児を育てる親の会(トライアングル)会報


(2008年8月号 掲載)
つかさ1年生になりました

西村 ちとせ

 京都市立音羽川小学校に入学して、もう3ヶ月と2週間がたち、夏休みが目前になりました。今やこの小学校、そして同じ学童に通う音羽小学校の子供たちもつかさの事を知らない人はいない人気者です。
 音羽川小学校1年4組がつかさのクラス、育成学級です。音羽川小学校には、もうひとクラス育成学級があります。2年4組、車椅子のY君のクラスです。つかさの担任の先生はまだ若い。元気いっぱい、やる気いっぱいのお母さん先生です。でも、つかさにとってはちょっぴり恐い先生なのか、隣のY君の、やさしいおじいちゃんのような先生が大好きです。

 朝8時。家の前に登校班が集合します。登校班は6年生2人、4年生3人、3年生3人、2年生1人、そして1年生のつかさで10人。それに妹ののどかと母が加わります。
 まだ緊張感のある最初の数日は、おとなしく姉のみことと手をつないで登校していましたが、今では日替わり、その日の気分、自分がこれ、と思う人の所へいき、強引に手を差し出します。6年生の男の子や4年生の男の子は照れながらも、手をつないでくれます。
 道中、たんぼの渕きりきりを歩いたり、溝をまたいだり、高台を上ったりするのはいつものこと。そうして遅れるつかさの後ろについているこどもたちは、文句を言うこともなく待っていてくれる。だから、他の登校班にどんどん抜かれていくのもいつものこと。

 そして毎朝の恒例行事。通学路の最初交差点に立っている教務主任の先生にドーンと走っていって抱きついて「おはよう」と抱き上げてもらいます。次に校門に立っている教頭先生にドーン!「よう来たね」と頭をなでられ、最後に校長先生にドーンと抱きついて「おはようございます」をして教室に向かいます。教室に向かうまでに、「つかさちゃんおはよう」と何人も声をかけられます。
 最近は校門でつかさにバイバイをされることもしばしば。学校まで同行するのもそろそろ終わりかなと思うこの頃。

 教室に行くと、いつも何人かのこどもたちが一緒に遊ぼうとやってくるのでつかさの教室は、いつもにぎやか。ひとりぼっちでさみしいな・・・という心配は無用でした。
 授業開始。まず、校庭をマラソン!そしてY君と朝の会。朝ご飯の発表。「朝ご飯は何を食べましたか?」「パンを食べました」ご飯の日もこう言っているらしい。パンの好きなつかさの願望か。そして牛乳を飲んでも「ジュース飲みました」と言っているらしい。

   交流学級である1年2組には音楽と体育で行きます。先生に聞くところによると、当初から自分の机の場所を覚えてさっさと座りにいっているとのこと。つかさの中で、交流学級での自分の居場所がわかっているのだろうと思うが、母は、入学式の日に一緒に交流学級に入っただけなので、実のところ、どんな風に過ごしているのかはわからない。
 1対1の授業といえども、「勉強と遊びのけじめはきちんとつけたい」と先生が最初に宣言された通り、授業中に関係ない事をして遊んだら、容赦なく叱られているらしい。保育園では我が道を行く、が通用したが学校では思い通りにならず、思う存分泣いて最後の5分思い直して勉強、ということもある。最近では、気持ちの切り替えもずいぶん早くなり、家でもなにやら怒っていても「ま、いいか」と自分で納得することが多くなり、なんだか笑ってしまう。

 生活の授業では、畑で育てた野菜を使ってピザを作ったり、ホットケーキを作ったり少人数の学級ならではの授業を楽しんでいる。
 大好きな給食は、Y君のクラスと一緒に4人で食べています。毎日給食当番です。Y君の嫌いなものは、おかわりがいっぱい出来ます!

 さて、一人だったつかさのクラスに最近、保健室登校していた女の子が通うようになった。つかさが抱きついて行ったのをきっかけに「つかさちゃんかわいい」と4組の教室に来られるようになったようだ。つかさも子供同士のかかわりが出来、一緒にカルタをしたりして仲良く過ごしているらしい。つかさなりに仲間意識もあるのか、先生が言ってもだめでも友達ならOKということもあるようだ。

 いまのところつかさの校内の行き先は・・・1.保健室 2.職員室 3.先生の更衣室です。けがをした、血がでたらなにも言われなくても一人で保健室に行くらしい。この間はトイレに入っていて蚊に刺された後を掻いていて血がでたらしくパンツもあげないで保健室に行こうとしたらしい。
 教室で先生に「待っていてね」といわれたら、先生を迎えに職員室まで行きます。この間はプールの後、職員室に行ったら先生はまだ更衣室で、「更衣室の場所がばれてしまいました!次から更衣室までお迎えに来ますね」と先生曰く。
 不思議と姉の教室に行ったという話しは聞かないが、行くより先にみことがつかさを気にかけているのだろう。「今日はつかさ2回も怒られたはった」「今日はつかさ○○○してた」と毎日報告してくれる。

 こんなふうに、心配していた脱走をすることもなく、学校を嫌がる事もなく元気に学校生活を送っている。学童から帰ってくると「勉強!」と宿題もする。一日も休まず夏休みまで登校した。小さい身体に重いランドセルを背負い、頑張っているなと母も応援している。これからも、色々なことにチャレンジしていってほしいと思っている。


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